「日本語・日本文化講座*」受講の為、この夏を東京で過ごすイタリア人大学生が自分達の目で見、聞き、体験したことを自分達の言葉(日本語とイタリア語)で綴るリレーブログ。今回は日伊協会理事で、今回、ホームスティペアレントをしていただいている神田さんが、イタリア人大学生との楽しい週末の交流の模様を伝えてくれました。ご家族を始め、お友達やそのお孫さんまで一緒になった、盛り沢山のおもてなしの心あふれるひとときの模様をお楽しみ下さい。
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来日からはや3週間が経過し、留学生たちも日本の生活に大分慣れた8月16日(土)、鎌倉、江の島、横浜へ行ってきました。我が家からはスザンナと私、それに夫と孫娘が加わり、目黒駅でアレッシアとフェデリーカ、ルドヴィーコと合流しました。ロベルタとは鎌倉駅で待ち合わせ、さらに夫の友人で横浜在住のS氏がお孫さんを連れて参加、総勢10人のツアーとなりました。不慣れな夫が急遽徹夜で練り上げたスケジュールはかなりハードでしたが、地元に詳しいS氏のお蔭でスムーズにこなすことが出来、留学生たちも大いに満足してくれたようです。
鎌倉八幡宮からスタート、江ノ電に乗り長谷駅で下車し鎌倉大仏で有名な高徳院へ。彼らは日本の神社と寺院の違いや、参拝の仕方も事前に学んできていて、「二拝、二拍手、一拝」だとか「神殿では合掌はしない」などと話しているのには驚きました。境内に入りしばらく行くと、突如前面に現れる巨大な大仏の姿には皆圧倒され、盛んにカメラに収めていました。
昼食後には海水浴客で混み合う江の島へ。立錐の余地もない砂浜で、彼女たちがいきなりバスタオルを体に巻き付け、起用に水着に着替え出したのには周りも動揺し、目の遣り場に困りましたが、茶目っ気たっぷりなその様子には、逆に好感を持たれたようです。外国人の多い浜辺でも一際目を引き、きっとその場に居た多くの人の携帯やデジカメには、彼女たちのビキニ姿が残されていることでしょう。泳ぎの得意な3人はブイが浮かぶ仕切り線までひと泳ぎ。他の2人は波打ち際で、孫たちの貝拾ろいに付き合ってくれました。小学生の二人はもう大はしゃぎです。

その後湘南モノレールとJRを乗継ぎ横浜、桜木町へ。ちょうど開催される『みなとみらい・盆踊り大会』がお目当てです。文化講座ですっかり盆踊りの虜になった彼らは早速踊りの輪の中に。見よう見真似で上手に、そしていかにも楽しげに踊っていました。アトラクションで披露された、和太鼓の豪快な連打には目を丸くし、やがて酔いしれリズムに合わせて体を動かしていました。直前に降り出した大雨で開始が1時間ほど遅れましたが、その分次第に港の夜景が一層美しく際立ち、遠くに霞むベイブリッジの下を大型船が通る姿に感嘆の声を上げては、いつまでも立ち去り難い様子でした。
夕食はデッキに設けられたテーブル席から遊園地が一望できるパスタの店で。その頃には日もとっぷりと暮れ、大観覧車やジェットコースターなどがライトアップされ、まるでお伽の国のようです。留学生たちが心から日本を楽しんでくれている姿に、同行した私たちの方が何倍も幸せを戴いているような、そんな一日でした。二人の小学生たちにとっても、一日快く遊び相手をしてくれた優しいイタリアのお兄さん、お姉さんたちと過ごした今年の夏休みは、決して忘れないでしょう。
ところで、スザンナから、ジェットコースターはイタリア語ではmontagne russe** (ロシアの山々)と言うとのだと聞きましたが、彼らの誰もその語源は知りませんでした。どなたかご存知でしたら、どうか教えてください!
神田道子
*「日本語・日本文化講座」は日本からイタリアへ文化発信する事業に助成することにより、日伊双方向の交流促進を目的として設置された日伊文化奨励基金の一部が活用されています。
**(事務局注)
Wikipediaのフランス語版によると、ジェットコースター(ローラーコースター)の起源は、17世紀のロシア、サンクトペテルブルクの氷の山をイメージしたものとのことですが、諸説あり、1784年のロシアとも1817年のパリとも言われているそうです。面白いことにほとんどのラテン語では「ロシアの山々」という名前になっていますが、ロシアでは「アメリカの山々」という名前になっているとか。
