坂本鉄男 イタリア便り

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坂本鉄男 イタリア便り ローマ軍団の常備食だった「ペコリーノ・ロマーノ」と生のままのソラマメ

春の到来とともにローマ市民は、祭日や日曜日には家族や友人たちとピクニックを楽しむ。最近は車にバーベキューの道具一式を積んで出かける人が多い。バーベキューの材料は、鶏肉や昨年の秋に生まれた子羊の肉、生ソーセージなどが主役だ。だが、一種のつまみに必ず用意するのが莢(さや)ごとのソラマメと羊乳のチーズ「ペコリーノ・ロマーノ」だ。 ソラマメは莢からむいて生のまま食べるが、塩味のやや利いたチーズと相性が良い.... Read more
2018.05.10
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坂本鉄男 イタリア便り アッシジの5月祭の起源は…

5月を意味する英語のmayも、イタリア語のmaggioも、語源はローマ神話の豊穣(ほうじょう)の女神Maiaにささげた月に由来する。ヨーロッパ各国では昔から、春の到来を祝う祭りとして5月初めに「5月祭」が存在した。 イタリアでは、共和国憲法第1条が「イタリアは労働に基礎を置く民主的共和国である」と定めてから、5月1日は「労働者の祭典のメーデー」として国民祭日になったが、昔は各地に春祭りがあった。現.... Read more
2018.05.10
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坂本鉄男 イタリア便り 熱湯の中で苦しませて死なすのは残酷との理由で…

イタリアのある雑誌によると、スイスでは今年の3月1日から、伊勢エビやオマールエビなどを生きたまま熱湯に入れてゆで上げるのを禁止しようと考えていたという。理由は、一気に殺すのと違って、熱湯の中で苦しませて死なすのは残酷だからだとか。 安土桃山時代の大盗賊で「釜ゆでの刑」にされた石川五右衛門が聞いたら「今度生まれ変わってくるならスイスだ」と思うに違いない。 だが、海がないスイスだとオマールエビなどは、.... Read more
2018.04.26
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坂本鉄男 イタリア便り 胃袋を満たす胃袋料理「トリッパ」 愛される「歯応え」

イタリアの臓物料理の代表的なものの一つはトリッパだ。牛の胃袋料理である。 牛は上前歯がないので、長い舌で草やわらをからめ、まな板のように硬い上の歯茎と鋭い下歯で切り取った後、奥歯でかみ、胃に送り込む。“うのみ”状態にも近いため、牛の胃袋は4つの部分から成り立つ。口から飲み込んだ草などを第1胃と第2胃である程度、消化した後、もう一度口に戻しかんでから再び第1と第2の胃を経由して第3と第4の胃に送り、.... Read more
2018.04.18
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杞憂といえるか 「ローマだけは避けて…」中国宇宙施設「天宮1号」落下騒動

古代中国の周の時代、小さな杞という国のある男が、「もし天が落ちてきたら、また、地が崩れたらどうしよう」と心配し、夜も眠れず昼は食べ物ものどを通らなかったという。「無用に憂うこと」を意味する「杞憂(きゆう)」は、この話から生まれたと言い伝えられている。 去る4月1日から2日にかけて、イタリアの中部から南部にかけての住民は、中国の無人宇宙実験室「天宮1号」の破片が落ちてくるのではないかと気をもんだ。結.... Read more
2018.04.18
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坂本鉄男 イタリア便り 4月1日はイースター イエスの磔刑と復活

今日は復活祭(イースター)である。つまり、この日の朝、聖母マリアとマグダラのマリアたちが2日前の金曜日に磔(はりつけ)にされたあと埋葬されたイエスの墓参りに行ったところ墓は空でイエスがすでによみがえっていたことを、つまり復活していたことを知るキリスト教徒の最重要な祭日である。 古代ローマでは、磔刑(たっけい)は反逆罪や殺人などを犯した重罪人に科せられた。イエスは当時のユダヤ教支配層を厳しく批判した.... Read more
2018.04.18
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坂本鉄男 イタリア便り ナポリ式ピッツァ「マルゲリータ」の由来ってご存じですか?

昨年12月中旬、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の文化遺産にナポリのピッツァ職人の技術が選ばれた。ナポリで生まれたピッツァは今や日本を含め世界中に普及し、世界一ピッツァ好きの米国人の1人当たりの年間消費量は13キロと、本場イタリア人の7.6キロをはるかに上回る。とはいえ、イタリア中では毎日500万枚のピッツァが焼き上げられ年売上総額100億ユーロ(1兆2,300億円)という一大食品産業である。 ナ.... Read more
2018.04.05
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坂本鉄男 イタリア便り 就職試験シーズン…縁故主義、どこにでも

就職試験の季節が始まろうとしている。「君はいいな、コネがあるから」などの会話が聞かれるシーズンである。コネ、すなわち縁故主義は英語でもフランス語でもネポティズムである。この語源は、中世のカトリック教会で世俗的権力を持った高位聖職者が後継者に自分の息子を、ラテン語でネポス、つまりイタリア語の「ニポーテ(おい、めいの意)」と称し登用する悪例から端を発したといわれる。 その最悪の例を作ったのが、約5.... Read more
2018.04.05
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坂本鉄男 イタリア便り 倒木が相次ぐ「ローマの松」…赤字の市当局は四苦八苦

「ローマの松」というと、音楽愛好者は誰でも作曲家、レスピーギ(1879~1936年)を思い出す。彼は1913年、ローマのサンタ・チェチーリア音楽院の作曲科教授として赴任して以来、ローマの自然と風物に魅了され「ローマの泉」「ローマの松」「ローマの祭り」の3部の交響詩を作曲した。 さて、レスピーギを魅了したローマの松だが日本と剪定(せんてい)方法が違う。日本の松は下の方から左右に枝ぶり良く枝を張らせる.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 漏水率の高い国イタリア 日本の10倍以上 なぜこんなに水を無駄にするの?

漏水率とは、浄水場から供給された水道水が家庭の蛇口にまで達する間にどのくらい漏れるかの割合をいう。日本全国の平均漏水率は5%と世界でも最低国の一つといわれている。 これに対し、イタリア統計局によると、イタリア全国の平均漏水率は55%以上と極めて高い。漏水率42・9%のローマを州都とするラツィオ州の都市フロジノーネの水道は、全国最悪の71・9%の漏水率である。水道とは家庭に水を供給するよりは、地下に.... Read more
2018.02.21