坂本鉄男 イタリア便り 漏水率の高い国イタリア 日本の10倍以上 なぜこんなに水を無駄にするの?

漏水率とは、浄水場から供給された水道水が家庭の蛇口にまで達する間にどのくらい漏れるかの割合をいう。日本全国の平均漏水率は5%と世界でも最低国の一つといわれている。

 これに対し、イタリア統計局によると、イタリア全国の平均漏水率は55%以上と極めて高い。漏水率42・9%のローマを州都とするラツィオ州の都市フロジノーネの水道は、全国最悪の71・9%の漏水率である。水道とは家庭に水を供給するよりは、地下に水をたれ流すために存在すると言いたいような数字だ。

 全国的に見ると漏水率は北伊が低く、ミラノ12・2%、トリノ24・6%、ベネチア28・7%であるのに対し、南に下っていくに従って悪くなり、フィレンツェ45・7%、ナポリ34%、シチリアの州都パレルモ45%などとなっている。

 中・南伊の漏水率が高いのは、地方自治体が財源難のため水道施設の老朽化に対処し切れない点にある。これだけ飲料水を無駄に地下に流してもそれほど困らずにこられたのは、イタリアが全国的に見れば豊富な水源に恵まれているためだ。

 とはいえ、シチリアなど南部では、夏の渇水期には水不足で断水する市町村が出現する。世界的な温暖化時代だ。今のうちに老朽化に対処しておかなければと心配になる。

坂本鉄男

(2018年2月18日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)