連続文化セミナー 『文明の交差路~シチリア』第2回


19世紀のイタリアオペラからみたシチリア-「シチリアの晩鐘」「カヴァレリア・ルスティカーナ」などを通して』

 

シチリアの歴史と文化をより掘り下げて知る機会を持つために企画された連続文化セミナー第2回として、「19世紀のイタリアオペラからみたシチリア」と題して、2月2日(土)に二期会のテノール歌手の小原啓楼先生(聖徳大学音楽学部講師)にご講演をいただきました(参加30名)。

 

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「歌は世につれ、世は歌につれ」19世紀のイタリア。オペラ華やかなりしこの時代はイタリア社会が大きく変化していった時期でもありました。この時代のオペラからシチリアはどのように見えていたのか、シチリアを舞台とした作品を通じて解説をいただきました。

 

取り上げられたオペラは、

ロッシーニ<タンクレディ>1813年

ドニゼッティ<グラナダのアラホール>1826年

ヴァッカーイ<メッシーナの花嫁>1839年

カターニャ出身のベッリーニ<海賊>1827年

実際の事件を題材にしたヴェルディ<シチリアの晩鐘>1835年

そしてやっと初めてイタリア人台本作者ヴァルガによるマスカーニ<カヴァレリア・ルスティカーナ>1890年 が登場する。

 

この流れを見るとイタリアが統一されるまでは「19世紀のオペラにとってシチリアは遠い<異国>だった。」といえよう。シチリアは、ヴァルターが述べているように「オペラハウスは狂気の館。」に相応しい題材の提供源だった。

 

講演は、著名な歌手が歌うそれぞれのオペラのアリアを聞きながら、歌唱の変遷の解説を加えるという充実したものとなりました。

最後に、カターニャでの勉強を終えて帰国したばかりの弟子の宮脇さんがシチリア―ナの独唱を聞かせてくださいました。