文化セミナー 「著者に聞く」シリーズ
 第3回 『ナポリ・バロック建築の世界』

読んでから聞くか、聞いてから読むか、それが問題だ。この本の著者に直接話を聞いてみたい。そのような思いを皆様もお持ちだと思います。

文化セミナー「著者に聞く」シリーズ第3回は、 『ナポリ建築王国-「悪魔のすむ天国」をつくった建築家たち』(鹿島出版会、2015年)の著者 河村 英和先生に、ナポリが一番輝いていた17-18世紀のナポリとその近郊のナポリ独自のバロック建築について語っていただきます。

古代ギリシャ・ローマ時代の都市計画の上にたつナポリの旧市街は、17-18世紀に建設されたバロック建築の宝庫です。ナポリ王国の都ナポリは、かつてロンドン、パリと肩を並べるほどで、城壁内「イントラモエニア」だけでなく、城壁外の地区「エクストラモエニア」にも貴族の館や教会が立ち並びました。

長い歴史をもつナポリの町を特徴づけ、最も美しく飾る建築は、ほかでもないバロック時代のもの。多色大理石やマヨルカ焼きタイルの明るい色彩に、舗装や建材に使われる暗い色の火成岩のコントラストが奏でる光と影、明暗が交差するナポリは、古い諺で「悪魔のすむ天国」と呼ばれます。「ナポリを見て死ね」というほど美しい、湾の風光絶佳はまさに「天国」である一方、貧困問題を抱え、狭く暗い路地に住み、良くも悪くも独特な気質のナポリ人が「悪魔」に喩えられたわけですが、治安が悪く「悪魔」がいそうな地区ほど、「天国」のように美しい建物が隠れています。

<講師プロフィール>
■河村 英和(かわむら・えわ)

東京大学大学院人文社会系研究科特任准教授。東京工業大学工学部建築学科卒、ナポリ・フェデリコ大学建築学部建築史科phD博士。専門は、ホテル建築、建築史、都市史、風景絵画史、観光史。主な著書に、『Alberghi storici dell’isola di Capri』(Edizioni La Conchiglia)、『Il Quisisana. Biografia del Grand Hotel di Capri』(Edizioni La Conchiglia)、『カプリ島-地中海観光の文化史』(白水社)、『イタリア旅行-「美しい国」の旅人たち』(中公新書)、『ナポリ建築王国-「悪魔のすむ天国」をつくった建築家たち』(鹿島出版会)のほか、イタリアで出版された論文多数。

申込名開催日時間会場参加費備考
S-B311/18(金)18:30
-20:00
青山石川
記念ルーム
201
受講生
一般
3,000円終了
会員 2,000円