坂本鉄男 イタリア便り 多すぎるお客さま

 きょう27日、2人の元法王をカトリックの聖人に列する式典がバチカンのサン・ピエトロ広場で行われる。その2人とは、カトリック教会の近代化に大きな貢献をしたヨハネ23世(在位1958~63年)と、世界中を旅しカトリックの普及に尽くしたばかりか、母国の民主化を通じてベルリンの壁崩壊の陰の力ともなったポーランド出身のヨハネ・パウロ2世(同78~2005年)の2人だ。

 ローマ市には、この列聖式のため、世界中からカトリック信者や観光客が集まってくる。復活祭前の聖週間と20日の復活祭を合わせると、4月中旬からの総数は、500万人以上と推定される。

 観光客のおかげで潤うホテルや商店と違い、多数の外来者に対応する市当局は大変だ。この間に乗り入れてくる観光バスは計2500台を超える。

 駐車場や交通整理に当たる警官4400人の手配、980カ所の簡易トイレや13カ所の救護所の設置、飲み水400万本を無料で配るボランティア2700人の配置、観光客が捨てる膨大なゴミの回収など、ローマ市当局は約500万ユーロ(約7億円)の臨時支出に頭を抱えている。

 資金面での補助を依頼している政府の方も財政難。なかなか首を縦には振ってくれないのが現状だ。

坂本鉄男

(2014年4月27日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)