連続文化セミナー 『イタリアの祝祭』スタート

イタリアの都市の聖堂、宮殿、劇場そして広場などを舞台に繰り広げられる祝祭に出会った時、その都市は一層輝いて見える。

なぜ都市はそして人びとは祝祭を求めるのだろうか。

この連続セミナーでは、ヴェネツィア、フィレンツェ、ミラノ、ローマなどの都市で繰り広げられるさまざまなかたちの「祝祭」を通して都市の魅力を再発見し、祝祭によせる人びとの心の動きに触れることを目指す。

第1回 ヴェネツィアの都市空間における祝祭とその意味(ご報告)

シリーズ第1回は、3月2日(水)に、法政大学の陣内秀信先生に、祝祭都市ヴェネツィアを例に取り上げて、都市空間における祝祭の意味について総論としてお話をしていただいた(35名参加)。

2016-03-02-02都市史における< 祝祭>研究は意外に新しく、1980年前後から始まった。これは日本でも渋谷や原宿の街づくりに見られるポストモダンの動きにも対応している。都市の「劇場性」に注目し、迷宮都市、ヒューマンスケール都市、五感都市として、近代都市が否定したものが豊かに存続している姿を再発見する。ラグーナの水上に独特の都市空間を形成したヴェネツィアは、“citta unica”であり、元々祝祭性、演劇性を持つ都市である。その空間を活用し、サン・マルコ広場や地区の広場(カンポ)や小路や橋の上で、また大運河やラグーナの水上で、さらには宮殿や劇場や教会で様々な祝祭が催された。

まず、「祝祭の社会的性格」について。都市的な祭りの例として、カンポ・サン・ジェレミアにおける雄牛狩りのspettacolo(見世物)を挙げる。次にカーニバルにおける仮面の意味を考察する。精霊や死のイメージを伴うものも。個人を隠し、自由になる、すなわち日常秩序の反転を意味する。国家的儀式としての祝祭の例として、聖体節のサン・マルコ広場でのプロセッション(行列)。総統の私的チャペルたるサン・マルコ寺院で行われるがゆえに国家的儀式としての意味を持つ。国際政治のバランスの中で生きる必要上欠くことのできない、外交戦略としての祝祭の例として、外国からの賓客を迎えるための儀式、祝宴でのおもてなし。あこがれの地を演出する。それ自体がヴェネツィアの華やかな文化を形づくり、同時にコミュニティや国家のまとまり、統合を生む力ともなった。

次に「都市空間の中のパフォーマンス」として最も重要なものは、『海との結婚』である。また橋の持つ象徴性を示す例は多く、サルーテ教会の祭りの仮設の橋やイル・レデントーレ教会への仮設の参道、また「拳固の橋」での格闘のイベントはその後レガッタの競争にとってかわられた。カナル・グランデもレガッタ競争の舞台となり、また模擬海戦なども行われたし、マッキナと呼ばれる豪華に装飾された仮設の建物を浮かべたりしている。劇場としてのサン・マルコ広場で繰り広げられたイベントは数限りなく、多くの景観図として伝えられている。

最後に「ファンタジーの中の都市」の代表例として1979年ヴェネツィア・ビエンナーレのためにアルド・ロッシが設計した船で引かれて海に浮かべられる「世界劇場」を挙げる。一時途絶えていたカーニバルも復活し、ますますヴェネツィア独特のファンタジックな祝祭となっている。

歴史的な記録の図版や講師自らが研究対象とされ体験された祝祭の写真など見せていただいた多くの図版の1枚1枚がお話と相まって、ヴェネツィアの祝祭の賑わいを伝えてくれる素晴らしいセミナーであった。「イタリアの祝祭」シリーズは、この陣内先生の総論をスタートにして、今後、フィレンツェ、ミラノ、ローマの各都市の祝祭を巡って、最後はヴェネツィアに戻ってくる。(山田記)

 

2016-03-02-03講師紹介:■陣内 秀信(じんない ひでのぶ)

法政大学デザイン工学部教授。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。イタリア政府給費留学生としてヴェネツィア建築大学に留学、ユネスコのローマ・センターで研修。専門はイタリア建築史・都市史。地中海学会会長、都市史学会会長。著書:『東京の空間人類学』(筑摩書房)、『ヴェネツィア-水上の迷宮都市』(講談社)、『地中海世界の都市と住居』(山川出版社),『イタリア 小さなまちの底力』(講談社)、『イタリア海洋都市の精神』(講談社)、『水の都市 江戸・東京』(編著、講談社)、『イタリア都市の空間人類学』(弦書房)他。受賞歴:サントリー学芸賞、 地中海学会賞、イタリア共和国功労勲章、パルマ「水の書物」国際賞、ローマ大学名誉学士号、アマルフィ名誉市民

引き続き、4月以降は以下の日程(時間帯・会場は本セミナーに同じ)・テーマで開催いたします。

第2回 4月15日(金)都市フィレンツェの聖史劇 ―奇跡と見物― 講師:杉山 博昭(早稲田大学高等研究所助教)

第3回 5月27日(金) ミラノのデルビー ―イタリア・サッカーの醍醐味― 講師:小川 光生(フリージャーナリスト、中京大学スポーツ科学部非常勤講師)

第4回 6月22日(水) ローマ社会における「パンとサーカス」 講師:本村 凌二(東京大学名誉教授、早稲田大学国際教養学部特任教授)

第5回 7月22日(金) ヴェネツィアの祝祭 ―オペラと劇場― 講師:田島 容子(オペラ史研究者)

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緊急開催!!イタリア美術特別セミナー
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェッリ、カラヴァッジョの展覧会をより楽しむために(ご報告)

2月17日開催。参加者35名。
本年は日伊修好通商条約締結150周年として、イタリア美術を代表する画家たちの展覧会が次々と開催される。日伊協会では、このうち、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェッリ、カラヴァッジョの3つの展覧会をより楽しむために、その見どころを松浦先生に紹介していただいた。2016-02-17-seminar02

特別展レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦
1/16(土)~4/10(日)
江戸東京博物館 
    
ボッティチェッリ展 
1/16(土)~4/3(日)
東京都美術館 
     
カラヴァッジョ展
3/1(火)~6/12(日)
国立西洋美術館

まずこの3人の画家が西洋美術史の大きな流れの中でどのような位置を占めるかについて解説があった。匿名の画家による没個性の宗教画の中世700年間の後、1305年ころジョットによってルネサンスが始まった(例: パドヴァ・スクロヴェーニ礼拝堂に描いた「最後の晩餐」)。画家が目指したのは、イエスの神性を失わせないまま人間性をいかに表現するか、ということである。

1482年ころレオナルドがサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ修道院に描いた「最後の晩餐」によりルネサンスは完成されたとみる。ボッティチェッリもほぼ同時代の人。そしてカラヴァッジョはそのおよそ100年後、レオナルドより写実的表現を推し進めバロックの幕を開けた。

次に各展の「目玉作品」1点を取り上げ、類似のテーマを描いた他の作品と比較しながら、その作品の鑑賞のツボをお聞きした。

写真1「糸巻きの聖母」                                          写真2「ブノワの聖母」

写真1「糸巻きの聖母」                                          写真2「ブノワの聖母」

◎レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の「糸巻きの聖母」(スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵)写真1

ミラノで「最後の晩餐」を書き終えたレオナルドはフィレンツェに戻ってくる。その頃の彼の活動を修道士ピエトロ・ダ・ノヴェッラーラはマントヴァ公妃イザベラ・デステに宛てた1501年4月14日付の書簡に次のように記している。「彼が現在取り掛かっている作品は、糸を紡ごうとして座っている聖母の絵です。幼子キリストは糸が入ったかごの上に足を置き、糸巻き棒を握って十字架の形の4つの輪止めを見つめています。あたかも十字架を望んでいるかのように、キリストは微笑みながらしっかりと糸巻き棒をつかみ、それを取り上げようとする聖母に抵抗しているように見えます。」この記述に関連付けられる作品は多くあり、今回の展覧会に出品されているものはそのひとつである。

本作をレオナルドの真筆と考える研究者がいる一方で否定するものもいる。少なくとも背景は他の者の手になるようだ。レオナルドは糸巻き棒を十字架に見立てて、自身の死の意味を熟考するイエスと、彼を守ろうとする聖母の愛を描き出そうとしているが、20年ほど前にも「ブノワの聖母」(エルミターノ美術館蔵・写真2・今回は展示されていない)でも十字型の花弁の花を用いて自身の死を熟考するイエスを描いている。他に「鳥の飛翔に関する手稿」などが展示されている。

写真3「書物の聖母」

写真3「書物の聖母」


◎ボッティチェッリ(1445-1510)の「書物の聖母」(ポルディペッツォーリ美術館蔵)写真3

この絵は、レオナルドの初期の聖母子像、特にその直前に描かれた「ブノワの聖母」の影響を受けて制作されたと考えられる。イエスは左手に茨の冠と釘といった受難の象徴を持ち、自分の死の意味を問いかけるように聖母の方を振り返っているが、それに対してマリアは悲しそうな表情を浮かべることしかできない。後方の果物鉢には楽園や原罪を象徴するオレンジやイチジク、サクランボが見て取れる。ボッティチェッリは、フィリッポ・リッピの工房で学び、その画業を受け継いでいくが、後年フィリッポ・リッピの子フィリッピーノ・リッピがボッティチェッリの弟子となり、またライバルとなっていく。

この展覧会には、ボッティチェッリの貴重な作品20点以上のほかフィリッポ・リッピ、フィリッピーノ・リッピの作品もあわせて約75点が集結している。

写真4「エマオの晩餐」(1606年)                写真5「エマオの晩餐」(1601-1603年)

写真4「エマオの晩餐」(1606年)                写真5「エマオの晩餐」(1601-1603年)

◎カラヴァッジョ(1571-1610)の「エマオの晩餐」(ブレラ絵画館蔵)写真4

カラヴァッジョは、1592年ミラノからローマに移り数々の傑作を生み出して名声を得るが、1606年5月、殺人事件を起こしてしまう。この時彼をかくまったのは、この画家のことを幼少時から知るコスタンツァ・コロンナであった。事件後、カラヴァッジョはコロンナ家の領地であるローマ郊外のザガローロに短期間、潜伏するのだが、その時期に制作されたものである。イエスは磔刑の3日後に復活し、エルサレム郊外のエマオで二人の弟子の前に出現する。弟子たちが師の復活を悟る奇跡的な瞬間を登場人物に深い精神性を与えることで再現している。

3年ほど前に彼が描いた同主題作品(ロンドンのナショナル・ギャラリー蔵・写真5・今回は展示されていない)と比べると、弟子たちの驚きのしぐさはかなり抑制されたものになっており、より深遠な感情の動きを感じ取ることができる。他にカラヴァッジョの真筆とされる60点強のうち約10点などが展示される。

2016-02-17-seminar01<講師プロフィール>
■松浦 弘明 (多摩美術大学教授)
1960年岐阜県生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科を卒業後、イタリア政府給費留学生としてフィレンツェ大学へ留学。帰国後、順天堂大学非常勤講師などを経て現在、多摩美術大学教授。日伊協会でイタリア美術史とイタリア語の講座を担当。主な訳書に、『イタリア・ルネサンス美術館』、(東京堂出版・2011年)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(共著/東京堂出版・2007年)などがある。

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第12回「BUONA FORCHETTAの会」ご報告

去る2月23日、第12回「BUONA FORCHETTAの会」が、青山の事務局近くにある「Domenica D’oro(ドメニカ・ドーロ)」で開かれました。

料理の解説をする岩本シェフ

料理の解説をする岩本シェフ

 

2013年6月オープンしたお店は、イタリア語で「黄金の日曜日」という意味。

愛媛県西条市出身の岩本シェフは、ヴェネト州にある3つ星レストランや、アルト・アディジェ(南チロル)のレストランなど北イタリアで修行を重ね、帰国後は銀座の「ヴィノテーカ・ワゴン」で調理長を務めてきました。

 

 

加工肉の盛り合わせ

加工肉の盛り合わせ

 

当日は、ほぼ満員に近い22名が参加。テーブル席、カンター席、個室を埋めつくして、岩本シェフの料理を堪能しました。

前菜は、シェフの故郷から取り寄せた地物野菜、新鮮な魚介類、そして群馬の赤城山麓で仕込まれたハムやサラミなどの加工肉の盛り合わせが絶品でした。

 

 

 

牛肉の赤ワイン煮込み、ポレンタ添え

牛肉の赤ワイン煮込み、ポレンタ添え

 

ペンネッテのパスタに続いて供されたメインは、箸でもきれいに切れる牛肉の赤ワイン煮込み。
添えられたポレンタは、ご存じのようにとうもろこしの粉からつくられた北イタリアの主食のような存在です。

 

 

 

ドメニカ・ドーロ店内

ドメニカ・ドーロ店内

 

マダマ岩本のワインのおすすめもバッチリ。
お二人の人柄が表れた居心地のいい空間もまた、魅力的でした。

今回は、比較的若めの会員も参加いただき、華やかで元気な会になりました。その一方で、年齢層高めの参加者の健啖ぶりに、お店のお二人が驚いていらっしゃったことを付け加えておきましょう。

第5回「楽しいブッフェ交歓会」のご報告

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12月8日(火)日伊協会主催の第5回楽しいブッフェ交歓会が西新宿のイタリアン・レストランVivo で開催され、約70名の参加者の皆さんにひと足早いクリスマスムードをお楽しみいただきました。

初めての新宿エリアでの開催でしたが、会員,受講生に加え、多数の一般参加の方々を得て、気軽で自由な交流により日伊協会を身近に親しんでいただける楽しい会となりました。
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Vivoのシェフ吉澤さんが腕をふるったイタリア料理は前菜5種、パスタ2種とメインの肉料理にデザートがつく大サービスで、美味しくオトク感十分との感想をいただきました。

今回の目玉は18点のプレゼントが当たる抽選会。
2015-12-08-tousensha

景品は静岡にあるクレマチスの丘のイタリアンレストランと美術館へのカップル招待券をはじめ、数々の可愛いサンリオ製品、そして美しい額入りイタリア風景写真などでした。

思いもかけずクレマチスの丘の招待券に当たったイタリア人男性は「クレマチスの季節に誰といっしょに行こうか今から楽しみ」と大喜びでした。

クリスマスにちなんだアヴェマリアの斉唱はおなじみの蒲谷昌子理事と門下生の天沼朝子さんの大熱唱。2015-12-08-seisyouそして最後の全員合唱は、フニクリフニクラと赤鼻のトナカイの2曲で本年最後の日伊協会のイベントを盛大に締めくくりました。

参加いただいた方々始め、ご協力いただいたVivoの皆様、そして数々のプレゼントを提供いただいた日伊協会役員の岡野喜之助様、北村憲男様、篠利幸様に厚くお礼申しあげます。

ブッフェ交歓会推進グループ
 担当理事(総括;長尾 司会;内田、歌唱指導;蒲谷)
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『ACCI Gusto』ご報告

11月17日(火)・18日(水)の両日、都立産業貿易センター台東館で開催され、日伊協会も初参加いたしました『第五回 ACCI Gusto』は、盛会のうちに幕を下ろしました。

各ブースではイタリア料理に欠かせない食材や機材などを取り扱う団体が多く出展し情報提供を行い、またセミナー会場では長本和子氏(日伊協会理事)やバリスタの横山千尋氏、シェフの落合務氏によるデモンストレーションやセミナーが開催され、イタリア料理のシェフやイタリアの「食」に興味のある来場者で会場は終日熱気に包まれていました。

2日間の合計ご来場者数は3,992名とのことでした。
日伊協会会員の皆様には事前にご案内をお送りしておりましたので、会場に足をお運びいただいた方の中には会員と判り、こちらからお声をかけさせていただい方もいらっしゃいました。

ご来場、誠にありがとうございました。

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日伊協会の出展に関しまして多大なご協力をいただきました、日本イタリア料理協会および長本和子日伊協会理事にはこの場を借りて心より御礼申し上げます。

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イタリア語による日伊協会特別セミナーのご報告

こんにちは、日伊協会の押場です。

少し時間が経ってしまいましたが、10月3日の日伊協会特別セミナーの報告をさせていただきます。

2015-10-03講師はもうすっかりおなじみのリヴィオ・トゥッチ先生。わかりやすいイタリア語で、盛りだくさんの内容を語っていただきました。あっという間に時間が過ぎてしまいましたね。
トゥッチ先生が選ばれたテーマは、ずばり「イタリア」です。とても大きなテーマですが、その副題に「まだ見ぬ国を求めて」とあります。「まだ見ぬ国」とはどういうことなのでしょうか。

少しイタリア語を見ておきましょう。リヴィオ先生のつけた原語の副題は「 Alla scoperta del paese che non c’è 」ですね。「alla scoperta di… 」は「~を発見するために」という意味。何を発見するのかといえば「存在しない国 il paese che non c’è 」というわけです。この「存在しない国」のことを、ぼくは「まだ見ぬ国」と訳しましたのですが、イタリアのことを「まだ見ぬ国」とか「存在しない国」と言われても、ピンと来ないのではないでしょうか。

イタリアという国は確かに存在します。けれど、そのイタリアは果たして「ひとつの国」と言えるのか。そんな問題意識は、19世紀の終わりにイタリア王国が独立を果たした時からのものです。イタリア史を勉強された方でしたら、イタリア王国が独立した時のマッシモ・ダゼッリョの言葉を思い出すのではないでしょうか。「イタリアという国は出来たが、イタリア人はまだ出来ていない」。イタリアがひとつの国であるのなら、そこにいるはずのイタリア国民は、まだどこにもいない。このトリノの政治家は、そう嘆いていたのです。

実は、20世紀になっても状況はそれほど変わりません。トゥッチ先生がセミナーで紹介してくれたのは、イタリアを代表する女優ソフィア・ローレンがアメリカで受けたインタビューでした。そこで「あなたはイタリア人ですよね?」と念を押されたローレンは、「とんでもない。私はナポリ人よ」答えるのです。するとインタビュアーが驚いて「え?どこが違うのですか?」と尋ね返します。「全然違うわよ」と大笑いするローレンの姿が印象的でしたが、この感覚はイタリアの人以外には少しわかりづらいですよね。

実はイタリアの人々は、イタリア国民である前に、ナポリ人であったり、ローマ人であったり、ミラノ人であったりします。日本でいえば、自分は日本人である前に江戸っ子だとか、大阪人だとか、東北人だとか言うようなものかもしれませんが、イタリアの場合、そこにもっと歴史があるわけですね。その歴史をたどってくれたのが今回のセミナーだったというわけです。

ぼくたちがまず、注意を向けるように促されたのが、副題にもあった「パエーゼ paese 」という言葉でした。現在のイタリア語で「il bel paese (美しいパエーゼ)」と言えばイタリアのこと。「パエーゼ」とは「国」の意味ですね。ところが同時に、「tornare al paese(故郷に帰る)」とか、「La esta del paese (故郷の祭り)」という表現があるように、「パエーゼ」は町や村のような比較的小規模の居住区を示すものでもあります。つまり「故郷」ですね。

トゥッチ先生のセミナーでは、このパエーゼという言葉を、まだイタリアという統一国家が生まれるずっと以前の、14世紀のダンテやペトラルカにまで遡ります。そこにもなお、意味にズレがあることを確認すると、その起源を求めて歴史をさらに遡ってゆくわけです。ぼくたちが案内されたのは、多様で美しい自然を誇るイタリア半島の歴史のドラマ。それはギリシャの植民地であった時代から、古代ローマ帝国の時代、そして教会の時代、中世都市国家の時代から、近代を経て、ヨーロッパ共同体の一員となった現在まで、イタリアとイタリア人を求める長い歴史の旅でもあります。

そんな歴史の旅の終わりに、ぼくたちが知ることなったのは、とてもひとつにまとめることはできないけれど、それでも確かにイタリアという国があり、そこにはイタリア人が暮らしているということ。お互いに違いを認めながら、想像力(ファンタジア)に溢れ、寛容の精神を持ちながらも、個人主義的でアナーキー、芸術的な感性を持って、美的な感覚には優れている人々。

そんなイタリアの人々に共通するものを、リヴィオ先生は「l’arte di arrangiarsi 」と呼ばれていましたね。直訳すれば、「うまく折り合いをつけて切り抜ける術」ということになるでしょうか。この表現は、しばしば否定的に「ずる賢く切り抜ける」という意味でも使われるのですが、良いも悪いもあわせて、ともかくうまい方向に物事をアレンジしてゆく能力のことなのです。

昨今、どうも世界中がキナ臭くなっきていますが、そんな問題山積みの状態だからこそ、このイタリア的な《 L’ARTE DI ARRANGIARSI 》 が今求められているのかもしれない。そんな思いを強くさせられたセミナーでした。

ただひとつだけ残念なことは、あまりにも雄大なスケールのためでしょうか、少々時間が足らなかったこと。お集まりいただいた方々からも、もっと聞いていたかったというお声をいただいております。

リヴィオ先生には、ぜひ近いうちに、お話の続きを話していただければと思います。

では、また近いうちにお会いしましょう。

日伊協会イタリア語講座主任講師
押場 靖志

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・『イタリア留学フェア2015』のご報告

当協会が共催の『イタリア留学フェア2015』、今年も盛会のうちに幕を下ろしました。
来年も是非ご期待下さい!

『イタリア留学フェア2015』

日時: 2015年11月6日(金)・7日(土)10:30~19:00

場所: イタリア文化会館 エキジビションホール

共催: 公益財団法人日伊協会、イタリア大使館観光促進部(ENIT)

後援: 文部科学省、独立行政法人日本学生支援機構、千代田区

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イタリア留学&旅行セミナー2015秋『 イタリア語に通ずる近道は食にあり?! 』のご報告

2015-11-04-r111月4日(水)、ローマ ディリット校(DILIT International house)のGiorgio Piva校長によるイタリア留学&旅行セミナー 2015秋『 イタリア語に通ずる近道は食にあり?! 』セミナーが開催されました。

イタリア料理とひと括りで言われがちですが、その土地で生まれたものから、シチリアにはシチリアの、ミラノにはミラノのというように、同じ料理はないとのこと。ですからローマにはローマ料理というものが存在します。

そしてローマのレストランで伝統的な料理を食べたいときには、2つの地区トラステーヴェレとテスタッチョに行く事がお勧めだそうです。そして、そのレストランのメニューの中から伝統的なお料理を見つけるコツを教えていただきました。美味しそうな写真を見ながら実際の料理も説明していただき、途中から、ペコリーノロマーノチーズと白ワインの試食試飲もあり、終始リラックスした雰囲気の中楽しいお話を堪能いただきました。

2015-11-04-r2イタリア語を学んでいらっしゃる参加者の方からは「綺麗なイタリア語でしたので聞き取りがしやすくて、思いのほか理解できたのが嬉しい」との声もあがりました。「食」という興味のある方の多い分野と言う事もあり、それを表現するイタリア語への興味にも繋がるような楽しいお話でした。2時間という長時間のセミナーも、あっという間だったとの感想が多く聞かれました。

次回は、得た知識を元に実際にローマの食を堪能する滞在も楽しいかも知れません。

DILIT校はローマでも定評のある語学学校です。一週間から滞在できますので、イタリア語+お料理といったプランなど、ご興味ある方は是非日伊協会までご相談くださいませ。

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『ハム、ハム、ハム、パルマハム』セミナーの開催報告

2015-10-26-r310月26日(月)、『ハム、ハム、ハム、パルマハム』セミナーを開催いたしました。

講師の岡田幸司氏(イタリア食材輸入会社PIATTI主宰)、
山中律子氏(イタリア家庭料理研究家)のお二人にはこれまでも、パルミジャーノ、バルサミコ、ドライトマトといったイタリアの食材をテーマにセミナーを開催していただいており、毎回満席必至の人気セミナーです。今回も、早々に定員満席となり、急遽増設したクラスもすぐに一杯となるほど盛況でした。

今回のセミナーは、イタリア・パルマハム協会50周年を記念した啓蒙活動の一環ということもあり、ハム協会からも食材を提供いただき、もっとパルマハムを知って頂くことがねらいでした。

2015-10-26-r1まずは岡田氏による生ハムとは何かという説明のあと、目の前でスライサーで薄く切られたハムを手で持って口に運び、実際にその香りと味を楽しんでいただきました。とろけるような様に、参加者の方から感激の吐息が出るほどでした。さらに、同じもも肉でもスライスする部位によって味わいが異なるということを実感していただくために、違う部位の切り立ても体験させていただきました。イタリアの食材店では、お客様の要望に応えるべく、様々な部位のもも肉が用意されているとのことでした。

ひとまず切りたての風味を堪能いただいた後、生ハムの伝統的で美味なレシピを山中氏よりご紹介いただきました。何より切り立てが一番の生ハムですが、エミリア ロマーニャ地方にはハムに合うパンがその土地ごとにあること、また、それを使ったお料理についてのアドバイスをいただきました。

2015-10-26-r2少し時間が経ってしまった生ハムの利用法として、生ハムは「だし」であるということから、今回はソースの中に入った刻んだ生ハムがアクセントとなって入っているノルチャ風パスタを試食させていただきました。

最後は実際にご自宅でも「イタリア」気分を満喫していただけるよう、生ハムやパルミジャーノなどの販売を行い、ご参加いただいた方は早速実践していただけたことと思います。この人気の食文化セミナー、次回は来春を予定しております。是非お楽しみに!

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第11回「BUONA FORCHETTAの会」ご報告

10月14日、第11回「BUONA FORCHETTAの会」が、白金高輪にある「Bitto(ビット)」で開かれました。
イタリア全土で4年半、9軒のレストランで修行を重ねた伊東達也シェフが腕を奮うお店です。

ビット

 

こぢんまりとした上品な内装のお店に、16名の会員が集まりました。
前菜からメイン、デザートに至るまで、素材のよさをいかしつつ、手の込んだ引き立った味わいが印象的な料理が続きます。

 

 

 

桜海老のパスタ。

桜海老のパスタ。

 

マルケ州の3つ星レストラン「ウリアッシ」で前菜・パスタ・メインの創作も任されたという伊東さんならではの、イメージ豊かな料理を堪能しました。

ちなみに、店名のビットは、イタリア人が「イトウ」という発音がしづらく、伊東さんのこと「ビット、ビット」と呼んでいたことにちなんで付けられたとのことです。

 

 

 

メインは、各種の肉の盛り合わせ

メインは、各種の肉の盛り合わせ

 

参加メンバーは、常連となった人たちだけでなく、今回初参加という方々も多くいらっしゃいましたが、みなイタリア好き、食べることが好きという共通点がありますから、すぐに打ち解けて、楽しいひとときを過ごすことができました。
伊東シェフをはじめ、Bittoのみなさま、お世話になりました。

 

 

 

 

 

 

ビット

 

食事会のイベント情報は、会員通信やホームページで告知しています。まだ日伊協会の食事会イベントにいらっしゃったことのない会員の方々も、ぜひご遠慮なくご参加ください。

食文化セミナー「イタリア料理の皿を読む」のご報告

2015-09-28-019月28日(月)、食文化研究家の長本和子先生による食文化セミナー「イタリア料理の皿を読む」が開催されました。

まず「ボンゴレのスパゲッティはいつ頃できたお料理だと思いますか?」という問いかけからセミナーはスタートしました。

トマト、にんにくといったそこで使用されている食材、そして乾麺であるということから、そのお料理が食され始めたおよその時代の見当をつける事ができるとのことです。

また、古代ローマ時代から存在していたといわれているお料理、例えば子羊のローストなどが、ほぼ同じ工程で現在も食されていることも、わかりやすい画像などからご説明いただきました。

そして、イタリア料理の二つの流れ、『クチーナ リッカ(貴族料理)』と現在のイタリア料理につながる『クチーナ ポーヴェラ(庶民料理)』のおこりから現代までの流れ、それを担っているマンマたちの奮闘ぶりなどを楽しくお話しいただきました。

2015-09-28-02使われている野菜やハーブ、油、肉などからも地方性や季節性が見えてきます。

「皿」を読み解いていく事によって、イタリア料理を理解する事ができる、そんな「目からうろこ」のお話が満載でした。

1時間というセミナー時間はあっという間に過ぎ、是非また続きの時間を設けて欲しいとの声がたくさんあがりました。

日伊協会では「食」をテーマにしたセミナーやイタリア語講座を多数開催しておりますが、毎回たくさんの方にご参加いただいており、「イタリアの食」への関心の高さが伺えます。

長本先生のセミナーへのアンコールも含め、今後も様々な角度から「イタリアの食」をご案内していきたいと思います。

ご期待ください!

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『イタリアン・ポップス』セミナーご報告

2015-07-25-1去る7月25日(土)の16:00~18:00、今年で3回目となる『イタリアン・ポップス』セミナーを開催いたしました。
この日は今年一番の猛暑日でしたが、20名近くのご参加をいただき、カンパリやオレンジジュースを片手に、音楽はもちろん貴重な秘蔵映像も楽しんでいただきました。

講師は、毎回お馴染みのイタリアン・ポップスのエキスパート、磐佐良雄氏。
磐佐さんは、日本で唯一のイタリア音楽の専門誌『ムジカ・ヴィータ・イタリア』*の編集長であり、約10年にわたり、イタリア音楽の愛好会『ピッコラ・ラディオ・イタリア』を運営していらっしゃいます。日伊協会会報誌『クロナカ』にもイタリアン・ポップスの記事を連載中です。

今回のテーマは、「ラ・ヴィータ(人生)」。イタリアン・ポップスの名曲の中には、歌い手や作り手の強烈な想いが込められているものが多くあります。詩やメロディには、彼らの人間臭い生き様が反映されており、それらをじっくり聞いていくと彼らの人生の変遷を感じることができます。

2015-07-25-2セミナーで取り上げたアーティストは、エロス・ラマゾッティ(1963-)、アル・バーノ(1943-)、ミア・マルティーニ(1947-1995/47歳没)、そしてマウリツィオ・ファブリツィオ(1952-)の4人です。離婚・再婚の繰り返し、娘の失踪、自身の不器用な生き方など、それぞれの歌手の人生の推移を、それらにまつわる曲と映像の紹介とともにわかりやすく解説していただきました。

エロス・ラマゾッティ、アル・バーノ、ミア・マルティーニの3人は、日伊協会の秋期イタリア語講座『イタリアン・ポップスを楽しもう』(10/26~)でも取り上げますので、より深く彼らの人生と作品を理解したい方は、ぜひご検討ください。

セミナー終了後には、知る人ぞ知る神保町のマニアックなCD&DVDショップ『タクト』さんによる販売もあり、多くの方が立ち寄られていました。

磐佐さん、タクトさん、そしてご来場いただいた参加者のみなさん、暑い中ありがとうございました! 今後も継続的に開催していきたいと思いますのでぜひご期待ください。

*『ムジカ・ヴィータ・イタリア』誌は、日伊協会事務局でも受講生・会員向け特別価格で販売しております。

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連続文化セミナー『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』
              第5回 「変容するコンスタンティヌス帝」のご報告

20150713ローマ皇帝たちは、モニュメント、彫像、コイン、碑文などの記録物を通じてどのようなイメージを伝えようとしたのでしょうか。また、皇帝のイメージはどのように利用されたのでしょうか。全5回の連続セミナーでは「イメージ」を手がかりとして、歴史や美術など様々な立場から古代ローマの皇帝たちの姿を紹介してきました。

7月13日18:30~20:00、『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』シリーズ第5回が開講され、25名の方が参加しました。いよいよシリーズ最終回の第5回では、これまでが帝政前期の皇帝を対象としてきたのに対し、帝政後期のコンスタンティヌス帝を中心に取り上げて、田中創先生にお話をいただきました。

4世紀に活躍したコンスタンティヌス帝(位306-337年)は、キリスト教を公認したほか、新首都コンスタンティノポリスを建設するなど、それまでのローマ帝国の政策とは隔たった、革新的な試みを行った皇帝として記憶されています。

しかし、コンスタンティヌス帝が帝国の覇権を握り、後世に記憶されるようになるまでにはさまざまな紆余曲折がありました。そこで本セミナーでは、コンスタンティヌス帝が生きた時代、そして彼が死んだ後の時代という二つの段階を扱いながら、皇帝のイメージがどのように利用されていったのかをお話いただきました。

コンスタンティヌス帝は、帝国の政治的混乱に終止符を打ったディオクレティアヌス帝(位284-305年)が残した政治的遺産に直面せざるを得ませんでした。とりわけ、ディオクレティアヌスが導入した四帝統治体制は、帝国の地理的拡大などの現実的問題に対応するために不可欠な措置ではありましたが、同時に後継者問題をはじめとした新たな問題をもたらすことになりました。
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コンスタンティヌス帝は312年ミルウィウス橋の戦いにおいて、「暴君」マクセンティウスを破りますが、コンスタンティヌスはブリタニアから軍を発し、マクセンティウスはローマにいました。ローマの凱旋門の碑文によれば、記念門は「首都の解放者」としてコンスタンティヌスに捧げられました。この時すでにイタリアの都市としてのローマと世界帝国としてのローマの間に視点のずれが生じています。このあと324年までに帝国全土を統一しますが、330年にはコンスタンティノポリスを建設し、遷都します。

コンスタンティヌスが残した図像やモニュメントにはそのような政治状況と関連させられるような特徴がいくつも認められることを指摘されました。興味深かったのは四帝時代のコインの肖像が4人とも無精ひげのそっくりさんであるのに対しコンスタンティヌス帝はひげなしでいかにも正統な皇帝といったイメージが作られていることです。

ミルウィウス橋の戦いの前に十字の啓示を受けたことでキリスト教に改宗したという逸話があり、その後「ミラノ勅令」でキリスト教を公認したとされています。コンスタンティヌスのキリスト教とはどのようなものであったのでしょうか。霊廟や洗礼を巡るいくつかの記録を見る限り、後の時代にさまざまな脚色を加えられて記憶されることになったものとはかなり異なったイメージが見られます。例えばコンスタンティノポリスにおける皇帝像はポイティンガー図(4世紀ころに作成された世界地図)に見られるように記念柱の上には太陽神とともにあり、伝エウセビオスの『コンスタンティヌスの生涯』には、生前に準備された霊廟では12使徒の安置台を聖なる列柱のように立てその間に自分の棺を置くという計画になっています。また洗礼についてもコンスタンティヌスは人生の最期にニコメディアの司教エウセビウスによって洗礼を受けたとヒエロニュムスの『年代記』にあります。しかし後代になると「カルケドン公会議」において模範としてのコンスタンティヌス像が作られ、また、「コンスタンティヌスの定め」においてはローマ皇帝シルウェステルによって洗礼を受けたとされるなど、変容していきます。その変容する皇帝像を通じて、歴史が作られていく一局面を覗いてみることができました。(山田記)
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講師紹介:■田中 創(たなか はじめ)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。文学博士。日本学術振興会特別研究員を経て、現在は東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授。専門は古代ローマ史、初期ビザンツ史。ローマ帝国の行政制度や地中海世界の都市文化を研究している。訳書:『リバニオス 書簡集』(京都大学学術出版会、2013年)

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連続文化セミナー 『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』
              第4回『 ローマ皇帝と馬 ― 美術作品からの考察 ―』 のご報告

6月19日(金)18:30~20:00、『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』シリーズ第4回が開講され、参加者は25名でした。

ローマ皇帝の像は、しばしば馬像と共にモニュメントにあらわされた。この回では、凱旋行進や戦場場面において、皇帝の権威付けやプロパガンダのため、馬の表現がどれほど大きな役割を果たしているかについてお話をお聞きした。

まずなぜ馬に注目するかをより深く理解するために、当時の社会的背景、例えば古代ローマ社会において馬が担った多くの重要な役割(移動、戦争、動力、荷役、情報伝達、”パンとサーカス(キルクス)”、動産としての価値、愛玩動物、狩や戦争の伴侶など)が紹介された。碑文から戦車競走への人々の熱狂ぶりが伝わってくる。加えて、皇帝と馬のエピソードや、碑文やモザイクに記された馬名の史料(預言者、農夫、神祇官、弁護士、漁師、裁判官など所有者の職業名・身分が馬名としてつけられた。) から馬が当時の社会に不可欠な存在であったことが述べられた。

次に馬と共にあらわされた皇帝のイメージについて実際の作品に即して考察された。《トラヤヌス帝記念柱》においては皇帝の馬を中心にローマ騎兵の馬と蛮族ダキア兵の馬を描き分ける精妙さに驚く。《ティトゥス帝凱旋門》では凱旋行進の場面が、また、《コンスタンティヌス帝凱旋門》においては戦闘場面が描かれている。《マルクス・アウレリウス帝騎馬像》などに見る騎馬像の馬の形とスペイン乗馬学校などで見る実際の馬の動きには矛盾があるものの、やはり騎馬像は馬の首を立てて凱旋行進する姿が理想の形であり、戦車や騎乗での凱旋行進の無くなった19世紀の騎馬像にあっても、なお古代ローマの騎馬像が手本であった。歴代皇帝のコイン図像においても戦闘タイプと凱旋行進タイプがあり、いずれも人々が頻繁に手の上で目にすることによって、皇帝蔵のイメージがより強く伝えられることとなった。

皇帝像を馬とともにあらわすことでより強くイメージが伝えられる。動物の中でも馬は特別の存在であり、権威付け→プロパガンダとしては最高の効果を発揮した。また凱旋行進は最高の名誉の一つであり、凱旋門は4頭立て凱旋戦車+台座で成り立っていることに注目すべきである(現在残っている凱旋門は実は台座であり、肝心の凱旋戦車の像が欠けてしまっている)。

講師はさらに個人的な見解として、御す者と御される馬の関係を、皇帝とその治世下に暮らす市民のイメージになぞらえておられる。実際に乗馬を趣味とされる講師だからこそ到達された見解であり、卓見だと思う。(山田記)

講師紹介:■中西 麻澄(なかにし ますみ)
東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。東京藝術大学ほか非常勤講師。『古代ローマ社会における馬―モニュメント、美術作品から読み解くローマ人の馬へのまなざし―』にて博士号(学術/東京大学)。専門は美術史。趣味の乗馬を契機に、現在は馬の美術表現を研究している。

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第67回談話会 報告

5月30日に第67回談話会が開催され、日本ロッシーニ協会会長の水谷彰良氏を講師にお迎えして、「現代によみがえる19世紀の天才作曲家ロッシーニ」をテーマにお話していただきました。(参加者数35名)

ロッシーニはモーツァルトに続いて現れた天才作曲家であり、シューベルトやベート-ヴェンと同時代者でした。彼は早熟な才能を顕し12歳で4重奏ソナタ、18歳からオペラ作曲家として活動しましたが、その期間はわずか20年間にすぎません。ロッシーニはその20年間に驚異的なスピードで進化し、伝統的なオペラの形式を完成に導き、≪ギョーム・テル≫(日本では≪ウィリアム・テル≫の題名で知られる)によりロマン派歌劇の扉を開いて、37歳でオペラの筆を折りました。

歌の技法を極限まで高めたベルカントと呼ばれる声楽様式もロッシーニにより頂点を迎えましたが、1840年ごろを境にベルカントの時代が終わりを告げると、その後はロッシーニはオペラ・ブッファの作曲家としてのみ認知されていました。しかし、ロッシーニはオペラ・セーリアの改革を進め、カトリックの厳しい制約を打ち破って、舞台上での殺害や自決などの悲劇的結末を採用した作劇をしました。19世紀末には≪セビーリャの理髪師≫≪セミラーミデ≫≪ギョーム・テル≫だけがレパートリーに残るような状態でしたが、20世紀半ばにマリア・カラスがロッシーニのオペラ・セーリアを歌って再評価が始まり、故郷ペーザロで始まったロッシーニ音楽祭などにより、ロッシーニの音楽の進化と革新性の見直しが始まりました。現在では世界の歌劇場における上演数ではワーグナーを抜き、ヴェルディ、モーツァルト、プッチーニに続いて第4位となっています。

お話の中で、初期の作品からさまざまな歌手によるベルカント様式、声と歌唱の華麗な技法の例、≪オテッロ≫と≪マホメット2世≫からオベラ・セーリアの悲劇的結末の例、またパリ時代のロッシーニの作品≪ランスへの旅≫≪オリー伯爵≫≪ギョーム・テル≫の映像を見せていただきました。短い時間で、さわりだけでしたが緻密にご準備されているので十数本の作品を楽しく鑑賞できました。

ロッシーニは美食家としても大変有名で、そのお話も伺いたかったのですが時間が足りずに伺えず残念でした。またの機会を作りたいと考えています。美食家としてのロッシーニを物語るものとして、先生がポテトチップスの「ロッシーニ味」という商品を見せてくださいました。どんな味なのか是非買って試してみようと思います。

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第4回 日伊文化交流「初夏のフェスタ2015」ご報告

去る6月13日、日伊協会主催の「初夏のフェスタ2015」(共催:イタリア文化会館、後援:在日イタリア商工会議所、協賛:ターキッシュ エアラインズ)を、東京・九段のイタリア文化会館において開催いたしました。
当日は、日伊協会の会員のみならず、イタリアに興味を持つ多くの方に来場いただき、盛会となりました。

笛田博昭氏

笛田氏のテノール独唱

 

第1部前半は、笛田博昭氏のテノール独唱、日伊協会蒲谷昌子氏のピアノ伴奏によるイタリア歌曲、オペラアリアなど。

笛田氏は、昨年の第50回日伊声楽コンコルソ優勝者で新進気鋭のテノール歌手で、その掛け値なしに素晴らしい歌唱力と迫力に会場は圧倒されました。

 

 

笛田氏にインタビューする蒲谷氏

笛田氏にインタビューする蒲谷氏

 

また、蒲谷氏のインタビューに気さくに答えてくださり、その飾り気のない素顔にまた魅了されました。

 

 

 

 

 

熱く語る絹谷画伯

熱く語る絹谷画伯

 

第1部後半は、絹谷幸二画伯の講演です。絹谷画伯は、絢爛たる色彩と迫力でイタリアを描き続け、昨年には文化功労者の顕彰を受けられた現代日本を代表する画家です。

 

 

 

 

自作を前にユーモラスな解説

自作を前にユーモラスな解説

 

画伯がヴェネツィアに留学されたときのエピソード、常人には計り知れない画家としての心構えやものの考え方、そしてイタリアへの熱い思いをユーモラスに語っていただき、楽しいなかに得るものが多いひとときとなりました。

 

 

 

 

第2部はラッフル(くじ付き募金券)抽選会。
ターキッシュ エアラインズのご提供による日本・イタリア往復ペア航空券(ビジネスクラス)をはじめ、数多くの景品のご提供をいただき、抽選会はおおいに盛り上がりました。

150613festa05 この募金は、日本からイタリアへの文化発信事業に助成する「日本文化奨励基金」を拡充することを目的としています。今年の夏も、例年通り、イタリア人大学生に対する「日本語・日本文化夏期講座」に助成をする予定でおります。
おかげさまで、今回もみなさまの暖かいご支援をいただき、用意した500枚を完売いたしました。

 

 

第2部の終わりには、蒲谷理事のピアノと歌唱指導により、全員でナポリ歌謡の『フニクリ・フニクラ』を歌いました。

第3部では、イタリア料理とワインを楽しみながらの歓談の時間です。今回は、これまでの反省をもとに、参加者のみなさまの動線を再考したことで、スムーズな食事ができたかと思います。

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最後になりましたが、ご参加くださった方々に、改めて御礼を申し上げるとともに、今回の企画に協力をいただいた、以下の企業・個人に深く御礼を申し上げます(敬称略)

本イベントに多くの企業・個人からラッフル景品、食材、飲物のご提供など多大の協賛をいただきました。ここにお名前を掲載して御礼申し上げます。(敬称略)

イタリア文化会館、在日イタリア商工会議所、ターキッシュ エアラインズ、株式会社資生堂、ヴァンジ美術館、株式会社文芸社、小田原城カントリー倶楽部、BS日本/テレコムスタッフ株式会社、Caruso 遠藤美紀子、株式会社ジィエィインク、篠利幸、株式会社サンリオ、仙台日伊協会、Barilla Japan株式会社、株式会社リョービツアーズ トゥッタ・イタリアカンパニー、花の騎士団、リストランテ文流、株式会社フォルトゥーナ(バール・デルソーレ)、有機栽培 吉田農園、企業組合かほくイタリア野菜研究会、農業生産法人 KOSMOS、Kふぁーむ(チルコロ共生事業事務局)、エイコ―フードサービス株式会社、株式会社サントリー/CAMPARI JAPAN株式会社、日本リカー株式会社、株式会社ワインウェイヴ、スリーボンド貿易株式会社、有限会社アビコ、日欧商事株式会社、株式会社モリス商会、株式会社ノルレイクインターナショナル、株式会社メモス 東京支店、パラディーゾ・ジャパン株式会社、モンテ物産株式会社 大阪支店、株式会社スマイル

連続文化セミナー 『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』
第3回 アウグストゥスの時代― 文献史料に見られる理想のローマ皇帝像 ― ご報告

5月15日(金)18:30~20:00、2015年連続文化セミナー 『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』シリーズ第3回が開講され、参加者は25名でした。20150515-2

今回のセミナーから各論に入り、前回は肖像や建築物などの美術品から、アウグストゥス皇帝を中心に皇帝のイメージがいかに形成されたかを坂田道生先生にお話いただきましたが、今回は文献資料からアウグストゥス皇帝のイメージがいかに形成されたかという観点から中川亜希先生にお話いただきました。

①まずロムルスが新しい都ローマを建設し、領土の拡大を通じてイタリア半島、次いで地中海世界での覇権を確立した。

②王政から共和政を経て、前44年カエサルの暗殺後、後継者となったオクタウィアヌスは前27年に元老院からアウグストゥス(尊厳者)という称号を与えられ、帝政へ移行した。

③ローマを表すS.P.Q.R.は、「元老院とローマ国民」を意味し、アウグストゥスはプリンケプス=元老院議員の第一人者(市民の第一人者)/元首という形であくまでも元老院を尊重するかのように見せながら、実際は共和制の公職の兼任により絶大な権力を持つ唯一の支配者となった。

アウグストゥス帝は、アウクトリタス(権威)概念を利用し、『神君アウグストゥスの業績録』の記述、例えば「6度目、および7度目のコンスル職の年に、私は既に内乱を終結し、万人の合意に基づいて全権を掌握していたが、国家を私の権限から元老院およびローマ国民の裁定に委ねた。」や「私は権威において万人に優越していることがあっても、権力に関しては、私と共に公職にある同僚たちより卓越したなにものをも、保持することはない。」という記述にそれが表れている。

④アウグストゥス帝の治世下、属州は大幅に増加し、地中海世界とその周辺地域を支配下に収め、比較的安定した秩序を実現した(パクス・アウグスタ)。スエトニウス『ローマ皇帝伝』の中で自分の業績を青銅版に刻み、自らの霊廟の正面に掲げることを遺言していたがこれは現存せず、小アジアで3つのコピーが発見されている。また『神君アウグストゥスの業績録』標題において「以下は、ローマに置かれた2本の青銅の柱に刻まれた、世界をローマ国民の統治権のもとに服従させた神君アウグストゥスの業績と、国家とローマ国民のために行った支出との写しである。」と戦争での功績のPRに努めている。同時代の文学作品―ウェルギリウス『アエネイス』やオウィディウス『祭暦』においてもローマに境界も期限も限りのない支配が与えられたという意味の表現がみられる。またタキトゥス『年代記』において同時代の元老院議員たちも彼の名誉葬について「彼が征服した民族の名前を掲げて」「凱旋門の下をくぐらせるべきだ」としている。

⑤南仏アルルに4つの徳を刻んだ大理石の盾が残されている。これは、『神君アウグストゥスの業績録』に「勇気と、慈愛と、正義と、神々と祖国に対しての敬虔さの(黄金の)盾を与えた。」とあるもののコピーと考えられる。美徳の人としてのアウグストゥス帝のイメージの形成を図ったものである。

⑥アウグストゥス帝のプロパガンダは、属州においてはアルルの「徳の盾」、アルルやオランジュの劇場(壁にアウグストゥス帝の像が残っている)、また首都ローマにおいてはカエサルが計画したよりも大きく立派に建設されたマルケルス劇場、アウグストゥスの広場(復讐者マルスの神殿―『祭暦』の叙述)、「平和の祭壇(アラ・パキス)」のレリーフ、パンテオン(ディオ・カッシウス『ローマ史』にアグリッパとアウグストゥスの彫像の配置についての記述がある。)など各所にみられ、そのイメージ形成に貢献している。(山田記)

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講師紹介:■中川 亜希(なかがわ あき)
東京大学大学院総合文化研究科学術研究員。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。ボローニャ大学歴史(古代史)学科博士課程修了。PhD。立教大学、東京女子大学、清泉女子大学、日本女子大学、立正大学非常勤講師。共著に『古代地中海世界のダイナミズム』(山川出版社)、『ラテン碑文で楽しむ古代ローマ』(研究社)、『ローマ帝国と地中海文明を歩く』(講談社)、『イタリア文化事典』(丸善出版、「宗教の変遷」「ローマの政治と社会」「古代ローマの思想と文学」を担当)。

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2015年連続文化セミナー 『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』
第2回 ローマ共和政期とアウグストゥス治世の美術作品
―初代皇帝アウグストゥスによる皇帝美術の創出に着目して―(報告)

roma-houkoku-14月17日(金)18:30~20:00、2015年連続文化セミナー 『古代ローマの皇帝たちとそのイメージ』シリーズ第2回が開講され、参加者は約30名でした。今回のセミナーから各論に入り、今回は肖像や建築物などの美術品から、アウグストゥス皇帝を中心に皇帝のイメージがいかに形成されたか話していただきました。

まずローマの起源から説き起こし、エトルリアの支配から脱して共和政を樹立したローマは、やがてギリシャの強い影響を受けることとなるが、単にギリシャの模倣でないことに注目しなければならない。例えばフォルトゥーナ・ウィリリスの神殿は、縦長で、正面からしか入れない形態であることとか、ウェスタ神殿のように円形であったり、フォルトゥーナの神域のように丘の斜面全体を利用するなど、明らかにパルテノン神殿に代表されるギリシャの神殿とは形態を異にしている。また肖像にしても貴族がその社会的な特権的な地位を誇示するための手段であったから個人の顔を忠実に複製したものであって、ギリシャの理想的な顔の肖像とは趣を異にするものであった。

さて前44年カエサルの暗殺後、後継者となったオクタウィアヌスは前27年に元老院からアウグストゥス(尊厳者)という称号を与えられる。この時をもって共和制と帝政の境目とされる。アウグストゥスは若きリーダーとして、また死後に神とされたカエサルの息子として自分を神の子としていたから、彼の彫像は神のように超越しており、死の間際まで若い姿で表現された。またアウグストゥスによる公共建築プロジェクトの中で最も野心的であったのはマルス神殿を含む新たなフォルムの建設であった。この頃大理石の産地であるカッラーラが発見されたため、皇帝は大理石をふんだんに使って大規模な建設を行った。そのほか、ポンデュガールの水道橋やアラパキス・アウグスタエ(アウグストゥスの平和の祭壇)などが有名である。

最後にアウグストゥス治世以降に制作されたティベリウスの洞窟の作品やクラウディウス治世の作品としてアクア・クラウディアを紹介していただきました。

roma-houkoku-3講師紹介:
■坂田 道生(さかた みちお)
千葉商科大学非常勤講師。国際基督教大学教養学部人文科学科卒業、(オランダ)ライデン大学考古学部古典考古学科修士課程修了(M.A.)、筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻博士課程修了。博士(芸術学)。専門は古代ローマの皇帝美術、現在はハドリアヌスとトラヤヌス時代の美術作品を調査中。

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「イタリア島めぐり&50代からのイタリア留学」のご報告

matsuura第一部の旅行セミナーはイタリアに点在する魅力ある島々がテーマでした。

講師のTutta Italiaカンパニー長の松浦さんは、数週間前にまさにイタリアの島にご出張されていたということで、最新の写真を見ながらのお話となりました。

シチリアやサルデーニアといった大きな島はもちろんですが、小さな島々にも見どころは満載です。

まず、イタリア三番目に大きな島、トスカーナ州のエルバ島について紹介され、美しい港や、島を見渡せる丘の上からの風景を地図や写真を見ながらご説明いただきました。また、この島の歴史にかかせないナポレオンについて、その別邸や博物館も紹介していただきました。

次に、日本人にも「青の洞窟」で有名なカプリ島、そしてツアーではなかなか行く事のないプローチダ島とイスキア島についての紹介がありました。小さな島プローチダ島は三輪タクシーでまわるのがお勧めとのことです。イスキア島は温泉とエステで有名です。その温泉を日帰りでも楽しめる施設や、エステのできる高級ホテルも紹介されました。いずれの島も美しい景色に美味しい海の幸が満載です。

イタリア人も愛してやまない青い海と青い空を求めて、そんな島々を訪ねたくなるセミナーでした。

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yuasa第二部は夢と意思を持ってイタリアに滞在された湯浅浩志さんにその体験を伺いました。

ご自身のイタリアとのつながりは、初めて足を踏み入れた40年前の大学時代からとのこと。以来、イタリアは憧れの国でしたが、30数年の会社生活後、2年間のセカンドキャリア休暇を取得してイタリア留学を実現されました。

“イタリアに滞在する”には、パックツアーやロングスティ、留学といった色々な手段方法がある中で、シニアの方々には短期滞在の「遊学」がリスクや自由度を勘案するとお勧めではないかと、例や理由を挙げつつ提案していただきました。

また、湯浅さんが滞在したミラノ、ローマ、ペルージャ、ボローニャそれぞれについて、学校の様子やステイ先のことなどを沢山の写真とともに紹介いただきました。

湯浅さんにとって「遊学」のポイントは「意・食・住・間(意味・食事・住宅・仲間)」で、何の為に「遊学」するのかという「意味」をしっかりとした上で「遊学」することを勧められました。それにより、そこで出会った人々は湯浅さんにとって宝物であり、そしてそれは人生の色々な経験を積んできた今の自分だからこそ出会えたものである、とのこと。

即ち、人生は「やり直す」必要などなく、人生のある時点において、一度、自らの生活を見直し、もう一度、第二の人生を「再起動」するという湯浅さん、「遊学」によって得た人生の確信は自分への自信をもたらしてくれたものだったようです。

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「須賀敦子翻訳賞」受賞記念トーク・イヴェント - 白崎容子先生&関口英子先生に聞く ご報告

OLYMPUS DIGITAL CAMERA去る4月1日(水)、昨年「第1回須賀敦子翻訳賞」*をダブル受賞され、日伊協会のイタリア語講師としてもおなじみの白崎容子先生と関口英子先生をお招きして、トーク・イヴェントが開催されました。お2人のお話が一度に聞けるめったにない機会とあって、会場は満席、お2人の対談にみなさん最後まで興味深く聞き入っていました。

対談では、どうして同じ時期に同じ作家ピランデッロの作品で受賞することになったのか、といった今回の受賞にまつわるお話や、翻訳というお仕事について、またイタリア語を学ぶ魅力など、さまざまなテーマについてお話しいただきました。

受賞作であるピランデッロの他にも、ロダーリ、カルヴィーノ、タブッキ、サヴィアーノ、アバーテ、プラーツ、レーヴィ、ベンニ、ピウミーニなど、様々なイタリア人作家の作品とその特徴なども広く紹介していただき、イタリア文学の奥深さを改めて感じることができました。
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翻訳は「あらかじめ負けの決まっている闘い」という言葉が印象的でしたが、翻訳作品が世に出るまでは、的確かつ魅力的な訳語を生み出すための相当な苦労があり、その反面、必死に考えてそれが形になったときは何物にも変えがたい喜びがあると語ってくださいました。このお話を踏まえてお2人の作品を読めば、また違った発見があるのではないでしょうか。さらに、原作と読み比べれてみれば、この言葉の意味がよくわかるはずです。

でも、まだまだイタリア語の原作を読むなんて無理・・・と尻込みされている学習者の方も多いのではないかと思います。そんな方向けのコースが4月15日(水)より開講いたします。白崎先生&関口先生による特別共同講座「名作短編で学ぶイタリア語(番外編)」です。お2人は、昨年共著で『名作短編で学ぶイタリア語』(ベレ出版)を出版されました。本書は、完全対訳に文法・文型の解説を加え、イタリアの小説を原文で味わえるイタリア語学習者にとって大変役に立つ内容となっていますが、授業では、この本に収めきれなかった2つの短編を取り上げます。

全6回のうち、前半3回は、関口先生によるカルヴィーノの短編集“Gli amori difficili”より“L’avventura di un automobilista”を、後半3回は、白崎先生によるヴェルガの短編“エクス X”を読んでいきます。

イタリア語の作品を原語で読んでみたいけれど、自分ひとりではなかなか細かいところまで読み取れないという方、ぜひご参加ください。読み物がはじめての方でも、きっと原作を読む楽しみが実感できるはずです。

白崎 容子

白崎 容子

講師プロフィール:

白崎容子(しらさき ようこ)
東京外国語大学修士課程修了。元慶應義塾大学文学部教授。日伊協会理事。
主な訳書に、G.ロダーリ『二度生きたランベルト』(平凡社)、L.ベンティヴォリョ『わたしのヴェルディ』(音楽の友社)、P.アントネッティ『フィレンツェ史』(共訳、白水社))、M.プラーツ『ローマ百景 建築と美術と文学と』 /『官能の庭 マニエリズム・エンブレム・バロック』(ともに共訳、ありな書房)など、著書に『トスカ イタリア的愛の結末』(ありな書房)ほかイタリア語学書などがある。

関口 英子

関口 英子


関口英子(せきぐち えいこ)
旧大阪外国語大学イタリア語学科卒業。翻訳家。児童書から映画字幕までイタリア語の翻訳を幅広く手掛ける。主な訳書に、G.ロダーリ『猫とともに去りぬ』、P.レーヴィ『天使の蝶』(以上、光文社古典新訳文庫)、C.アバーテ『風の丘』(新潮社)、R.サヴィアーノ『コカイン ゼロゼロゼロ』(共訳、河出書房新社)、I.カルヴィーノ『マルコヴァルドさんの四季』(岩波書店)などがある。

*イタリア文化会館によって2014年に新設された同賞は、イタリア語から日本語への優れた翻訳書を表彰するものです。第1回は、2012年1月~2014年6月に出版された翻訳作品の中から下記の2点が選ばれました。

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■白崎容子、尾河直哉訳『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語』(白水社、2012)
■関口英子訳『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(光文社、2012)

※尚、2015年春期イタリア語講座では、白崎先生&関口先生による特別共同講座「名作短編で学ぶイタリア語(番外編)」を開講いたします。詳細は、こちらをご参照ください。

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