坂本鉄男 イタリア便り マフィアボスの受刑者どうする…罪を憎んで人を憎まず?

シチリア・マフィアのボス中のボスとして君臨したサルバトーレ・リイーナ受刑者をめぐる議論が現在、イタリアで沸き立っている。マフィア仲間のみならず、元憲兵総司令官からマフィア担当の敏腕検事、その護衛の警察官を含む、数十件の殺人事件の首謀者として20以上の終身刑(イタリアには死刑は存在しない)を宣告された「凶悪犯」。1993年に逮捕され入獄し、80歳を超えて現在は病気療養中だ。

彼は、逮捕されるまで24年間にわたり警察の目を逃れ、その間もマフィアを指揮し、罪を犯し続けた。逮捕後も司法当局の捜査に協力することはない。

 だが、最近、最高裁判所の判事の一部から「いくら重罪犯でも高齢で重病なのだから最後は自宅で死なせるべきでは」との意見が出た。すぐに、これに対する反論がわき起こった。<br /><br /> 犠牲者の家族や捜査当局者の間では、数十年にわたり国家権力に対抗して凶悪な犯罪を重ねてきた者に対し、国家が科した罰を最後まで負わせるべきだとの意見が圧倒的に多い。

日本でも犯罪者の権利を重んじて、被害者の家族の心情などを軽んじる判決や意見が多いとの指摘がある。「罪を憎んで人を憎まず」。犯罪者が真に悔悟したときにのみ、使うべき言葉ではないだろうか。

坂本鉄男

(2017年6月25日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)