2011年9月26日

坂本鉄男 イタリア便り 消費税率引き上げ


 9月17日より、イタリア政府は財政赤字削減策で、これまで20%の消費税が掛かっていたカテゴリーに対し、税率を1%引き上げた。一方で、10%および4%の税率のカテゴリーのものは据え置きとした。4%のものとはパン、パスタ、牛乳、食用油、果物や野菜など日常生活に必要な食料品と1軒目の自宅の購入費が含まれる。また、10%のカテゴリーには肉や魚、2軒目の自宅の購入費、電気・ガス料金、飲食店代金、映画館・劇場・競技場入場料などが入る。ちなみに医療費は0%だ。

 今回1%引き上げられた主な項目は、高級食品、各種飲料、ガソリン、衣料品、靴類、化粧品類、電気製品、自動車の購入代金や、電話料金、パーマ・理髪代、弁護士・税理士への謝礼などである。

 生活必需品を据え置きとした今回の消費税率引き上げの家計への影響は、左翼系調査機関の調査で、年92ユーロ(約1万円)の負担増。消費者関係団体は同385ユーロ増と算出し、予測にはかなりの相違がある。

 とはいえ、北欧の福祉国家スウェーデンやデンマークの25%と比べ、イタリアの消費税率は、欧州連合(EU)内では極めて高い数字とはいえない。また、「国を救うための消費税引き上げは、選挙での得票数の減少につながる」と考える有権者も政治家もいない。

坂本鉄男
(9月25日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年9月18日

坂本鉄男 イタリア便り 地震予知外れた責任


 去る5月下旬、イタリア中部ラクイラ市の地方裁判所の予審判事が、政府の大災害担当委員会の地震専門委員7人に対する裁判を、9月20日に始めると決定した。果たして開始されるか否か分からないが、裁判とは、犠牲者309人と多数の負傷者を出した2009年4月6日のラクイラ大地震に関するものだ。

 地震の6日前に開かれた大災害担当委員会で、地震専門委員は、前兆となる群発性小地震が発生していたにもかかわらず、大地震は起こらないと言明し、住民から避難する選択肢を奪ったのは重大な過失致死傷罪に当たるというのである。

 日本では地震予知のため毎年国が地震学者と研究所に多額の予算を支出し、気象庁には地震予知情報課まである。それなのに、死者・行方不明者約2万人を出した「1000年に1度」の東日本大震災を正確に予測できた専門家はいなかった。

 正確な地震予知が不可能なことを知る国民の方も、予知できなかった責任を問うことはしない。とはいえ、世界には地震予知をこのように解釈する判事もいることは知るべきである。

 「今後30年以内に起こるかもしれない」という極めて大ざっぱな地震予測に慌てて原発停止を指示した首相もいたのだから正確な予知を一刻も早く望みたいものである。

坂本鉄男
(9月18日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年9月11日

坂本鉄男 イタリア便り ミス・イタリア


 今年も9月18日と19日に「ミス・イタリア」の最終選抜が行われ、その模様が国営テレビRAIで全国放映される。

 このコンクールは、たとえ「ミス・イタリア」に選ばれなくても、過去の参加者から、ソフィア・ローレンやジーナ・ロロブリジーダらの大女優を生み出している。いわば、映画界やモデル界の登竜門として毎年1万2千人の若い女性が応募するのも無理ないことだ。

 米国が初の黒人大統領となったオバマ大統領を選ぶ前に、イタリアは1996年度のミス・イタリアに、ドミニカ生まれの18歳の美女を選んでいる。イタリア人男性と再婚した黒人の母親の連れ子としてイタリア国籍を取得したためだ。近い将来アジア系のミス・イタリアだって誕生するかもしれない。

 全国には「ミス・ナントカ」と銘打った美女コンクールが700以上あるが、黒字運営なのはこのミス・イタリアだけだ。経費300万ユーロ(約3億1700万円)に対し、スポンサーからの収入は500万ユーロに上るというから、若い女性の夢をダシにしたなんと頭のよいビジネスだろう。それにしても、私は審美眼がないのか、最終選に残った100人の美女の中からミス・イタリアを当てたことはただの一度もない。結局、美人とは個人の趣味の問題なのだろうか。

坂本鉄男
(9月11日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年9月 7日

日伊協会HP より詳しくなりました

日伊協会のホームページが一部新しくなりました。

日伊協会について」のページがより詳しくなり、「ご入会・会員特典」のページが追加になりました。
一度お立ち寄りください。
会員特典ありますので、この機会にご入会をご検討いただければ幸いです。

日伊協会I

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2011年9月 4日

坂本鉄男 イタリア便り ローマ法王の食卓


 昔のローマ法王の中には、ボルセーナ湖産のウナギを名産ヴェルナッチャ・ワインに漬け込み焼いて食べるのが好きで、とうとう、ダンテの「神曲」で「飽食の罪」により煉獄(れんごく)に落とされてしまうフランス出身の法王マルティヌス4世(在位1281~85年)のような法王もいた。

 しかし、最近の法王の食卓は実に健康的だ。ドイツ出身の現法王ベネディクト16世は、野菜スープとか肉のローストなど簡素な食事を好み、普段はワインも嗜(たしな)まず、デザートも折に触れティラミスとかリンゴ入り南ドイツ風ケーキを召し上がるだけらしい。その食材も健康的そのものだ。

 法王庁はローマ南方にある丘陵地のカステル・ガンドルフォに、55ヘクタール以上の農園と庭園に囲まれた法王専用の夏の別荘を所有する。1929年以来、この農園から毎朝、バチカン宮殿の台所に無農薬栽培の野菜と果物、園内の牛舎から搾りたての牛乳、鶏舎からは産みたての鶏卵や鶏肉が届けられる。

 もちろん、農園では純度100%のオリーブ油も蜂蜜もとれる。農園では鶏卵1日200個、牛乳約1千リットルが生産されるが、余った分はバチカン内のマーケットや地元の商店にも卸されている。

 法王の食事は農畜産物に限って言えば、まさに今流行の「地産地消」である。

坂本鉄男
(9月4日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)