坂本鉄男 イタリア便り 4月1日はイースター イエスの磔刑と復活

今日は復活祭(イースター)である。つまり、この日の朝、聖母マリアとマグダラのマリアたちが2日前の金曜日に磔(はりつけ)にされたあと埋葬されたイエスの墓参りに行ったところ墓は空でイエスがすでによみがえっていたことを、つまり復活していたことを知るキリスト教徒の最重要な祭日である。

 古代ローマでは、磔刑(たっけい)は反逆罪や殺人などを犯した重罪人に科せられた。イエスは当時のユダヤ教支配層を厳しく批判したため、ユダヤ人評議会からローマ帝国への反逆者として死刑宣告の権限を持っていたローマの属州総督ピラトに渡された。ピラトはイエスの無実を信じたが、ユダヤ人たちの圧力に屈して磔刑が宣告されたという。

 磔刑による処刑人数が多いので有名なのはキリスト教と関係はないが紀元前73年にベスビオ山麓で起こった剣闘士スパルタクスの反乱である。制圧後捕虜6千人がナポリ北のカプアからローマへのアッピア街道沿いに見せしめのため磔にされ鳥の餌食にされた。

 磔になっても即座に死ぬのではない。罪人は両手首を横木に、両足首を柱にくぎで打ち付けられ体重で体を支えられなくなって呼吸困難になり、長時間苦しんで死んだのである。

 キリストも正午近くに磔にされ午後3時ごろ息を引き取ったとされている。

坂本鉄男

(2018年4月1日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)