坂本鉄男 イタリア便り 清貧に甘んじる

本日はカトリック教徒にとって最も重要な祭日「復活祭」である。この機会にカトリック教会の聖職者の待遇について報告したい。

ローマ法王フランシスコは、聖職者たちに清貧を呼びかけているが、聖職者の月給は決して高くない。

イタリアでは納税額の1000分の8を特定の宗教団体や研究機関に割り振ることができ、どれだけの市民が毎年6月の納税申告時にこれを希望するかによって、カトリック教会の収入が決まる。

2012年にカトリック教会に割り当てられた金額は11億ユーロ(約1440億円)で、この一部がイタリア国内の聖職者の給料に回される。

地区の一般司祭の月給はだいたい年功に応じて決められるが、最高でも1200ユーロにすぎない。全国155の司教区の責任者の司教でも最高3千ユーロだ。

一方、バチカン市国は独自の財源を持ち、高位聖職者から一般職員まで約4千人に給料を支給している。一番の高給取得者は枢機卿の5千ユーロ、次いで各省の長官などを務める大司教が4千~3千ユーロで、法王は給料ゼロである。

ちなみに前法王ベネディクト16世は、自分で年金を2500ユーロと決め、数多くの著作による印税収入は全部、バチカンに寄付している。

坂本鉄男

(2015年4月5日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)