このコーナーでは、春期イタリア語講座の新設コースをご紹介してゆきます。
今回ご紹介するのは「イタリア語らしい発音を学ぶ」です。
このコースは、初級2、中級、上級の3つに分かれています。どんな授業になるのか、担当のリヴィオ・トゥッチ先生にお話を聞きました。
Interviewer: まずはじめに、この授業はどんな内容になるのでしょうか。
Livio Tucci: そうですね。簡単に言うと、6回の授業でイタリア語の音声学を勉強するコースです。
I: 音声学ですか。難しそうですね。
LT: そんなことはありません。できるだけ楽しい授業にしたいと思っていますから。
クラスのなかでは、どうすれば標準的なイタリア語に近い発音ができようになるのか、一緒に学んでゆきたいと思います。
I: つまり、発音のテクニックに重点をおいた授業になるのでしょうか。
LT: もちろん発音のためのテクニックも学びますが、クラスではゲームをしたり、声に出して文章を読んだり、リスニングをしたり、ともかくたくさんの練習をするつもりです。
I: なるほど、それなら初級の生徒さんでも楽しめそうですね。発音のためのコースということですが、具体的にはどんな生徒さんに来てもらいたいとお考えでしょうか。
LT: そうですね。ともかくイタリア語を勉強している方なら、誰にでも役に立つ授業だと思います。
もちろんオペラや声楽に関心のある方、自分の発音をもっとよくしたいと思っている方にはぴったりのコースですが、それだけではないのです。
I: ということは、とくに発音には関心がないという生徒さんにとっても、面白い受講だということでしょうか。
LT: そのとおりです。
多くの生徒さんにとって、自然なイタリア語を理解するのは難しいですよね。なぜでしょうか。
たしかにイタリア語はほとんど表記された通りに発音されるものです。けれども実際の発音には、いくつもの細かい「修正」がみられます。そうでなければ言葉をうまく口できないのです。
そんな「修正」がどのように行われるのかを理解して、自分でもうまくできるようになれば、実は、イタリア語の聞き取りもうまくゆくようになるのです。
つまり、発音の仕方を学べば、うまく話せるようになるだけではなく、いままで以上にイタリア語を聞き取れるようになるというわけです。
I: 上級の生徒さんにとってはどうでしょうか。
たとえばイタリア滞在の経験があり、聞き取りには不自由しない人の場合、あらためて発音を学ぶことには、どんな意味があるのでしょうか。
LT: ひとつ言えることは、文法的な問題を理解できるようになるということです。
イタリア語にいくつかの不規則性がありますよね。勉強するときに厄介なものですが、発音の仕方を学べば比較的簡単に説明できるようになる。
たとえば定冠詞の男性形は、どうして2種類もあるのか。また、命令法の動詞が代名詞とともに用いられるとき、なぜいくつかの動詞では(例えば「dammi una mano 」)のように、代名詞の最初の子音が2重化するのか。
こうした小さな不規則性の問題も、言葉の音声に注意してゆけば、うまく納得できるようになるはずです。
I: それは面白そうですね。イタリア語を勉強していると、たくさんの不規則な例外に悩まされますから…
LT: それだけではありません。ことばの響きの重要性がわかるようになると、その言語の芸術的な側面もより理解できるようになります。
たとえば詩がそうですよね。広告のキャッチコピーも、ことばの響きを大切にしています。
イタリア語では、たとえば《 a 》を含む言葉(chiaro)は何か明るい感じがしますが、《 u 》を含むもの(scuro)では暗い感じあったりします。
そんなことばの響きを理解できるようになれば、自分が勉強している言語がどのようなものなのか、もっとはっきり意識できるようになります。
そして、これまで以上にイタリア語を味わえるようになれるのではないでしょうか。
I: なるほど。よくわかりました。
ところで、先ほど「標準的な」イタリア語とおっしゃいましたが、それはフィレンツェ語のことでしょうか?
LT: それは興味深い問題ですよね。
フィレンツェ語は何世紀にもわたってイタリア語の理想でしたが、今日では少し事情が変わってきています。フィレンツェの人々でさえ、北部の発音のいくつに影響を受けていますからね。
たとえば、よく生徒さんから質問されるのですが、《 casa 》という単語の発音は「カーサ」でしょうか、それとも「カーザ」なのでしょうか。
授業のなかでは、こうしたことも話してゆきたいと思います。
I: とても面白い内容だと思います。ぜひ多くの生徒さんに参加してもらいたい授業ですね。