日伊協会 連続文化セミナー 『イタリアの祝祭』
第2回 都市フィレンツェの聖史劇 — 奇蹟と見世物 —

日本語 文化
イタリアの都市の聖堂、宮殿、劇場そして広場などを舞台に繰り広げられる祝祭に出会った時、その都市は一層輝いて見えます。

なぜ都市はそして人びとは祝祭を求めるのでしょうか。

この連続セミナーでは、ヴェネツィアやフィレンツェなどの都市で繰り広げられるさまざまなかたちの「祝祭」を通して都市の魅力を再発見し、祝祭によせる人びとの心の動きに触れることを目指します。

14世紀プロヴァンス地方の細密画《全天を回すふたりの天使》大英図書館、ロンドン (フィレンツェの聖史劇でも「天使」がクランクを回していました)

14世紀プロヴァンス地方の細密画《全天を回すふたりの天使》大英図書館、ロンドン (フィレンツェの聖史劇でも「天使」がクランクを回していました)

ルネサンス期のフィレンツェは、西洋美術史上のひとつの「中心」として長らく注目を集めてきました。一方、その「中心」に寄り添うように開催されたひとつの行事は、これまでほとんど顧みられませんでした。

その行事とは「聖書と芝居」、「奇跡と舞台効果」、「キリスト教と異教」が坩堝のように絡み合う祝祭です。聖堂で上演された、現在「聖史劇」と呼ばれているその祝祭は、当時の大工・ブリキ工・金細工師・画家・毛織物商など多くの市民が知恵をしぼり、腕をふるう現場でもありました。

聖史劇は信徒に、「マリアはいかに美しいのか」、「星々はいかに運行するのか」、「聖霊はいかに恩寵を施すのか」、「イエスはいかに天へ昇るのか」、そして「天使はいかに空を飛ぶのか」などの問題を投げかけたのです。全ヨーロッパから集った見物客が、それらの演出をいかに捉えたのか、当時の図像資料も参照しながら考察していきます。

講師紹介:■杉山 博昭(すぎやま ひろあき)
早稲田大学高等研究所助教。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了(人間・環境学博士)。国際基督教大学、追手門学院大学非常勤講師。単著に『ルネサンスの聖史劇』(中央公論新社・第5回表象文化論学会奨励賞)、共著に『「聖書」と「神話」の象徴図鑑』(ナツメ社)など。
引き続き、以下の日程(時間帯・受講料・会場は本セミナーに同じ)・テーマで開催いたします。
日伊協会会員の方は、第1回から第5回までの全セミナー5回分をお申込みの場合、通常10,000円のところ8,000円とさせていただきます。

第3回 5月27日(金) ミラノのデルビー ―イタリア・サッカーの醍醐味―
講師:小川 光生(フリージャーナリスト、中京大学スポーツ科学部非常勤講師)

第4回 6月22日(水) ローマ社会における「パンとサーカス」
講師:本村 凌二(東京大学名誉教授、早稲田大学国際教養学部特任教授)

第5回 7月22日(金) ヴェネツィアの祝祭 ―オペラと劇場―
 講師:田島 容子(オペラ史研究者)

申込名開催日時間会場参加費備考
S-SF24/15(金)18:30–20:00 青山
石川記念
ルーム
201
一般/受講生3,000終了
日伊協会会員2,000