坂本鉄男 イタリア便り 病欠は月曜日

ある有力統計機関の最近の調査結果によると、2012年度中にイタリア人労働者が提出した病欠届1336万件を曜日別に分類したところ、届け出が一番多かったのは月曜日で全体の3割を占めたという。15年度も土曜日を含む3連休が年間3回しかないイタリアだけに、土日の休日が続いたあとの月曜日は自分で3連休にしたくなるらしい。

また万が一、土日の飲み過ぎや遊び疲れで本当に病気になったとしても、土日の2日間は保険医は休診だから、診断書を書いてもらうのは月曜になる。結局、月曜日付の診断書が多いのは仕方がないのかもしれない。

年間の病欠日数は全国平均1人当たり18日だが、南北イタリアで比較するとかなり違ってくる。北部が平均15日なのに対し、南部諸州では、イタリア最南端のカラブリア州の35日を筆頭に20日以上だという。

これでは、北部の人々が南部の人々を怠け者と考え、自分たちの税金が南部に無駄に使われていると不満をこぼす理由が分かる気がする。

この点、“月曜病欠”の手段に頼る必要のない日本人は幸福だ。国が率先して1年に何日ものハッピーマンデーと3連休をつくってくれるのだから。皆さん、年末年始の長い連休を楽しくお過ごしください。

坂本鉄男

(2014年12月28日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)