2011年10月30日

坂本鉄男 イタリア便り 中産階級の減少


 最近まで、日本の強みは、貧富の格差が少なく中流階級層の厚さにあるといわれていた。ところが、日本の相対的貧困率は増え続け、2009年は16・0%。先進国では米国などとともに社会問題化している。

 現在の日本は貧困層と富裕層の増大により、中流階級の層が薄くなりつつあるわけだ。今年6月の生活保護世帯は約148万世帯で過去最多を更新し続けている。13年連続で、自殺者が年間3万人を超える状況は健全であった日本社会の崩壊を示すものでしかない。

 こうした傾向はイタリアでも現れている。昨年末のイタリア銀行の報告によると、全国民の総資産の半分が10%の人々の手に握られているという。また、イタリア統計局によると、10年現在で11%の家庭、つまり800万人が貧困層に属すという。9月上旬のカトリック系労働組合の発表では、イタリアの中流階級と考えられる階層130万人の申告所得の平均年額は2万2千ユーロ(約250万円)で、決して豊かな暮らしを支えられる額ではない。

 ただ、イタリアの強みは世帯の8割が持ち家に住み、日本と比べ相続税が安く、個人財産が代々、維持されやすいことだ。財政赤字の穴埋めに相続税値上げを狙う日本の政治家は、国民にさらなる貧困をもたらそうとしている。
坂本鉄男
(10月30日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年10月26日

ガラディナー

イタリア商工会議所主催ガラディナーのご案内
昨年好評だったガラディナーが今年は下記の通り開催されます。
イタリア統一150周年を記念するにふさわしい内容が企画されています。
日伊協会会員のテーブルをご用意しました。ご希望者は早めにお申込みください。

ディナー:日本のイタリア料理界で著名な特別ゲストシェフによる洗練された、美味なお料理を堪能いただけます。
音楽:イタリア音楽界で有名な歌手の来日公演、ミニオペラコンサート、ジャズバンドの演奏が予定されています。
その他:展示会や抽選会もお楽しみいただけます。

日時:12月5日(月)、19:00~
会場:ANAインターコンチネンタルホテル東京
チケット:22,000円(テーブル指定)
日伊協会会員特典:22,000円 → おひとり 19,000円 / ご夫婦 37,000円(先着30名)

※ドレスコード:ブラックタイ(ダークスーツも可)

2011年10月24日

関孝弘東京文化会館大ホールシリーズ11回

後援イベントのご案内
イタリア連帯の星勲章・コッメンダトーレ章受賞記念 イタリアベストセレクション
関孝弘東京文化会館大ホールシリーズ11回

ピアノ:関孝弘さん
会場:東京文化会館大ホール
日時:11月26日(土)、14:00開演
チケット:5,500円(全席指定)
日伊協会会員特典:5,500円 → 4,500円(先着20名)
日伊協会事務局受付にて販売中。

詳しくは、http://www.mt-brillante.jp/

『クロナカ』131号発行


日伊協会会報『クロナカ』2011年秋号(通巻131号)ができあがりました。
会員のみなさまに発送作業中です。

111024cronaca131.jpg今回の特集は、「イタリアのジュエリー」です。

長い歴史を持つヨーロッパのジュエリー(宝飾品)。なかでも、古代エトルリアからの歴史が息づくイタリアのジュエリーについて、ジュエリー史研究の第一人者である有川一三さんに、巻頭の記事をお願いしました。

また、フィレンツェで現役のジュエリー作家として活躍中の橘直美さんに、楽しくも厳しかった修業時代を振り返っていただきました。
さらに、プッチーニのオペラ『マダマ・バタフライ』(蝶々夫人)岡本喬生版の世界初演(今年8月)の様子について、現地からリポートをお届けします。
オペラ(バス)歌手の岡本さんは、このオペラに描かれた日本の風習や言葉への誤解を正すことに執念を燃やし、とうとうプッチーニフェスティバルでの公演を実現しました。

日伊協会の会員以外で購入を希望される方には、1部300円でお頒けしています。
日伊協会のサイトの「出版物のご案内」ページから購入申込みができます。
また、事務局に電話でお申し込みすることもできます。その際は、「クロナカ2011年秋号(131号)」とご指定ください。
tel. 03-3402-1632 (日伊協会事務局)

<目次> (表紙を含めて全24ページ、数字はページ番号です)

●特集イタリアのジュエリー
3  国際的名声を博した19世紀イタリアの復古主義ジュエラー
  カステラーニとジュリアーノ 有川一三
7 私のジュリー修業時代
  --師匠とのめぐりあい、そして独立 橘直美

10 イタリア文化喫茶室
  世界初演! 岡村版『マダマ・バタフライ』鑑賞ツアーに参加して
  神田道子
12 イタリア・ルネサンス絵画史入門<36> 松浦弘明
  フィレンツェにおける反クラシック的な動向 ―ポントルモ―
14 EUのなかのイタリア モスカテッロ・リポート<39>
  アントニオ・モスカテッロ
  スキャンダルと債務危機のダブルパンチでイタリアは窮地に
16 小さな村の大きな人生<2> 田口和博
  不条理な運命を背負って生きるということ
18 「サルデーニャで得た恩師と仲間」
  --木村彰博シェフの3年間 宮寺麻里子
19 イタリア20州地方料理
  --Sardegna サルデーニャ州 木村彰博
20 イタリアのニュースから
22 恵贈図書
22 イタリアで見つけたあんなもの、こんなもの 長谷川嘉美
  薬臭さが病みつきになる「甘草のリキュール」
23 日伊協会からのお知らせ
表紙 アッシジ(ウンブリア州)にて 二村高史

2011年10月23日

坂本鉄男 イタリア便り 羊の恵み「ペコリーノ」


 ナシのうまい季節である。イタリアではナシといえば洋ナシのこと。このナシのうまさを例えるものに「農民にチーズとナシを一緒に食べるうまさを知らせるな」という封建時代じみたことわざがある。

 甘いナシと塩味の利いたチーズは「ようかんとおせんべい」みたいに味の取り合わせがよいからだ。私は毎朝ナシとチーズを食べるのだが、チーズは牛乳から採れるものではなく羊乳からのペコリーノである。

 日本人の多くはチーズといえば、牛乳から採れるものと思っているが、羊乳からでもヤギの乳からでも作られ、牛・水牛・羊・ヤギのチーズを総合すると、イタリアだけでも500種類以上ある。

 ローマ建国の祖とされる双子のロモロとレモが羊飼いであったように、衣類用の羊毛が採れ、肉は食用になり、乳からは栄養豊富なチーズが採れる羊は古代からヨーロッパ人とは切っても切れない関係にあった。

 イタリア国内での羊の数は1千万匹を超える。羊乳チーズは総称して「ペコリーノ」(雌羊ぺーコラのチーズの意味)と呼ぶが、北伊アルプスの麓から、南のシチリア島まで各地にペコリーノは存在し、独特の風味を競い合っている。

 私の愛用するものはローマの東、アブルッツォ地方のペコリーノである。
坂本鉄男
(10月23日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年10月18日

プーリア便り44

Ciao dalla Puglia!

早くも10月、150年ぶりの猛暑だった夏も終わり、イタリアもすっかり秋です。日本はいかがでしょうか? 私は1年ぶりに一時帰国が決まり、日本を想いながらワクワクしております。日本滞在中は、プーリア家庭料理レッスンも開催する予定です。

今回はプーリアの話題は少しお休み。週末に出かけたロンバルディア州パヴィーア県(Pavia)の小さな町で行われていたカボチャとクリの秋祭の様子をお便りいたしますね。

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雲ひとつ無い秋晴れの中、会場に到着すると小さな町のメインストリートの両側は露店でいっぱい。

主役のカボチャの他、
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フレッシュポルチーニ、ブドウ、ザクロ等も。秋ですね~
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ぶらぶらと見学中、食欲をそそられて1つお買い上げ…、地元の腸詰の炭火焼です。パンに挟む他、同じく炭火で焼いたポレンタを付け合せて供されるのが北イタリアらしいところです。
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GIANはポルケッタ(子豚の丸焼き)のパニーノも追加していました。
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地元の楽団も会場内やメインストリートを行ったり来たりしながら音楽を奏でています。フォークソングって初めての土地なのになぜか懐かしい気持ちになるものが多いですね。音色に惹かれて楽団に着いていく私を見て「“ブレーメンの音楽隊”みたい」とGIANは笑っていました。
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お食後はもちろん大鍋で炒った栗と、  

IMG_6140_ridimensionare.jpg地ワイン。こういう所ではワインそれ自体の味はあまり関係なくて、愛郷心丸出しで屋台のボランティアをしている地元の方々や気持ちいい屋外の空気が何よりのごちそうという気がします。
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秋祭りと言えば、ちょうど1年前の同じ時期に “プーリア便り2” でお便りしていますね。季節の行事が毎年変わらず開催され、それを同じメンバーと同じように楽しめるって実はとっても豊かなことなのかも。今、私の近くにはテーマパークも豪華なお店も無いけれど、いつもお出かけが楽しいです♪

NAMI

2011年10月16日

坂本鉄男 イタリア便り 新聞は“名門系”強し


 15日から日本で「新聞週間」が始まった。そこで本日はイタリアの新聞事情をお伝えしたい。

 イタリア新聞発行社協会によると、2010年1月現在で全国57紙の総販売部数(発行部数ではない)は1日当たり約425万部という。“新聞王国”日本の1日当たり公称発行部数の10分の1以下となっている。

 販売部数最大の新聞は、ミラノに本社のある1876年創刊の名門紙コリエレ・デラ・セラの52万部。1976年創刊と歴史は新しいものの、ローマに本社を置く左派系のレプブリカ紙の約45万部がそれに次ぐ。

 3番目は1867年に創刊され、トリノに本拠地を構える中立系のスタンパ紙の約28万部。4番目がこれも140年の歴史を誇るローマの地元紙メッサジェロの約20万部と続く。

 専門紙としては、1896年に創刊され、現在イタリア一の読者数を誇るスポーツ紙ガゼッタ・デッロ・スポルト(33万部)や、1965年創刊で27万部のイタリア経団連所有の経済紙ソレ24オレなどがある。

 イタリア共産党創立者グラムシが1924年に創刊し党機関紙として国際的に有名だった「ルニタ」は、現在は政党とは関係なく部数も僅か5万部強と昔日の面影は全くない。
坂本鉄男
(10月16日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年10月10日

新宿伊勢丹「イタリア展」訪問


10月4日~10日の1週間、新宿伊勢丹はイタリア・ウィークとのことで、催物場で「イタリア展」が開かれているという話を聞き、9日の日曜日にさっそく特派員を派遣してきました。

111010isetan1.jpgいわゆる物産展です。「もう、イタリア物産展といっても、かつてほどの人気はないのでは?」という声もよく聞くのですが、言ってみると押すな押すなの大盛況。

各種食材の試食、ワインの試飲もできて、私の妻…いや特派員は、いい加減ほろ酔い気分になったとか。

ポスターを見ると、今回はトスカーナがメインのようですが、北から南まで、各地のワインや食材が揃っていたようです。
珍しく、野菜やキノコも。
右下は、南イタリアのキノコ、カルドンチェッロ。
100g630円と書かれています。

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会場には食事ができるコーナーがあり、その舞台裏をパチリ。

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特派員が携帯で写真を撮っているのを、中央のイタリア人が発見。
「ちょっと待て」と手で合図する彼。
何をするかと思ったら。

まず、BGMをオン。テンポのよい音楽がはじまり……

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いきなり、ピッツァの生地を手に取って、回しはじめるではありませんか。

見事な腕さばきですが、携帯カメラの性能が追いつかず、うまく撮れない……。

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調子に乗った彼は、ピッツァの生地を回したまま客席に出て行くと、お客さんは大喝采。

素晴らしいサービス精神でした。



日伊協会F

2011年10月 9日

坂本鉄男 イタリア便り 年金長者


 日本でも最近、月額70万円をもらう元東電社員の高額年金が話題になったが、国民年金と厚生年金だけの元サラリーマンらと、企業年金制度のある優良企業の元社員の月額年金の差は倍以上もある。

 年金制度が日本より発達していると考えられているイタリアでも同じで、勤務した職種、掛け金総額と支払い年数によって退職後の年金受給額の差は非常に大きい。イタリアの一般労働者の平均年金受給額は年額1万7190ユーロ(約176万円)で決して高くない。

 だが、最近の管理職組合(日本と違って管理職にも組合が存在する)の発表によると、富裕層と見なされる年収9万ユーロ(約923万円)以上の年金受給者は14万人もいるという。

 イタリアでは年金にも普通の税率で課税されるものの、死ぬまで月額約76万円をもらう年金長者が現時点でさえ、14万人もいるとは驚かざるをえない。

 高額年金受給者は、特別な年金制度を持つ国会議員、司法関係者、イタリア銀行行員などに多いほか、本業および兼業からの複数の年金受給者に多い。例えば最高の部類に属す旧社会党のアマート元首相の年金は月額2万2千ユーロ(約225万円)だ。

 老後の安定した生活を保障する年金に大きな格差がある国は三流国である。
坂本鉄男
(10月9日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年10月 3日

イタリア便り ルッコラとバルサミコ酢

 35年前にローマに住んでいた知人から手紙が来た。「日本でルッコラの名前で流行しているイタリア野菜についてですが、たしかルコラまたはルケッタと言っていたと思いますが」

 そこで返事をした次第。「おっしゃる通りです。ルッコラと発音したらスペルが違ってしまいます。ルッコラと呼ぶ料理人や料理研究家がいたら、イタリアで修業したことがない人だと思えばよいでしょう」と。

 手紙は続いてこう書かれていた。「私たちが住んでいたころはローマではバルサミコ酢は売っていなかったと思いますが」と。

  そこでこう書き足した。「あの当時は、高級食料品店で『Aceto Balsamico Tradizionale di Modena』(モデナの伝統的バルサミコ酢)の100ミリリットル入りの小瓶が売られているだけでした。現在、売られている大きな瓶は、30年ほど前から、伝統的な味をまねて大量生産され始めた物で、法律により、『tradizionale』(伝統的)の表記は許されていません。バルサミコ酢は18世紀から、モデナの限られた地域で作られ始め、手間がかかるため生産量が少なく、12年熟成もので1リットル換算400ユーロ(約4万円)以上します。今度イタリアにおいでになる際に、味の違いを比較してください」
坂本鉄男
(10月2日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)

2011年10月 2日

「世界遺産 ヴェネツィア展」開幕


約1年をかけて、東京、名古屋、仙台、愛媛、京都、広島を巡回する「世界遺産 ヴェネツィア展」(主催: 東京都江戸東京博物館、東映、TBS)が開幕しました。
東京の会場は、両国にある江戸東京博物館。開催期間は12月11日まで。
ヴェネツィアの美術館所蔵の絵画や工芸品など、約140点が展示されます。

111002venezia.jpg当協会は直接かかわってはいませんが、見逃すことができないイベントです。
……といいつつまだ見てません。すみません。
行ったら、ぜひこのブログで報告いたします。

今日のところは、とりあえず、田端駅で見かけたこの看板をご覧ください。
今回の展示品の一つ、「ヴェネツィアの眺望」です。17世紀のなかごろ、ヨーゼフ・ハインツ・イル・ジョーヴァネの作品。名前でわかるとおり、ドイツ人の画家です。

素人考えですが、飛行機がなかった時代、この鳥瞰図を見た人は、さぞ驚いたことでしょう。私はこの広告を見て、「ヴェネツィア展」に行きたくなりました!
日伊協会 F