シエナの裏 「家族と祝うクリスマス、仲間と出かける復活祭」

Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi
家族と祝うクリスマス、仲間と出かける復活祭

こんにちは。3月に入り春めいてきたシエナでは色とりどりの花がきれいに咲き始めました。
今回は春の代名詞ともいうべき復活祭 Pasquaをテーマにお便りします!

イタリアでクリスマスとともに重要な祝祭日の一つとされる復活祭 Pasqua。日本ではイースターの名で馴染みのある復活祭は、イタリアではイエスの復活を祝うキリスト教の祭日です。Pasqua の祭日は太陰暦をもとに定められるため、年ごとに日付が変わります。正確には、春分の日から最初に迎えた満月の後にくる日曜日が Pasqua となるので、可能性としては3月22日~4月25日の間に祝うことになり、今年2012年は4月8日の日曜日が Pasqua にあたります。

イタリア語の Pasquaは、ヘブライ語で「通過」を意味する pesah から派生した言葉で、ラテン語の pascua(牧草、牧草地)という言葉と混ざり、pascha の形を経て Pasqua となりました。 言葉の変遷が示すとおり、イタリアの Pasqua はユダヤ教の復活祭にあたる過越の祭りや、古代信仰の春の祝祭と深い関わりがありました。

復活祭を迎える前には、肉食を断つ四旬節、最後の晩餐やキリストの受難をを記念する聖金曜日などさまざまな典礼があります。日曜日の Pasqua 当日は、クリスマスと同様にたくさんのご馳走でお祝いします。正餐の主役は羊と卵。羊肉は旧約聖書でモーゼによって過越の祭りの食べ物として定められ、その伝統がキリスト教にも引き継がれました。そしてイースターエッグとしてもよく知られる卵は、まさに復活のシンボル。イタリアではゆで卵として食されるほか、卵形のチョコレートとしてもお馴染みです。

このチョコ卵、 Pasqua が近づくと、鳩の形をしたケーキ Colomba とともに町のあちこちを彩ります。見ているだけでもきれい!食べるだけでも美味しい!のですが、さらに嬉しい秘密があります。多くの卵は中が空洞になっていて、お楽しみのプレゼントが隠されているのです。大手メーカーのチョコ卵をよく目にする一方で、恋人のために老舗の店でチョコ卵をオーダーメード、中にダイヤの指輪を入れて贈る、という凝った人もいるようです。チョコ卵の大きさはフットボールサイズの卵が一般的ですが、人間が中に入れそうな巨大卵から、中をくり抜いていないウズラの卵くらいのものまでいろいろ。もちろんチョコの種類もホワイト、ヘーゼルナッツ入り、ピスタチオ風味など様々です。

Pasqua venga alta o venga bassa vien con la foglia e con la frasca (遅かれ早かれ、復活祭は春の息吹とともにやって来る)という諺もあるように、 Pasqua は生命の賛歌ともいうべき春のお祭りです。Pasqua 翌日の月曜日は Pasquetta と呼ばれ、多くのイタリア人は家族や友達と連れ立って春を満喫しに郊外を散策したり、ピックニックへ出かけたりします。(少し早めの海水浴を楽しむ人も少なくありません!)

Natale con i tuoi, Pasqua con chi vuoi. 復活祭にお花見に、ところ変われど、大好きな家族や友達と春を楽しもうとウキウキする気持ちに変わりはありませんね!Buona primavera!

ダンテ・アリギエーリ シエナ
ヴァンジンネケン 玲