坂本鉄男 イタリア便り 不況とサッカー人気

 今年のサッカー・イタリア1部リーグ(セリエA)の公式試合は本日5月19日をもって最終日を迎え、来月からは来季への練習が始まる。

 さて、不況の続くヨーロッパでは、各国の経済危機の程度により1試合当たりの平均入場者が激減した。イタリア紙によると、経済状況の悪い国から順に見ていくと、ギリシャ(10ユーロ=約1300円、以下括弧内は大衆席の平均入場料)では、1試合の平均入場者は4600人で、スタンドの満席率は28・3%。ポルトガル(15ユーロ)は8800人で満席率38・3%と経済低迷状態がわかる。

 次いで、イタリア(22ユーロ)の平均入場者は2万人で満席率48・1%、スペイン(30ユーロ)は2万8千人で満席率84・2%と、両サッカー王国では不況でも、ファンはやり繰りしてでも試合場に足を運ぶのが分かる。フランス(15ユーロ)は入場者が1万8千人で満席率66・3%とまあまあだ。

 入場者が多いのはやはりドイツと英国である。ドイツ(25ユーロ)の平均入場者は4万2千人と断然多く、満席率も86・1%と経済大国ぶりを見せている。だが、満席率1位は英国(ユーロ換算で28ユーロ)だ。入場者数3万5千人で満席率94%。さすがはサッカーの祖国、サッカー熱が高い国らしい。

坂本鉄男
(5月19日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)