連続文化講座『ファシズムと芸術』 
第3回ファシズム期の建築家たち ―ムッソリーニとイタリア合理主義建築家



ファシストたちがイタリアの政権を担った1922年から42年の「ファシズムの時代」を生きた芸術家たちとその作品について、様々な分野の専門家が数回にわたってわかりやすく解説します。

古代ローマ、ルネッサンス、バロックの芸術でおなじみのイタリアですが、20世紀前半、特にこの困難な時代の芸術の世界ものぞいてみませんか?


第3回ファシズム期の建築家たち ―ムッソリーニとイタリア合理主義建築家

 ファシズム期のイタリアでは、数多くの公共建築がつくられ、また都市も改造されました。このような建築、都市政策については、戦後数十年間否定されてきましたが、最近になって再評価する研究もみられるようになってきました。

その一つは、ムッソリーニが建築によって国民を教化できると考え、建築の潜在的な力を理解し利用していたという評価です。そこで今回はまず、ムッソリーニを建築家という立場におき、彼が熱心に取り組んだローマの都市改造を取り上げ、彼が建築によって意図したかったことについて読み解いていきます。

ところで、1920年代は、ヨーロッパの他の国々の近代建築運動に影響を受けた若手建築家たちが「イタリア合理主義」と呼ばれる建築運動を開始した時期でもありました。後半では、このイタリア合理主義建築家たちがファシスト体制においてどのように近代運動を進めていったのか、特に北イタリアのミラノ、コモの建築家たちの活動を中心にして紹介したいと思います。

<講師プロフィール>

■北川 佳子(きたがわ けいこ)

建築家、大学非常勤講師。早稲田大学大学院博士後期課程単位取得満期退学、博士(工学)。イタリア政府給費生としてミラノ工科大学に留学。早稲田大学で専任助手、建築設計事務所勤務の後、独立。現在は建築設計と並行してイタリア近現代建築史および西洋都市論の研究を行っている。

著書:『イタリア合理主義』(2009年、鹿島出版会)

申込名開催日時間会場参加費備考
S-SF36/28(土)16:30~18:00青山
石川記念
ルーム201
会員2,000終了
受講生3,000
一般