イタリア マンドリン通信<CD録音体験><リタイアパーティ><新しいオーケストラへ入団>

<ミラノオーケストラCD録音体験>

日本の一時帰国からミラノに戻り、まずCD録音に参加しました。当初はクラシック音楽を指揮者は考えていたようですが、オーケストラのプログラムの一つ、映画音楽に変更となりました。一安心。木曜日の練習日から参加して、金曜と土曜の7時間/日スタジオに籠りの録音でした。

録音担当の若者は、ざっくばらんの冗談交じりで、皆ブラーボだと言いながらのリラックスした時間。とは言え、雑音や指揮の振りが合わなかったり、一つの曲を何回も弾くという結構疲れる作業。勿論息を潜めながら、楽器に触れて変な音にならないようにと慎重に。音程も狂いやすく調弦何回もしながら。ある程度休憩時間もあり、肩を解したり新鮮な空気を吸いに外に出たり。でも狭いスタジオに籠りは辛かったですね。

二日目はお昼にピッツアを皆で食べに行くと聞いていたので、楽しみでした。皆でお喋りしながら、勿論ワインやビールを飲みながら。ビールやワインを飲んでも、平気にこなすイタリア人。まあ、ソフトドリンク扱いですね。私も気にもしませんでしたが。。。

私はもう録音は終わりだと思っていましたが、実はそうではなく、映画音楽は終了しましたが、午後はやらないと思っていたクラッシック曲を、何回か合わせて録音。私は全部の話を聞き逃しているようで、時々こういうことがままあります。録音は初めてでしたが、かなり疲れました。帰り送ってもらった友人ももうやりたくないと言っておりました。私も同意見です。

早めに終了でき家路に着きました。すると隣のシニョーラからメッセージが入り、週末にピッツア作るからお裾分けいただき、夕飯もピッツアと相成りました。一日に2回のピッツア。

<イタリア友人女性のリタイアパーティ>

ある日、ミラノオケの同じパートの通称Emaから「ユミコ、明日の土曜日夜に、私のリタイア祝いパーティをするんだけど、来ない?」との誘い。おめでとう!と言い、暇でしたので興味あり承諾しました。急遽WhatsAppに参加者のグループが出来、色々の連絡が飛び交いました。

(彼女へのプレゼントはどうするのかなあ?)と思いましたが、当日にある仲間が言い出しました。はい、当日。取り敢えず私は皆でお金出し合ってという彼の案に賛成だけして、彼とEma友人のRobの二人に任せることに。

場所はミラノから40分位離れた郊外の公園内で、自然のlaghettoという小さな池があり、イタリア人に人気の生演奏バーというカジュアルな店。飲み物はビールとワイン、大体pizzaとなり会は始まりました。飲食が落ち着くと本人が用意した大きなケーキが登場。ろうそくではなく花火!点火すると大盛り上がりとなり、「おめでとう!」の嵐。またこのケーキの表面は南国の海辺。彼女は当然海大好き。なんか意味あるなあと。

Emaは銀行員で55歳で定年。友人に聞くと、銀行員は定年が早いとか。通常は65歳だそうです。写真の彼女は定年?とは言えない若々しさ。でも、もうすでに海辺の別荘が2つあり、つまりもう海辺の別荘生活に突入ということです。ですから、お祝いケーキが海辺のデザインなのでした。納得。イタリア人はリタイアしたら海での生活に憧れですから最高の笑顔でした。

パーティはお開きとなり駐車場に行くと、なんとEmaの車は、新車のBMWクーペのコンパーチブル!友人Robに「これ新車?」と聞くと、「そうだよ、1千万円越えだよ」と言いました。イタリアの銀行員てそんなに、給与と退職金良い訳???別荘2件と高級車。。。唖然でした。

後日、あるイタリア人にこの話をしたところ、銀行員は早期退職制度があるとのこと。つまり、その制度を受け入れれば更なる退職金の上乗せがある。ま、これは日本の大手企業と同じですね。でも年金も良いらしいので、大半は喜んで退職するようです。この話をしてくれたイタリア人は「羨ましい限り。。。」と言ってましたね。

<新しいオーケストラへ入団>

現在所属しているミラノオーケストラの5人位のメンバーが、ミラノで活動しているもう一つのマンドリンオーケストラでも弾いていることを最近知りました。そこの代表は私も知っており、マンドリンのサマーキャンプで知り合いました。少し個性的な方で、お喋りでアグレッシブな性格のイタリア人です。

ある日、ミラノオーケストラのVというメンバーが私にそこで弾かないか?と聞いてきて、暫く考え、取り敢えず彼らの練習に参加。編成は15人位ですが、若い世代のメンバー多く、10代から30、40代で驚きました。勿論シニアもいますが。そして14歳のピアニストが、なんと今回のピアノ協奏曲の独奏者と聞きまたビックリ。代表はボランティアで、若い人のマンドリン奏者の育成をしているのです。そして、日本人ソプラノ歌手、チェロ・フルート・クラリネット奏者も居り、編成が面白く、早速翌週土曜日のBergamoの修道院でのコンサートに参加することに決定。

Bergamoは大好きな街で、この修道院も素晴らしいので楽しみでした。当日は、何台かの車で分乗して到着、早速リハ開始。実際、小さいけれど中々見られない美しい祭壇と煌びやかな教会でため息。

前日に代表から、ある譜面を持参せよと連絡あり、私は用意がなかったのでどんな曲かなと思ってました。それはアンコール曲で、タイトル見て驚き!フラメンコ曲でした。実は、このオーケストラにはフラメンコギタリストが居り、リハの最後に彼がソリスト
としてこの曲を演奏することが判明。

前奏は長いフラメンコのソロ、そしてどこからオケが入るのか分からないのは多分私だけ。隣の代表の合図で無事オーケストラが演奏。私以外は普通に演奏してましたね。あとで、ソプラノの方に事前に練習で合わせず、「いきなりこんな難しい曲弾くことあるの?」と聞くと、「まあ、何回か弾いてるから、あるかも。。。」と。簡単ではないですこれは。私は初見でしたから、譜面眼視で緊張したのは当然。サラッとリハ終了。ま、イタリアではこんな感じです。

本番近づくと、修道院ですからシスター10人位が前方席に陣取り、観客もまずまずでコンサート開始。MCは代表。シスター達を弾きながらチラチラ見ると、数人がスマホ片手に夢中で撮影しているのを見て、映画「天使にラブソング」みたいだなあと。

少年ピアニストも、堂々とモーツァルトのピアノ協奏曲を弾き切り、アンコールでショパンかリストの有名な曲(名前思い出せない)を披露し、割れんばかりの拍手で、いや~素晴らしい演奏でしたね。さて最後のアンコール曲、フラメンコギター協奏曲は観客の熱い視線の中、勢いあるスピードと、驚くようなフラメンコギターのソロが教会に鳴り響き、異様な雰囲気でした。シスター達ももう、前のめりで撮影に没頭!

割れんばかりの拍手の中、コンサートは無事終了。なにか正直どっと疲れました。とは言え、ミラノオーケストラとは色彩異なるこの演奏スタイル、結構面白いなあと。日本人の入念な準備とかなく、しかし代表は結構細やかな配慮です。しかし、イタリア人
の本番の強さと大胆さを、改めて思い知ったコンサートでした。それにあっさり参加して弾いている私も半分イタリア人か?と感じた日でありました。これはもう慣れか。