2011年3月29日

坂本鉄男 イタリア便り ローマ法王の慈悲


 現ローマ法王ベネディクト16世は、法王になる前の枢機卿時代から臓器提供への積極的賛成者であった。

 実際、枢機卿時代の1999年には「臓器提供は隣人愛を示す行為」と述べ、法王になった後の2008年にも、臓器移植国際会議の代表者を謁見した際に、「慈悲心を証明する特別な形式」とも述べている。

 こうした言葉に、法王の出身国ドイツの臓器提供運動家の間で、「法王はご自身の臓器を提供なさるおつもりだ」との風評が広がったのである。

 去る2月初旬、法王のドイツ人秘書官がバチカンのドイツ語放送を通じて、「たとえ枢機卿時代に臓器提供者のリストに登録なされたとしても、法王座に就かれたときから法王の身体はローマカトリック教会全体のものとなり、それまでのご意志は無効となる」と風評を正式に打ち消した。

 法王が死去した場合、遺体は信者の最後のお別れを受けるため、サン・ピエトロ大聖堂に一時的に安置される。このため、現在では遺体の腐敗を防ぐため特別な化学的措置が施される。

 だが、16世紀末から約300年間、法王は腐敗防止のため、遺体から直ちに臓器が摘出され、観光名所「トレビの泉」の左斜め前にある「聖ビンチェンツォと聖アナスタジオ教会」に保管されていたものだ。
坂本鉄男
(3月27日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年3月28日

「お見舞い」メールのご紹介

ブログ寄稿をしていただいているNAMIさんから、お見舞いのメールをいただきました。
その他、イタリアからたくさんのお見舞い、応援、励ましのメールいただいています。
ありがとうございます。
今日は、レジーナさんからの心温まるメッセージをご紹介したいと思います。

(原文まま)----------------------           ↓(希望の花)
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みなさん、こんにちは。
ゼンゼロのレジーナです。

このたびは被災された方に心よりお見舞いを申し上げます。

日本で起きた今回の地震は私もトニアもを本当に驚かせました。
TVに映っていたのは信じられない光景で、今まで体験したことがない大きな地震は怖かったと思います。
被害を受けられた方と考えると心が非常に痛みます。
が、同時の心を満たすのは今まで日本のみなさんが見せてくれました勇気です。
パニックにならずに、文句ひとつ言わずにお互いに助け合うみなさんの姿を見て「ほら、私の愛する日本という国は、本当に素晴らしい」と思いました。

私たちは、日本のみなさんが今の苦境を必ず乗り越えてくれると確信しています。
そして新しい未来のために、私達の手本となるような新しい国として再出発してくれるでしょう。

日本のみなさん、がんばってください !
私たちゼンゼロはみなさんのすぐそばにいます。

Con affetto
Tonia e Regina
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もっと早く連絡したかったんですが、私たちにとって、このような状況を日本語でお伝えするのは簡単なことではありませんでした。

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ゼンゼロはブログに「希望の歌」を掲載してくれました。

イタリアで、世界中で、日本を応援してくれています。
デマに惑わされることなく、冷静な行動が求められます。
力を合わせて復興に向けて頑張る時です。
がんばろう 日本!

日伊協会I

2011年3月26日

義援金の緊急お願い

この度の東北地方太平洋沖地震で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

東北の漁業関係被災者への義援金の緊急のお願いです。

 昨年の夏日伊協会は11名のボロ-ニャ大学の学生のために日本語・日本文化の夏季講座を主催して好評でした。日本文化クラスは、日本生活文化交流協会が、書道、華道から津軽三味線等々さまざまな伝統文化のお師匠さん達を総動員して全くのボランティアとして助けて下さり、大変に感謝しています。

 実はこの協会のメンバーは永年に亘り、子供たちの「魚」への理解を深めるボランティア活動を熱心に行っていて、全国、特に今回の震災で甚大な被害を被った女川、仙台、石巻など三陸海岸各地の漁師の人達と深い交流がありました。今回の大地震/大津波で東北の漁業は壊滅的な打撃を受けていますが、幸いこれまで関係のあった現地漁業組合の婦人部等の何人かの関係者は生存していることが判ったそうです。信じられない打撃から漸く立ち直り、現地では助け合いの活動が始まってているそうです。現在支援物資は既に豊富に現地に到着していて、最も必要なのは資金であるそうです。そこでNPO法人の「海のくに日本」は義援金の募集を始めました。

 日伊協会の会員の皆さまも、それ以外の方も、既にいろいろ義援金に応募をされていらっしゃると思いますが、確実に被災者に届くこの人達の活動を応援するために、当協会と関係の深いこの組織に少しでも義援金を提供して頂ければ嬉しく存じます。本日下記の受け入れ口座が開設されましたので、是非宜しくお願い申し上げます。

 私が深く信頼している人達で、間違いはありませんので、ご友人にも被災者へ確実に届く支援の方法としてお紹介頂けると幸いです。

[振込先]
銀行口座 : 三菱東京UFJ銀行 築地支店 (普)0078812
口座名義 : 東北関東大震災義援金口座 NPO海のくに日本 代表白石ユリ子

日伊協会会長 英正道

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2011年3月25日

ニッラ・ピッツィ死去


東北・関東大震災で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
一日も早い復興をお祈りいたします。

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さて、東日本に大きな揺れと津波が襲った3月11日の翌12日。
イタリアから往年のカンツォーネ歌手ニッラ・ピッツィ(Nilla Pizzi)死去のニュースが入ってきました。91歳でした。

110325nillapizzi01.jpg1950年代に大活躍をした彼女は、1951年の第1回サンレモ音楽祭で「Grazie dei fiori」(花をありがとう)で優勝を飾ったのを皮切りに、翌52年には「Vola colomba」(飛べよ小鳩)で連続優勝。

その後も、「Papaveri e papere」(ケシとガチョウ)のようなユーモラスな歌から、「L'edera」(つた)のような情感あふれる歌まで、さまざまな歌で入賞を果たし、サンレモ音楽祭の女王とも呼ばれ、その暖かい歌声によって日本人にも多くのファンを持っていました。

2000年代に入ってからも、テレビ番組に登場して元気な姿を見せていました。
2010年のサンレモ音楽祭には、特別ゲストとして登場。90歳と思えない声量で「Vola colomba」を歌ったのには驚かされました。

きれいな発音の彼女の歌は、イタリア語学習者にも最適だと思います。
日伊協会F


2011年3月20日

坂本鉄男 イタリア便り 安全か危険か


 日本は「世界一の地震国」として知られ、同時に耐震工学の分野でも世界一と信じられてきた。その国の原発が地震と大津波で破壊され、周辺で放射線が高い数値を示しているというのでは、世界中が一体、原発とは危険か否かの疑問を抱くのも無理はない。

 実際、ドイツは古い7基の原発の稼働を3カ月間一時停止することに決めた。イタリアでは、1986年のチェルノブイリ原発事故後の国民投票で新たな原発建造の中止を決め、現在では先進国中唯一の原発を持たない国となった。不足の電力は隣の原発大国のフランスから輸入している。

 イタリア政府はこれでは時代に取り残されると、産業界の要請を受けて、総電力生産量の25%は原子力に頼ろうと、原発4基の建設を決めてきたのだが、今回の事故である。政府は「現在の原発は福島原発の100倍も安全だ」と計画変更を否定したが、野党からの反対が高まるのは必至だ。

 また、イタリアの通信社アンサは16日付の東京特派員電として「イタリア政府の防災チームが東京の大使館屋上で計測した大気中の放射線値は、ローマ市の1時間当たり平均値0・25マイクロシーベルトより低い0・04マイクロシーベルトで現在の東京に危険はない」と伝えた。とはいえ、今回の事故で原発を招致する市町村が皆無になることは確かである。
坂本鉄男
(3月20日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年3月13日

坂本鉄男 イタリア便り バチカン放送の力


 バチカン放送は毎日30カ国語以上で放送されているといっても、わが国でこの放送を聞いたことがある人は皆無に等しいだろう。

 もっとも、1952年に開始された日本語放送は、短波放送で日本での受信が難しかったため聴取者が少なかったことと、バチカン市国の財政的理由から2001年3月をもって日本向け短波放送の歴史を閉じた。

 だが、日本語放送課は現在も存続し、課長の和田誠神父と他の課員1人に縮小されたとはいえ毎日バチカン関係・国際情勢などのニュースを編集しインターネットを通じ日本向けに配信している。

 バチカン放送の歴史は古く、法王ピオ11世が無線電信の発明で1909年度ノーベル物理学賞を授与されたイタリア人グリエルモ・マルコーニの援助を受け31年2月に放送を開始した。今年は80周年に当たるわけだ。

 世界最小国の放送とはいえ、第二次大戦中は反ナチス秘密組織に、米ソ冷戦中は東欧諸国で傍受されていた。あるイタリア人特派員が中国北部の寒村で、一人のカトリック神父に「私は短波受信機でバチカン放送を聞いているので世界情勢は全部知っている」と言われ驚いたとの話もある。

 バチカン放送の力はわれわれの想像を超えるようだ。
坂本鉄男
(3月13日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年3月11日

トーニャとレジーナの南イタリア紹介 カンパニア州の面白カーニバル

カーニバルといえば、ブラジルならリオのカーニバル、日本なら浅草カーニバル、イタリアならばベネチアのカーニバルと世界中で有名なお祭りですね。
但し、イタリア国内でも、ベネチアに限らず、各都市でパレードなどの催しが行われています。
アヴェッリーノ県の小さな街、Montemarano(モンテマラーノ) と言う街にもとても面白いカーニバルの習慣があります。皆さん、聞いたことがあるのでしょうか?
3月8日、カーニバル最終日の火曜日 “martedi' grasso”(マルテディ・グラッソ) には出かけてみました。今回は、この特別なカーニバルについてお伝えしたいと思います。

    carnevale_foto_1.jpg

carnevale_foto_2.jpghttp://www.youtube.com/user/AtripaldaLive#p/u/15/R17MXShcP1o
http://www.youtube.com/user/AtripaldaLive#p/u/6/aJeDwMzPlXA

http://www.youtube.com/user/AtripaldaLive#p/u/2/ypJKHZnWxL0

youtube の映像からも分かるよう、モンテマラーノのカーニバルはイタリアの他の地域で行われているカーニバルとは異なり、華麗な仮面・衣装をまとった人々が集まるだけではなく、昔の伝統的な “Tarantella di Montemarano”(タランテッラ・ディ・モンテマラーノ) と言う民族舞踊も楽しめます。
しかし、モンテマラーノのタランテッラはどんな音楽、どんなダンスでしょうか? モンテマラーノでどんな雰囲気を味わえるのでしょうか? 以下でご覧いただけます。

http://www.youtube.com/watch?v=9eFhg2rQ_SQ&feature=related

伝統的な楽隊の行進に続き、一般の人々も思いの仮装でこのカーニバルを盛り上げます。最後に“pignatta”(ピニアッタ) と呼ばれている土鍋を棒で壊すと、中からお菓子やビスケット、キャンディー等が出てきます。これは、近づいてくる春に吉兆と喜びを表します。
子供も大人も皆、いっぱい食べて…、ダイエット中の私もたくさん食べてしまいました…、でも、楽しいカーニバルは一年間一回だけですしね (笑) 。

イタリアの民族の伝統が好きな方は、魅力的なカンパニアを訪れることをススメします。
私とトニアはお待ちしていますね。
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Ciao a tutti
Tonia e Regina

2011年3月 6日

坂本鉄男 イタリア便り 死刑反対に思わぬ援護


 ご存じのように欧州連合(EU)諸国は死刑反対で、米国や日本などの死刑容認国と対立している。

 さて、去る1月下旬のある伊有力紙に「イタリア製の睡眠薬の品不足により米国での死刑執行が不可能に陥る」との記事が出ていた。記事によると、米国では死刑執行に特殊な薬品注射を行う州が多く、薬品の配合方法は政府により厳しく決められているらしい。

 中でも重要な薬品は「チオペンタールナトリウム」という強力な睡眠薬だが、これを独占的に供給していた米国の薬品会社が製造を中止し、イタリアのミラノ近郊にある子会社で製造していたものを回していた。

 だが、子会社もこの薬品の売上高が全製品のわずか0・2%にすぎないこと、薬品が死刑に使用されていることから生じる会社のイメージダウン、会社の従業員への万が一の法的制裁措置などを考え、製造を中止してしまったのである。

 困ったのは3200人以上とされる死刑囚を抱える米国だ。代替薬品の法的認可には時間がかかるため、アリゾナ、カリフォルニア、ケンタッキー、テネシーなどの州は死刑執行延期を決定している状態だという。死刑反対運動家たちは「こんな効果的な方法が降ってこようとはまさに天の恵み」と大満足だというが、さもありなん。
坂本鉄男
(3月6日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)