日伊協会同時通訳付き特別セミナー『マルケ州の魅力―マルケ州はなぜ複数形なのか』ご報告

マルケ13去る9月13日(土)の午後、約40名のご参加を頂き、第5回目となる同時通訳付き特別セミナーを開催いたしました。このセミナーでは、毎回、日伊協会のイタリア人講師がスピーカーを勤め、日頃、日伊協会のプロ養成講座の同時通訳コースで修練を積んでいる生徒さんたちが同時通訳を行います。会場は、青山教室の201号室。この教室には、本格的な同時通訳ブースが完備されており、同時通訳の授業の他、今回のような同時通訳付きセミナーや会議にも使用されています。

さて、今回のセミナーのテーマは、『マルケ州の魅力―マルケ州はなぜ複数形なのか』。スピーカーは、NHKイタリア語講座でもご活躍中のマルケ州アンコーナ出身のアンドレア・フィオレッティ先生です。イタリア語を学んでいらっしゃる方なら“Le Marche sono una regione italiana.”という文章の文法的矛盾がお分かりになると思います。そう、マルケは1つの州(単数形)なのに、主語も動詞も複数形になっています。なぜマルケ州は複数形なのでしょう? “Marche”の単数形“Marca”は、ドイツ語の“mark”、すなわち「境界の土地、辺境領」が語源になっています。その名のとおり、19世紀にイタリア王国に統合されるまでは、マルケはいくつもの領土に分かれていたのです。セミナーでは、この“Marche”という言葉に表されているマルケ州の「多様性」について、歴史、地理、芸術、料理など多方面から、たくさんの映像とともにお話しいただきました。

日本では、まだまだ馴染みの薄いマルケ州ですが、ルネッサンス期の巨匠ブラマンテやラッファエッロ、また作曲家ロッシーニを輩出し、地理的にも、風光明媚な海岸線と中世都市がそのままの姿で丘の上にそびえたつ丘陵地帯を併せ持つ、とても魅力的な土地なのです。

アンコーナやウルビーノなどの主要都市はもとより、地方都市にしても、例えば、毎年夏にオペラフェスティバルが開催される大変美しい野外劇場を有するマチェラータ、中世時代から製紙業で栄え、今もユーロ紙幣を印刷している工場があるファブリアーノなど、興味深い街がたくさんあります。マルケ11

最後は、美味しそうなスライドとともに紹介された郷土料理のお話で会場も一気に盛り上がりました。

約1時間のセミナーのあとは質疑応答、回を重ねる毎に上達されている同時通訳者の皆さんの実力が遺憾なく発揮されていました。

セミナー後の懇親会では、アンドレア先生の周りには常に人垣が!みなさん、楽しそうにご歓談されていらっしゃいました。

今後も継続して企画して参りますので、次回もどうぞご期待ください!