『日伊文化研究第65号(2027年春刊行予定)』の原稿募集のお知らせ

日伊協会インフォメーション

公益財団法人日伊協会の学術論文集『日伊文化研究』は、日伊協会会員のみならず、全国の大学、図書館に無料配布され、全国のイタリア研究者にとって、自らの研究成果の発表の場となっています。またイタリアに関する新刊紹介を、専門分野の方々にご紹介いただいております。『日伊文化研究』は
・さまざまな視点からひとつのテーマを掘り下げる「特集」
・研究やエッセイなどの「自由論題」
・「新刊紹介」の三つを常設の項目とし、
その他に「講演」「追悼」「書評」などの項目を適宜おいています。

本誌は年に1冊のペースで定期刊行されており、第63号が今春発行 され、現在、第64号を編集中です。今回募集しますのは、2027年春に刊行予定の第65号となります。以下の要領で原稿を募集しています。『日伊文化研究』は会員にひらかれた発表の場です。積極的にご応募下さい。

レッジョ・エミリアの教材

■2027年春発行予定第65号特集「教育」のご案内 (2026年5月31日締切)

イタリアは、ヨーロッパで最古とされる大学をいくつも擁し、中世以来、高い水準の高等教育を誇ってきました。その一方で、農村を中心に、普通の人々が教育を受ける機会は乏しかったようです。それをうかがわせるのが識字率(読み書き能力)です。19世紀初頭において、イタリアはヨーロッパの中で男女ともに識字率の低い国(まだ統一国家は存在しませんが)の一つに数えられています。イタリア統一後まもなく、義務・無償を原則とする、当時としては先進的な初等教育の制度が導入されましたが、自治体の財源不足や保護者の教育に対する不信・無関心といった事情もあって、学校の設置は遅れ、未就学児童も多いという状況が長く続きました。

 しかし、それも今は昔の話となりました。現在ではイタリアの学力水準は、PISA(学習到達度調査)の読解力順位などを見ても分かる通り、ヨーロッパの中でも中位から上位を占める状況にあります。それどころか、20世紀前半に確立されたマリア・モンテッソーリの教育手法や、第二次世界大戦後のレッジョ・エミリアで生み出された教育方法のように、児童・生徒の個性にあった教育、主体性を重視する教育を重視する観点・手法が世界的な注目を集めるようになっています。また、特別支援学校を廃止したフルインクルーシブ教育に対する関心も高まっています。

 次号の特集は、こうした紆余曲折の長い歴史を持つイタリアの「教育」について再考する機会にしたいと思います。もちろん、「教育」は学校教育に限定されるものではなく、生涯教育などを含む幅広いものを想定しています。

皆様のご寄稿を心よりお待ちいたします。

■自由論題 (2026年5月31日 締切)
【論文】イタリアの歴史、文化、社会、経済あるいは日伊関係に関する優れた論文を募集します。
デジタル化された原稿で、40字X40行9 ~11枚 (図版原稿中の写真・図版は合計10点まで
〔1枚400字見当〕、註を含む)。

【エッセイ】イタリアに関するユニークな切り口の文学的味わいに富んだ作品を募集します。
デジタル化された原稿で、40字X40行6~ 9枚 (図版原稿中の写真・図版は合計10点まで
〔1枚400字見当〕、註を含む)。

■新刊紹介 (2026年8月31日 締切)
2025年10月以降に刊行されたものを対象とします。デジタル化された原稿で、1500字以内。
送付先 日伊協会「日伊文化研究事務局」 bunka-kenkyu@aigtokyo.or.jp
・投稿は日伊協会会員であることを前提とします。・連続投稿は原則として受け付けません。
・2026年6月(予定)に開催される編集委員会で審査の上、採択(仮採択、条件付き採択を含む)を決定します。仮採択、条件付き採択の場合の最終原稿締切は同年9月30日とし、その段階で編集委員会が再閲読します。最終原稿はデータおよび打ち出し原稿にて提出していただきます。著者校正は原則として初校までとします。
・原稿料はお支払いしません。なお、原稿はお返ししません。