ブログ「Tutte le strade portano a Roma(すべての道はローマに通ず)」
第四回「イタリア式朝ごはん」

最近読者の方から、イタリアの朝ごはんのメニューについての質問が多い。

朝ごはんのスタイルは人によってまちまちだが、これぞ典型的なイタリアンスタイルと言うものが存在する。「イタリア人は朝からケーキを食べていると聞きましたが本当ですか?」 「ローマでは、ホテルの朝食にはお菓子しかありませんでした!普通なのでしょうか?」

美食の国イタリアでは、朝はどんなものを食べているのだろうか。

ところで今年は来月4月16日に復活祭(イースター)を迎える。日本ではクリスマスの方が断然知名度が高いが、十字架に架けられて息を引き取ったキリストが三日目に復活したことを記憶する復活祭は、実はカトリック教会の暦の中で一年で一番重要な日である。

キリストの復活を喜ぶ信者達の気持ちの盛り上がりも最高潮に達し、注意深く観察すると、この日は美しく着飾ってミサに訪れるご婦人方も多くいる。

今日は一か月後に迫った、復活祭の当日の朝ごはんについても併せてご紹介したいと思う。

それではイタリアの一般家庭の朝食時を覗いてみよう。
まずは一軒目から。

なるほど。塩辛いものが一切ない。

日本の白米とお味噌汁の組み合わせや、ドイツのパンとソーセージ、ハムなどのように、世界的には、朝食は塩気のあるものを出す国が多いのではと想像するが、この朝食には甘いお菓子しか見られない。

写真のご家庭では奥様がダイエット中なので、最近はケーキは毎日焼いていないそうなのだが、以前はチャンベッローネ(Ciambellone)と クロスタータ(Crostata)を朝食用に交互に焼いていたそうだ。

スローフードの国らしく、ビスケットとクッキーに添えるジャムは一手間かけた自家製である。
ジャムは、庭で収穫したアンズとレモンのミックスジャムと、親戚から分けてもらったスミノミザクラの実から作ったものだ。

瓶に入ったハチミツは、近所の農家から購入した野の花のハチミツだそうだ。

飲み物はと言うと、紅茶かカフェラッテで、飲み物に入れる砂糖は白砂糖の類は決して使わず、前述のハチミツか、ミネラル豊富な黒サトウキビの砂糖を入れる。しかしイタリア人は甘党だ。

            

(写真左説明)上がクロスタータ、下がチャンベッローネ。チャンベッローネは、ドーナツ型の小麦粉と砂糖を混ぜて焼いたケーキ。良く作られるものは、レモンの絞り汁を入れるレモン味と、ココアパウダーを入れるチョコレート味。直径は30cmくらい。一方、クロスタータはタルトの一種。
(写真中説明) かわいらしい小さなクロスタータ、”クロスタティーナ”
(写真右)バールでの、良くある朝ごはんの組み合わせ。チャンベッローネとカプチーノ。

続いて、二軒目のお宅を覗いてみよう。

こちらは上品な奥様の一人住まいの家。ご子息はもう独り立ちをした為、朝食は一人で20年間毎朝、ビスケットとフェッテ・ビスコッターテ(Fette biscottate)と言うパンを硬く焼いたものにバターとジャムを塗って食べているそうだ。飲み物はミルクティーである。

奥様は、「わたくしは、お昼とおやつをしっかり食べるので朝食は少なめかしらね、おほほ!」と言っていたが、カロリー的には日本の朝ごはんより多く摂取していると思われる。

ここでもミルクティーに砂糖がどっぷりと投入されていた。

バールでの朝ごはん

他には、イタリアでは良く朝食をバール(Bar)でも摂る。

筆者などは、朝ごはんは365日バールである。甘いものは快活な一日の始まりには欠かせない。

見たところ、イタリアではバールの朝ごはんはコルネット(Cornetto)にカプチーノのパターンが多い。

卵、牛乳、バターなどを使っていない為、普通のものより低カロリーな”コルネット・ヴェガーノ”。普通のコルネットより色が白め

コルネットは、中にチョコレートクリーム、ハチミツ、ジャムなどが入っているが、ここ3~4年はべジタリアン向けの低カロリーなクロワッサン”コルネット・ヴェガーノ(Cornetto vegano)”も販売され始め、体形を気にしがちな若い女性に人気がある。

卵、牛乳、バターなどの動物性の原料を一切使っていないビーガン(完全菜食主義者)向けのクロワッサンである。

イタリアのバールは近所の人や友人達とお喋りをしながらコーヒーを飲んだり軽食も摂れる、言わば社交場のような役割を果たしている。

こう言った文化が残されていることはとても良いと思う。

ちなみにローマでは、バールは朝6時半~7時頃に開く店が多い。オープン仕立てに行くと焼き立てのものが揃っている。

最後に、復活祭当日の朝ごはんを見せてもらった。

復活祭の日の朝ごはんのテーブル

スポンジケーキのパンディスパーニャ(Pandispagna)。このままでも甘いが、このお宅では食べる時に湯煎で溶かしたチョコレートと生クリームを表面に塗って食べていた。近所の人の手作りの復活祭のプレゼントだそう

復活祭当日の朝ごはんは、これが朝ごはん?と目を疑うようであった。日本人的には、”おやつ” 時のテーブルセッティングと言っても良さそうである。しかし、筆者にも復活祭の日の朝だとすぐに分かるお印が二つあった。

黄色いリボンをつけた、復活祭用のチョコレートの卵と、ハトの形をしたコロンバと言うケーキである!

写真右側に見える茶色いケーキは”イースターのケーキ”と呼ばれ、復活祭の日の朝ごはんに食べるケーキである。リキュールが染み込む香り豊かでどっしりと重めのケーキだ。

この日の飲み物はハーブティーだが、さすがにハチミツを入れたら朝から血糖値が上がりそうなので無糖でいただいた。

カトリックの国イタリアでは、日曜日の復活祭の直前の三日間は聖なる三日間(聖木曜日、聖金曜日、聖土曜日)であり、トリドゥオ・パスクアーレ(Triduo Pasquale)と呼ばれている。一年の中で最も重要な三日間である。

復活祭の前日の聖なる土曜日は、”復活徹夜祭(イースタービジル Easter Vigil、ヴェーリア・パスクアーレ Veglia Pasquale)”と言い、この日は夜通しミサが行われる。

日本ではまだまだ馴染みが少ない復活祭。

日伊協会では、3月25日(土)に「復活祭とイタリア人」と言う興味深いトークイベントを開催。予約で満席となった。少しずつ関心が高まってきたのかもしれない。

阿部美寿穂