坂本鉄男 イタリア便り 修道院に入りたくない!? 修道女が激減中のカトリック教会の行く末は…

 ローマ法王フランシスコは、法王に就任するや直ちに歴代の法王の居館からバチカン市国内の狭い宿泊施設に移るなど、驚異的な実行力で法王庁内とカトリック教会全体の改革を進めている。

 だが、肝心のカトリック教会内部では、洗礼を授け、ざんげを聞き、ミサをつかさどるなど、信者と最も接触する司祭と、世界各地で布教のみならず救済や教育活動に当たってきた修道女の数が激減しているのだという。

 この現象は、昔からカトリック教会の中心を形成してきた西欧諸国で顕著だ。イタリアでは2002年から10年間で司祭の数が8千人、スペインでも3千人減った。

 また、修道女は、同時期にイタリアで2万人、スペインでは1万人減少した。これは、若者を中心とする教会離れにより、神学校や修道院に入り信仰生活に生涯をささげようとする志願者が減ってきたためだ。

 このため、昔は西欧諸国の司祭は自国出身者が多かったが、今ではアフリカやアジア、中南米出身の司祭が目立つようになり、修道女も同じように欧州以外の出身者が大勢を占めている。

 今後、カトリック教会の中心は西欧出身者から南米やアジアやアフリカ出身者に移る可能性が高い。

坂本鉄男

(2016年12月4日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)