2009年12月27日

坂本鉄男 イタリア便り 欧州にも「ウマミ」


 「母のお節料理はだしがきいているので、うま味が違う」といった自慢話が出る季節になった。昔から魚やコンブのだしを使ってきた日本人は、味には、「甘み」「塩味」「酸味」「苦味」のほかに何かがあることを知っていた。

 その日本の学者たちの手で今から約100年前、コンブに潜むうま味物質グルタミン酸が、続いて、かつお節のだし成分のイノシン酸やシイタケの持つグアニル酸が発見された。以来、日本の主婦は、これらの発見から生まれた化学調味料のおかげで、手軽に食物に「甘み」「塩味」「酸味」「苦味」のほかに、「うま味」を加えることができるようになった。

 だが、コンブもかつお節も使わない欧米人には、味覚の主なものはあくまでも舌の先端で感じる「甘み」、その後ろの周辺部分で感じる「酸味」、さらに後ろの縁で感じる「塩味」、舌のやや奥の中央部で感じる「苦味」だけであった。

 ところが、約10年前に苦味を感じる舌の部分よりもさらに奥に、「グルタミン酸類」を識別する広い部分が発見され、そこで感じる味も「ウマミ」と呼ばれるようになった。日本語が専門用語化したのである。

 もちろん、欧米の「うま味」は日本のものとは違って、例えばイタリアでは、肉のスープ・ストックやチーズなどに含まれるものと考えられてはいるが…。

坂本鉄男
(12月27日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

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