「イタリア マンドリン通信」  ナポリ、ミラノでのコンサート、トリノの友人との料理教室


<ナポリでのコンサートに賛助出演>

カゼルタ(*1)で演奏活動している友人のクァルテットのコンサートを観に行く予定が、その前日に彼が時々賛助出演するカンポバッソ(Campobasso)(*2)という町のマンドリンオーケストラのコンサートがナポリであり、そこで一緒に演奏しないかと誘われました。

現地での報道
Napoli incantata dai mandolini di Ripalimosani

合同練習への参加は1回だけでしたが、友人がリハの録音(15曲)を送ってくれ、そのお蔭で事前にかなり練習することが出来ました。カゼルタから100kmのカンポバッソでのリハーサルは夜8時半からでしたが、全曲無事に弾くことが出来、不明な点も明らかになったので、本番への心配は無くなりました。

カンポバッソのオーケストラのメンバー全員は、いきなり知らない外国人が来て、この大きなコンサートに一緒に演奏する訳ですから、当然心配もあったのだと思いますが、私の演奏をしっかり聞いてくれ、安心してくれました。結果、皆温かく迎え入れてくれ、私は仲間に加えてくれたことがとても嬉しく、歓迎してくれたことに感謝しました。

練習後、食事をするために複数のメンバーとトラットリアに行き(22時過ぎ)、カゼルタに帰ったのは、翌朝2時半。。弾丸旅行でした。

このコンサートは新聞にも掲載される程のブルボン王朝生誕300年の記念大イベントで、ローマのパンテオンに匹敵する歴史的な場所(basilica)で、著名人も沢山招待されていました。当日現地に到着して、初めてそのコンサートがどんなに重要で光栄な機会であることかが分かりました。私も日本のマンドリン奏者として紹介もされ、事前に説明されてなかったのでまた驚きました。写真の民族衣装の女性は、今回共演したソプラノ歌手の方です。このオーケストラの地方の伝統衣装です。

 
私も事前に、日本の伝統衣装着てほしいと言われたのですが、あいにく持ち合わせはフォーマルな着物ではないので、残念ですが黒ドレスにしました。演奏が目的ですし、着物着て演奏なんて無理だと思いました。

このコンサートに出るきっかけはたまたまこれに出演するカゼルタの友人に「何かあなたのコンサートがあったらすぐ知らせて。行きたいから」とメールしたことから、こういう結果となりました。何でも新しいことを知りたがる好奇心と行動がいつも新しい出来事を生み出します。アマチュアでもマンドリンが弾けて、たいしたことないイタリア語でもこんな世界があるのかと、つくづく感じ入る私のイタリア生活です。何でも興味を持って実行するのが大事だと、また改めて実感しました。

<ミラノでのコンサート>

ナポリから戻った週末の土曜日は、ミラノの中心地である最新のお洒落スポット、ポルタ ガリバルディ(Porta Garivaldi)にある、有名銀行のパビリオンでコンサートがありました。この地区はかなり以前から新開発が行われており、このパビリオンも最新の建物で素晴らしいデザインです。

当日は少し早めの集合でありましたが、大体全員が揃ったのは、30分以上の遅れ。。当日指揮者が「時間厳守!」とメッセージ送ったにも拘らず。皆全然気にしておらず、ゆっくり到着してきました。私は当然15分前に着いて、会場をチェックし、舞台の良い席を確保。通常コンサートですと指揮者が決めるのですが、このオケは自由に座ります。最前列だけ、リーダーともう1名が決まってますがそれ以外は指定がないのです。私はいつも2列目に位置します。後ろになると、良く見えませんし、自分にとってよい演奏とならないからです。

今回は、2部で時々共演するヴァイオリン奏者が呼ばれていましたのでその合わせも無事終了し、音響も良く、全員の音が良く聞こえて安心しました。しかし、親しい友人の一人が到着してません。気になっていましたが、開演1時間前に誰かが彼に連絡したら、なんと日付を1日間違えていて、次の日だと思っていたようです。。。私が最後の練習時に時間とかを、彼に確認して安心していたのですが。まさか日にちを勘違いしていたとは!結局、そのとき遠方に居たらしく、残念ながら駆けつけることは出来ませんでした。。。

会場は満員で熱気に溢れており、とてもワクワクしました。最近こういう場の雰囲気に慣れてきて、お客様の期待に応えた良い演奏したいと強く考えるようになりました。緊張というより、高揚感に溢れる気持ちがとても心地よいですし、音楽をすることがより自分にとって最高と感じる瞬間です。演奏がスタートし皆も同様の気持ちでいることが伝わり、素晴らしい演奏となりました。音が良く鳴り、スムーズな演奏となりました。終了後、お客様の「Bravi!」の連呼と大拍手とスタンディングオベーションと続き、私達もとても感動出来、お客様と一体となった喜びで皆笑顔で最高でした。アマチュアではありますが、ミラノという都市で、このように沢山の一般のお客様にマンドリンオーケストラ音楽の魅力を
知って貰うことは、技術ではなく、この楽器の持つ魅力を伝える貴重な機会であったことは、間違いないことだと思いました。

<トリノに友人訪問>

6月下旬にトリノ在住の友人に会いに行きました。今年3月の市民マラソン大会でイタリア語友人が集ったときに知り合った女性です。トリノの町は初めてで、以前から訪れたい町の一つでした。

電車Italo(*3)で50分、イタリア国鉄(Trenitalia)より安く快適でした。17世紀、サヴォイア家の統治時代、都市整備と建築活動により造られた、イタリアンバロック様式の美しい町並みは、整備されていて歩き易く、重厚なものでした。Torino P.ta Nuova 駅前からまっすぐ伸びた道路の街並みは碁盤の目のように配置されており、ポルティコ(回廊)があり陽や雨にあたらずに人々が歩けるようになっています。散策にとても快適です。歴史あるお店も多く、時代とアンティークな雰囲気が落ち着きます。観光客もそれほど多くないので
、ゆっくりと散策出来ます。

翌日、その友人が月1回習っているというイタリア料理教室に参加しました。1週間前の連絡にも関わらず先生は歓迎してくださり、友人の誘いは嬉しかったです。先生はイタリア在住の日本女性で、イタリア人のご主人ともども美味しいものが大好きということでした。高い下手なレストランに行くより、家で作った方が美味しいと。私もそう思います。メニューは①ズッキーニの花のフリット(大好物)②ジュノベーゼのラザニア③桃のドルチェと何て美味しそうなんでしょう!と楽しみにしていました。

料理の素材・調味料とも品質の良いもので(Piemonteのもの)、とてもレベルの高い味に感動しました。素材の良さでこれほどまで味が変わるのかと、勉強になりました。地元にしかない物も多く、厳選されたイタリアのスローフードという素材の良さに触れた経験でした。出来上がったお料理を頂きながら、各地のイタリア料理にまつわるお話を聞きながら、充実した時間を過ごしました。

日本でもイタリア料理を習っていましたが、更に勉強になることも多く、次回のリクエストとして秋にポルチーニ料理をお願いしてトリノを後にしました。。最高に美味しかったです。

*1:Caserta:南イタリア カンパーニャ州ナポリの北約25kmに位置する人口約8万人の町
*2:Campobasso:南イタリア モリーゼ州の人口約5万人の町
*3:民間鉄道会社であるNTV社によって運行している高速鉄道会社。イタリア国内主要都市間を結んでいる。