イタリア人大学生奮戦記 「Tuは何しに日本へ?2014年版(Perché sei venuto in Giappone nel 2014?)【最終回】涙、涙の卒業式」

20140826-3
「日本語・日本文化講座*」受講の為、この夏を東京で過ごすイタリア人大学生が自分達の目で見、聞き、体験したことを自分達の言葉(日本語とイタリア語)で綴るリレーブログ。
今回はいよいよ講座も最終日となり、卒業式を迎えることになりました。その模様を事務局がリポートします。—————————————————————————————————————————

一か月にわたる「日本語・日本文化講座」の最後を飾る日本語劇による成果発表と卒業式が弦間会長、島田副会長を始め、ホストファミリーの皆様や今回の講座を支えて下さった方々の立会いの下、日伊協会で行われました。

20140826-1まず山田専務理事司会により、本講座の概況報告と主任講師のValerio先生から全体の総評がありました。
「(冒頭、山田さんからのお話のように)多くの方々の協力により、本講座が開講できたこと、感謝申し上げます。この講座は三つの要素からなっています。第一は日本語講座。本年も昨年と同じ講師による指導ができ、これまでの基盤の上での指導であったので、レベルの高い教育が出来たことを感謝したいと思います。二番目はホームステイ先です。今年は少人数だったことが幸いして、日伊協会が安心してお願いできるホームステイ先であったので全く問題なく、学生達は大変充実した生活を過ごすことができました。ホームステイ先の皆様にもお礼申し上げたいと思います。最後に事務方の協力があればこそ、この講座が運営される訳です。Grazie mille! 来年またお願い致します。」

続いてイタリア人大学生による日本語劇「ももらえもん」が披露されました。これはドラえもんと桃太郎が合体した楽しいパロディで、15分間の日本語劇を見事演じ切ってくれました。今年は日本語劇の後に、各々自分たちの街の紹介がありました。

20140826-2

20140826-4その後、長谷川先生、増田先生の日本語講師陣から日本語講座の講評がありました。

「毎年、日本が好きで、日本に来たくて来てくれる可愛い学生さん達ばかりです。特に今年の学生さんは真面目で遅刻することもなく、予習復習もしっかりしていました。遊びで来た訳でなく、しっかり学ぼうという意識があり、日本語劇も自分達だけで準備してきました。今日の劇は200点の素晴らしい出来でした。」とお褒めの言葉を頂きました。小峯先生からは学生一人ひとりに、日本語の名前を漢字でプレゼントされました。

弦間日伊協会会長からのご挨拶
「6人の皆様が素晴らしい演劇とお話をしていただきまして、感動、感激と感謝の気持ちで一杯でございます。この講座が回を重ねるごとに、日本とイタリアとの関係が強くなっていく気がしておりますし、(我々も)これからも精一杯続けて参りたいと思います。支えていただいた方々、語学を教えていただいた方々、またご協力いただいた企業の皆様、そして事務の方々、皆の力によってこのような形に結実したのではないかと思っております。

20140826-5劇を見て、まず(コンセプトをしっかりと作られ、コンテンツをしっかりと練り上げられ、その上でストーリーが出来上がっているなぁ!)と感じました。更にキャスティングが素晴らしかった。そしてもっと大事なことはスピリッツ(精神)が植え込まれてあったことに感動を覚えました。これは皆さんにいい経験になると思います。

人生というのは「出会い」です。この出会いは「運命」にも結び付くでしょうし、「タイミング」にも結び付くでしょう。そして人と人との「つながり」にも結び付くでしょう。こういうことを是非大切にしていただきたいですし、この出会いを皆様方の人生の礎(いしずえ)にしながら頑張って行くことで、素晴らしい人生が開けるということを私は確信しております。出身地の紹介も本質をついていました。歴史も語り、文化も語り、伝統も語り、自然も語り、食の状況まで語っていただきました。これを聞くと、(行ってみたい!)という気持ちになりましたので、素晴らしいスピーチであったと思います。

小峯先生から日本名の漢字のプレゼントがありましたが、これはいい記念になると思います。日本を思い出した時に見ていただきたいし、それを見た時に日本を思い出してもらいたいと思います。

今回参加されたのは6人ですが、「一滴が大河になる」という意味では「六滴がこれから素晴らしい大河になっていって、ますます日本とイタリアとの交流が結実するということを確信しております。これからも私達はその使命をわきまえながら、活動してまいりますので、ご支援とご協力をお願い申し上げて、私からの挨拶に代えさせて頂きます。」

20140826-6
第二部はこのひと月間に行われた講座や思い出の場面を、5分間に編集したビデオを上映。ご来場いただいた皆様にご披露しました。学生達は懐かしい場面や自分が出てくるシーンの度に歓声をあげていました。

その後、島田副会長から修了証書の授与、ホストファミリーの皆様への記念品の授与が行われ、ホストファミリーの一人、神田理事からは心温まる感動的なご挨拶を頂きましたので、ご紹介します。

「昨日から雨が降っております。これを日本人は「遣らずの雨」と呼んでいます。皆さんと同じだと思いますが、私の心の中では泣いています。これは愛しい人、大事な人に(帰らないで!)という気持ちが雨になっていると言われています。

20140826-7この気持ちは北村さん、ハツヤさん、日伊協会のスタッフの皆さん、お世話になった方々が皆、同じ気持ちで、皆さんに帰ってほしくないのです。みんな泣いています。この涙を止めて欲しいのです。でもこれを止める方法は唯一つしかないのです。それはいつの日かまた笑顔で元気で帰ってきてくれることです。ですからこの夏一か月のことを忘れず、必ずいつか帰ってきてください。」
学生たちは目に大粒の涙が溢れ、止まりませんでした。

その後、記念撮影、そして懇親会です。会場にはお世話になった方々、関係者を始め、昨年本講座に参加し、現在、日本に滞在中の二人の学生も駆けつけてくれて、この一か月の思い出話に花が咲きました。開講ガイダンスの時は寿司でおもてなしをしましたが、卒業式は本格的なイタリア料理のケータリングに舌鼓をうち、楽しい会話は尽きるところがありませんでした。学生達はお世話になった皆さんとの別れがたい思いがあるのでしょう、別れの宴はいつまでも続きました。

本年度の講座は終了しましたが、来年度以降も講座は継続されます。今後とも皆様のご理解とご支援の程、よろしくお願い致します。

20140826-8
*「日本語・日本文化講座」は日本からイタリアへ文化発信する事業に助成することにより、日伊双方向の交流促進を目的として設置された日伊文化奨励基金の一部が活用されています。