2010年10月31日

坂本鉄男 イタリア便り 死刑の無い国とは


 11月1日に、日本の裁判員裁判開始後初めて死刑が求刑された「耳かき殺人」事件の判決が言い渡される。また、7月には「死刑廃止」を訴えていた千葉景子法相(当時)が死刑執行に立ち会い話題になった。

 死刑が100年以上前から存在しないイタリアで最も重い刑は終身刑である。しかし、一生を刑務所で過ごす終身刑の囚人はほとんどいないのが現状だ。ここで今年になって問題になった重犯罪の受刑者について報告したい。

 さる4月の復活祭に受刑態度良好との理由でローマの刑務所から外出許可をもらった終身刑の囚人2人が帰らず、脱獄したことが判明した。1人は1999年にシチリアで殺人を犯した受刑者で、もう1人も99年にドイツで殺人を犯し、ドイツの裁判所で終身刑の判決を受け、イタリア側に引き渡された受刑者だった。2人の囚人とも判決から10年で自由外出を許可されていたことになる。

 また、さる8月、80年代前半に犯罪グループのリーダーとして、殺人や強盗など17件の凶悪犯罪を重ね、合計33年の禁固刑を宣告されていた55歳の受刑者が刑期満了で出獄した。脱獄を3回したものの、司法協力の代償として刑を17年に減刑されたためだ。「罪を憎んで人を憎まず」も「過ぎたるは及ばざるがごとし」である。

坂本鉄男
(10月31日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2010年10月24日

『クロナカ』127号発行


日伊協会の会報『クロナカ』2010年秋号(通刊127号)ができました。
会員のみなさまに向けて発送中です。

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今回の特集は「異文化交流の現場から」

日伊協会では、ボローニャ大学の日本語学科の学生11人を迎えて、今年の7月26日~8月27日の5週間にわたって、「第1回イタリア人のための日本語夏季集中コース」を開催しました。

そのときのドキュメントと楽しいエピソードをお伝えします。

また、日伊協会イタリア語講座の最難関クラスの一つである「翻訳コース」のレポートも紹介します。

日伊協会の会員以外で購入を希望される方には、1部300円でお分けしています。

「クロナカ2010年秋号(127号)」とご指定のうえ、日伊協会事務局にお問い合わせください。
tel. 03-3402-1632

<目次>(表紙を含めて全24ページ)

●特集:異文化交流の現場から
3 酷暑の5週間でイタリア人大学生が得た「日本の心」
 ----日伊協会「第1回 日本語夏季集中コース」
7 ボローニャという町
8 イタリア人大学生と体験した「執事カフェ」 伊藤紀美江
 ----日本語講師と執事の異文化交流
10 ただいま翻訳修行中 石川眞紀
 ----今夜は帰る? それとも?

12 イタリア・ルネサンス絵画史入門<32> 松浦弘明
 晩年のレオナルド(1)
 ―《聖母子と聖アンナ》に見られる複雑な表情―
14 イタリア文化喫茶室 二村高史
 ローカル私鉄でこそ味わえる旅情
 ----南イタリアを走る3つの私鉄
16 EUのなかのイタリア モスカテッロ・リポート<36>
  アントニオ・モスカテッロ
 イタリア政界にわだかまるマグマ
18 映画のなかのイタリア語<61> 押場靖志
 『見わたすかぎり人生』
20 イタリアのニュースから
22 恵贈図書
22 イタリアで見つけたあんなもの、こんなもの 長谷川嘉美
 本場の味を手軽に「クノールのリゾット」
23 日伊協会からのお知らせ
表紙 ポローニャにて 二村高史

坂本鉄男 イタリア便り 国を挑発 組織暴力団


 イタリアの組織暴力団はよく「マフィア」と総称されるが、詳しくは、シチリア島の「マフィア」、半島最南端カラブリア州を中心とする「ウンドランゲタ」、ナポリを中心とする「カモッラ」の3つに大別される。

 彼らは地元企業への恐喝を手始めに、麻薬・たばこ・武器の密輸入はおろか、公共事業の受注なども牛耳ってきた。しかし、治安・司法当局は総力を挙げても撲滅できない。それどころか、国家権力にまでも暴力で対抗してきたのである。

 マフィアは1982年、国が特別に任命した国防省警察軍総司令官出身のシチリア州知事夫妻を機関銃で撃ち殺し、92年にはマフィア取り締まりに辣腕(らつわん)を振るった検事2人と護衛警官たちを乗用車もろとも爆殺した。

 今年になって司法当局に抵抗を強めているのがカラブリア・マフィアともいうべき「ウンドランゲタ」だ。1月にはカラブリア州の検察庁前で爆弾を破裂させ、6月と7月には検事長らの公用車に事故が起こるよう仕掛けをした。10月上旬には、自分たちの力を誇示するかのようにカラブリア裁判所前にバズーカ砲を置き、10月下旬からは、軍隊が司法関係者の警護に当たることになった。マフィアが治安担当者を狙うのは、社会の乱れを誘発したいからだ。

坂本鉄男
(10月24日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2010年10月20日

第11回 ICCJ ガラディナー&コンサート2010 

当ガラディナーは、イタリアスタイルで催されます。ハイセンスなファッションショー、ミニオペラコンサート、チャリティーオークションなどが行われます。
また、イタリア商工会議所賞(前年において日伊通商関係に最も貢献した日本の企業一社に授与される賞です)の授与式があります。

日時:12月14日(火)、19時
会場:ウェスティンホテル東京
主催:イタリア商工会議所(IICJ)
詳しくは、http://www.iccj.or.jp/ueventdisplay.php?eventid=449 

2010年10月17日

坂本鉄男 イタリア便り 国際貢献度の違い


 日本もイタリアもいざ強力な他国に攻め込まれたら自国の軍事力では到底抵抗できない。つまり、日本なら日米安保条約に、イタリアならNATOにすがらざるを得ない。このためにこそ、普段からNATO加盟国と同盟関係を強化しているのである。

 イタリアは、NATOの一員として旧ユーゴスラビア紛争、イラク戦争などには必ず派兵し戦死者・戦傷者を出してきた。

 アフガニスタンには現在も3500人の兵士が駐留している。だが、人的損失も大きく、今月9日、輸送車両を護衛していたイタリア山岳兵の装甲車がタリバン勢力の攻撃に遭い4人の戦死者を出した。

 今回の戦死者で、派遣開始以来の戦死者数は総計34人になった。特に今年はすでに12人の戦死者を出している。万が一、わが国でこんなことが起こったら直ちに倒閣騒動につながるに違いない。

 さすがにイタリアでも来年以降の撤退に向けた検討が始まったが、これまではイスラム原理主義勢力が欧米を攻撃しようとする動きがあるため、自国防衛の考えが優先されてきた。

 戦死者には毎回国葬が行われるなど、最大の敬意が払われており、軍隊から派兵反対の声は一度も出たことはない。イタリア憲法が「国民の祖国防衛の義務」を定めているからだろうか。

坂本鉄男
(10月17日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2010年10月13日

プーリア便り38

Ciao dalla Puglia!

プーリア便り23” でもご紹介したレッチェに再び行く機会がありました。レッチェは豪華で繊細なバロック様式に彩られた宗教施設が特に有名ですが今回は“まだ行ったことのない所に行ってみよう”と思い、カルロ5世城(Castello di Carlo V)へ。

カルロ5世城は“バロックのフィレンツェ”と呼ばれるレッチェのイメージからすると建物自体は拍子抜けするほどシンプル。そのためかガイドブックや観光サイト等ではあまり取り上げられていないようですが、内部がカルタペスタ博物館(Museo della Cartapesta)になっています。

カルタペスタとはレッチェ伝統の紙粘土工芸のこと。レッチェは石細工も有名ですがこの紙粘土工芸もレッチェならでは。町中にもカルタペスタの工房や店が多くありますが、作品があまりにもリアルなので知らないと紙粘土で作られているとは気づかずに通り過ぎてしまうかもしれません。

カルタペスタの起源は17世紀に遡り、元々は宗教的オブジェを増やすために麦藁、紙屑、糊、漆喰、といった貧しい中でも入手できる素材と僅かな道具を使って作ったのが始まり。当時、素材や道具は貧しくとも忍耐力と宗教心で作っていたのでしょう。現在はイエス様、マリア様、天使等の伝統的モチーフの他、アートとして人形、アクセサリー、室内装飾品等のモダンな作品を作る若い職人も生まれているそうです。

私は今までカルタペスタの存在は知っていたもののその詳細は全く知りませんでした。館内の展示や解説板(英語も併記されています)によれば大きく分けて以下5つの製作工程があるそうです(陳列棚のガラスに反射して写真が見づらい点はご容赦を)。

  1. 麦藁で基礎を形作る。顔や手足はテラコッタの場合もあるそうです。

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  2. 紙粘土を貼り付けて形作る。

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  3. 焼きごてで固める。

IMG_0043_ridimensionare.jpg  4. 研磨。

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  5. 彩色して完成。

IMG_0047_ridimensionare.jpg服のひだが実に優美で美しいですよね。館内にはカルタペスタで作られたプレゼーピオ他、伝統的モチーフから現代的モチーフまで様々なアーティストの作品も展示されています。

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レッチェの宗教施設や専門店でカルタペスタ作品を見ることもできますが、更にじっくりとその歴史~作品誕生までをご覧になりたいかたや様々な作家の作品をまとめてご覧になりたいかたにはオススメの博物館。ただし、できあがったたくさんの像が並ぶ展示室や作品に入れる目玉が置いてある(しかもたくさん!)陳列棚等、あまりにもリアルなのでギョッとするかも (^^;

カルタペスタ博物館(Museo della Cartapesta) 入場無料
場所:カルロ5世城内の1~2F
開館:月~金―9:00~13:00、16:30~20:30 土日―9:30~13:00、17:00~20:30
TEL:+39 0832.244845、+39 0832.246517
WEB(伊語):http://www.comune.lecce.it/comunelecce/Territorio/Arte+e+Cultura/Musei+e+Gallerie/Museo+della+Cartapesta.htm

2010年10月10日

坂本鉄男 イタリア便り 「イチかバチか」の宝くじ


 週3回も抽せんのあるイタリアの「富くじ」ともいうべき「スーペルエナロット」は今年2月9日以来当たりが出ていなかったため、賞金がうなぎ上りに上がり、10月8日現在でとうとう1億5800万ユーロ(約181億円)の巨額に達した。

 わが国の宝くじとは違い、1から90までの6数字全部の的中(的中確率は6億2200万分の1)が出なければ賞金が無限に積み上げられる方式だからだ。

 ちなみに至難の業である5数字の的中以下3数字の的中までの賞金は1等賞金と比べると0に等しいくらい少ない。要するに「イチかバチかのくじ」である。

 だが、1等の賞金額が莫大(ばくだい)になるにつれ、「一獲千金」を夢見て賭ける人が増大し、売り上げの約50%近くを吸い上げる国庫はホクホクだ。

 しかも、イタリアの公認の賭けは「スーペルエナロット」だけではなく、日本でも有名な「トトカルチョ」のほか、「競馬」など無数にある。

 ある調査機関によると2009年のイタリア人1人当たりの年間平均消費額1万5千ユーロのうち、約6%に当たる900ユーロが何らかの賭けに使われたそうだ。経済危機を乗り越えるために、庶民が一獲千金を狙い賭けに走り、国庫が肥えるとは悲しむべき現象と言わねばなるまい。

坂本鉄男
(10月10日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2010年10月 7日

プーリア便り37

Ciao dalla Puglia!

今回はマルティーナ.フランカに本拠を置くバスケットボールチーム“ドゥエ・エッセ(DUE ESSE)”についてお便りします。

イタリアで人気の高い球技と言えば1位は文句なしにサッカーでしょうが2位はバスケもしくはバレーボールでは?
国内リーグであるセリエ(SERIE)A~Dの他、ユーロリーグ(EUROLEGA)A~Dもありますし、NBAで活躍するイタリア人選手もいます。私はサッカーや野球のような試合時間の長いスポーツの観戦は苦手なのですが展開の速いバスケは大好き! おまけに弟2人が元バスケ部で実家にはスラムダンク(バスケ漫画)が全巻揃っているという環境だったため馴染みがあり、なおさら観戦が楽しいのです。

ドゥエ・エッセは先シーズンセリエBに昇格したものの、前半はチームの統制が取れておらず監督交代。その後、調子は上向いたものの僅差の試合を何度も取りこぼしたり、レギュラーメンバーの1人がドーピングで出場停止になったり…。最終戦は“ドゥエ・エッセ”のチームオーナーであり、友人でもあるステーファノと共にシチリアの敵陣まで乗り込んで応援したのですが大差で敗退、と残念な結果に終わりました(ちなみに“ドゥエ・エッセ=2つのS”と言う意味のチーム名はステーファノのイニシャルに由来)。
待望の今期第1戦目は10/3、ホームにてカラブリア州カタンザーロとの対戦。相手シートにも応援団や多くの熱心なファンが来ていました。

IMG_0014_ridimensionare.JPG IMG_0025_ridimensionare.JPG今期は3名を除いて全て新メンバー。なので普段はみんな「がんばれ、アレ(アレッサンドロの愛  称)!」「行け~、クラウディオ!」等、まるで自分の家族や知り合いであるかのように愛称やファーストネームで選手を呼んで熱心に応援するのですが、今回はまだ名前に慣れず、応援がいま一つ盛り上がらなかった気がします。選手層はだいぶ若返り、そのためかとても速い展開で試合が進み、ドゥエ・エッセがやや優勢で前半終了。ハーフタイムにはかわいい地元のチアガールも応援!

ところが後半に入ると相手の3ポイントが次々に決まるのに対し、ドゥエ・エッセはシュートがなかなか決まらず、リバウンドの取りこぼしも目立つように…。こうなるとイタリア人ファンは容赦ナシ、とても活字にできないようなパロラッチャ(parolaccia)を浴びせる人も少なくありません。パロラッチャとは汚い罵り言葉のこと-語学学校では決して習いませんが、実際のイタリア語にはもう呆れるくらい多くのパロラッチャがあります。GIANは滅多なことでは使いませんがスポーツ観戦等で興奮した時にはつい口を衝いて出てしまうようです。パロラッチャを浴びるのは選手だけではありません。相手チームに有利な判定をした場合は審判も。イタリアでは選手も審判もパロラッチャに動じないメンタル面が非常に重要な気がします。

IMG_0032_ridimensionare.JPG IMG_0037_ridimensionare.JPG話は試合に戻って-第3クォーターは6点差の劣勢で終え、いよいよ第4クォーター。6点はバスケでは簡単にひっくり返る範囲内の点差なので応援&パロラッチャにもますます熱が入ります。ところが相手チームのシュートの正確性はさらに冴え、最後の方はドゥエ・エッセがファールで止めざるをえない場面が多くなり・・・結局、57-74で負け(> <)
終了後は毎回熱心なファンがコート近くに集まって選手を称えながら握手やサインを求め、選手も気軽に応えます。この時はパロラッチャもナシ。勝っても負けてもみんな地元のチームが大好きなのです。

今回は残念な結果でしたがシーズンはまだ始まったばかり。マルティネーゼと共に私も応援し続けようと思います!

2010年10月 3日

坂本鉄男 イタリア便り 入れ墨入りのミス


 9月上旬に恒例のミス・イタリアの最終選が行われ、最後に残った3人の美女の1人が下腹部と背中にかなり目立つ入れ墨をしていた。

 入れ墨に対してやや偏見を持つ私は「気の毒に入れ墨がなければ彼女が1番だろうに」と思っていたら、なんのことはない。無事ウンブリア州代表の入れ墨入りの19歳の美女がミス・イタリアに選ばれた。審査委員諸氏が入れ墨に偏見を持っていないことが判明したわけだ。

 サッカーのセリエAのトップチーム「インテル」の超有名ディフェンダーのマテラッツィや、スイス出身の超有名ショーガールら入れ墨組は数多いから、入れ墨入りミス・イタリアが選ばれても全くおかしくはないわけだ。

 現在イタリア全国には300万人の入れ墨を入れた若者がおり、18歳から50歳の男女の4人に1人が入れ墨組だという。年齢層別に分類すると、18歳から24歳までは9%、25歳から29歳までは32%、30歳から39歳までは25%だそうだから、年少組ではやや減少気味だといえよう。

 これは、皮膚科専門医が「入れ墨を消すことの難しさ」を宣伝し、18歳以下の未成年者が入れ墨をするときは親の同意が必要になったことや、24歳から30歳までの女性には入れ墨を後悔している人が多いなどの報告が発表された結果ではなかろうか。

坂本鉄男
(10月3日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2010年10月 1日

プーリア便り36-2

メインのマルティーナ風ラグー。ラグーといえばひき肉を使ったボローニャ風、いわゆるミートソースが有名ですが、マルティーナ.フランカではぶつ切り肉のトマトソース煮込みを指します。これも義母から教わったレシピの1つ。

[作り方(4人分)は以下の通り]
①鍋に油を敷き、ぶつ切り肉(私はウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ等を混ぜて使うことが多いですがお好みの肉で)の表面を焼きつける。

P9260046_ridimensionare.JPG②小さく切ったタマネギ少々を加え、炒める。

P9260047_ridimensionare.JPG③ワイン1/2カップを加える。(食事に合わせるワインと同じものを使うのがベスト)
④ワインが煮立ったら肉がひたひたに隠れるくらいまでトマトソースを加え、荒塩少々を加える。
⑤様子を見ながら必要であれば時々水を加えつつ90~120分煮込んで完成!

P9260065_ridimensionare.JPG材料は人数に見合った肉とその肉がひたひたに隠れるくらいのトマトソース、とアバウトでokだし、作り方もとっても簡単。かつ色鮮やかで見た目もキレイだし、大きくカットした肉を使うのでガッツリ食べた気分も味わえつつ、でもトマトソースで煮込んでいるのでクドくなく、マルティネーゼ(マルティーナ・フランカ人)誰もが大好きなメニュー。夏は暑くて煮込み料理から遠ざかっていたので久々のマルティーナ風ラグーにGIANも大喜びでした。
DSC04438_ridimensionare.jpgそうそう、忘れてはならない陰の主役がトマトソース。義弟が趣味で作っている家庭菜園のトマトを夏に義母がソースにしたもの。ありがたい~!(&今年はお手伝いに行けなくてごめんなさい)
義母が毎年100kg!のトマトを使って空き瓶に詰め、おすそ分けしてくれるこのソース。素材も製造過程も無農薬・無添加の安全&おいしいソースなのです。

そのソースが肉の旨みをたっぷり吸い込み、良い具合に煮詰まっているので、オレッキエッテだけでなくパスタ全般やラザニア等に使ってもプリモがよりおいしくいただけます。煮込み時間は少々長いですがその間にオレッキエッテを作ったりテーブルセッティングができる上、家族や気の置けない友人であればプリモをいただいた後「洗い物が増えるからお皿は変えないでいいよ。同じソースなんだから気にしないで」と言ってくれるのでお皿も1枚で済み、後片付けもラク。
絶妙の組み合わせであるオレッキエッテとマルティーナ風ラグー。簡単&おいしいのでぜひお試しください!

プーリア便り36-1

Ciao dalla Puglia!

休日の我が家の食卓からプーリアの料理とレシピをお届けします。
今回のメニューはトマトソースのオレッキエッテとマルティーナ風ラグー。

“オレッキエッテ(orecchiette)”は今、日本で最も知られているプーリア料理ではないでしょうか。耳(orecchio)から派生した名からも分かるように耳形をしたプーリアを代表するパスタです。材料は粉と水だけ、パスタマシーンは必要なく、指で転がして作れるので、私は義母に作り方を教わって以来いつも手打ちしています。せっかくだから何人前でも作るのは一緒、ということで今回は多めに作ってお客様もお招きしました。と言ってもオレッキエッテはおもてなし料理というより家庭料理なので家族や気軽な友人に「明日、オレッキエッテ作るけど食べに来る?」と声をかけて一緒にいただくことが多いです。

P9260038_ridimensionare.jpg  [義母直伝の打ち方は以下の通り]
①1人当り100gのセモリーナ(全粒粉で作ることもあります)と熱湯を用意。
②打ち台にセモリーナを載せ、熱湯を少しずつ加えながら耳たぶくらいの柔らかさに捏ねる。

P9260039_ridimensionare.JPG③ナイフで適量を切り出し、約1cm巾の棒状に伸ばす。

P9260056_ridimensionare.JPG④(右利きの場合)③を約1cmに切り出す傍から奥側を左人差し指を使って押さえ、力を入れすぎないように注意しながら右手のナイフ先端を使って引き伸ばす要領で形成後、左親指で裏返して完成!(作る傍から布巾に並べておくとくっつかないし、茹でる時も布巾を摘んで一気に湯に入れられるのでラクです)

P9260060_ridimensionare.JPGソースが良く絡まるよう、表面に細かい筋があることがポイントなのですが義母のオレッキエッテ(写真下)と比べるとその差は歴然…。まだまだ修行の身ですが義母は「娘も他の嫁も『料理を教えて』と言ってくる子は1人もいないし、オレッキエッテを手打ちできる子もいないのに、日本人のNAMIがプーリア料理を作るとは!」といつも笑いながら嫌な顔一つせず、お手本を見せてくれます。

PC210009_ridimensionare.JPGそしてトマトソースのオレッキエッテに欠かせないのがプーリアの特産チーズ“カチョリコッタ(cacioricotta)”。パルミジャーノに比べてカチョリコッタは味わいが柔らかいので脇役として料理をじゃませず、軽い酸味がトマトソースにピッタリ。いつもお世話になっているチーズ屋さんのオーナーは「カチョリコッタは色が真っ白だろ? 見た目も重視するプーリア人の美的センスにも叶っているのさ」ともおっしゃっていました。確かに真っ赤なトマトソースの上にヒラヒラと削り落とされるカチョリコッタは雪のように白く美しく、トマトソース以外にも合わせる料理の色を選びません。
DSC04433_ridimensionare.jpgお客様がミートボールとジャガイモのスナック(ピュレ状にしてオーブンで焼いたもの)をタップリ作ってきてくれたので、 ミートボール半分を前菜としていただき、もう半分はトマトソースに加え、一気に充実の前菜とプリモになりました。ありがとう!
ワインはフォッジャ県ルチェーラ(Lucera)にワイナリーを持つ友人、アルベルト・ロンゴ(Alberto Longo)の“レ・クルステ(le Cruste)”。“その土地の料理にはその土地のワインを”という鉄則どおり、プーリアの土着品種ネーロ・ディ・トロイア100%で作られたこのワインは今回の料理にピッタリ!
味もエチケットもセンスが良く、大好きなワイン生産者の1人です。

マルティーナ風ラグーについては次のブログでお届けしますね。