坂本鉄男 イタリア便り 政党助成金、減額を

 日本の政党は、年額約320億円(国民1人当たり250円)の政党交付金を議員数と得票割合に応じて受け、政党事務費などに使用している。国会議員も高額の歳費を受けとる。党の経費は本来なら各議員の歳費の一部や党員からの党費で賄うべきで、税金から支出すべきではないと思う人も多いに違いない。

 イタリアでも2010年には2億8900万ユーロ(約370億円)という多額の政党助成金を国庫から受けて各党で分け合っていた。だが、世論の批判を受けてからは毎年減額し、13年には9100万ユーロ(国民1人当たり1・5ユーロ=約190円)と3分の1に減額している。

 そればかりではない。レッタ新首相は今後も減額を続け、17年からはゼロにする予定である。そして、政党助成金に代わるものとして国民に援助を求めることを決め、所得税の一部を政党への寄付として指定できるようにするほか、寄付金額により税金から一定率の控除を認める法案も予定している。この法案が議会を通過すると、各政党ともに事務経費や事務職員の大幅な削減が必要になる。

 わが国でも、政党が国民の税金にオンブにダッコで政治をしようなどとは思わずに、党員拡大による党費の増収などで賄うことを考えたらいかがなものだろう。

坂本鉄男
(6月9日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)