坂本鉄男 イタリア便り カトリックと同性愛

 旧約聖書の「創世記」第1章で「神は(昼と夜、天と地などをつくった後)6日目に自分に似せて男と女を造り、“生めよ、殖(ふ)えよ、地を満たせ…”と仰(おっしゃ)った」とある。つまり最初から男と女は別の形につくられ一体となって繁殖するよう命じられたのだと言う。

 だが、人間はやがて神の命に背き男色にふけるようになり、この結果、「創世記」第19章で男色が盛んで神も容認できなくなった町ソドムとゴモラが天からの硫黄と火の雨で焼き滅ぼされる話が出てくる。

 聖書の教えを信じるキリスト教、特にカトリックの「男女とは結婚し子供をつくり家族を形成するもの」という教えは人類が発展していく途上では正しい考えだった。一方、神の命に背き天からの硫黄と火の雨で焼き尽くされた町があった話があるほど、同性愛の習慣も古いものである。

 今回、カトリックが多数派のアイルランドで国民投票により「同性同士の結婚がオーケー」になったことは、同性愛をタブー視してきたカトリック教会にとっては大きな打撃である。

 今後、この問題についてはカトリック教会が自己の近代化のために真剣に取り組む必要がある。また同時に、今後の人類社会にとって、同性婚が広がったらタダでさえ深刻な少子化問題はどうなるのかも心配になる。

坂本鉄男

(2015年6月7日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)