坂本鉄男 イタリア便り 記念日ラッシュ

よその国と比べ、日本のように祝日が多い上にハッピーマンデーまであると、「この日はもともとなんの祝日だったのだろう」と自問する人も多いのではないか。

このほか、世界には休日にはならない記念日が非常にたくさんある。例えばカトリック教の世界では365日のどれもが聖人の誰かのためにあてられ、今は廃れたがイタリア人の「マルコ」君なら4月25日の「聖マルコの日」を自分の聖名祝日として祝ったものである。

国連が決めた記念日も多い。1月27日の「国際ホロコースト記念日」や3月8日の「国際女性の日」はともかく、水が豊富な日本に住む人々には3月22日の「世界水の日」はピンとこない。世界に10億人いるトイレのない人々をなくすための11月19日の「世界トイレの日」となると、普通の日本人は理由を聞かなければ、国連はなんでこんな記念日をつくったのか首をかしげてしまうだろう。

日本にも、祝日以外に国などが決めた記念日は多い。1月10日の「110番の日」、天智天皇時代の西暦671年6月10日に鐘を打って時を知らせたことに由来する「時の記念日」、それに大正12(1923)年9月1日の関東大震災を記念する「防災の日」までたくさんある。今後も、政府は祝日を新設する材料には事欠かないわけだ。

坂本鉄男

(2015年2月1日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)