坂本鉄男 イタリア便り 本場にも負けないわが家のイタ飯「ペスト・ジェノベーゼ」をご紹介します

 日本人の食べることに対する好奇心には驚くほかない。昨年も神戸のイタリアレストランのオーナー・シェフが、「お客さんに評判がいいのですよ」と言って、わざわざバーニャ・カウダのおいしいソースを作ってきてくれた。

 だが、これは、北伊ピエモンテ州の料理で、ローマではほとんど食べない。

 わが家では最近、メインディッシュの前のパスタ料理のソースとして、日本でもポピュラーになったペスト・ジェノベーゼ(ジェノバ風ソース)に凝っている。ペスト(イタリア語で「すりつぶす」という意味)という通り、昔は家庭用の小さな石臼で材料を潰してつくった。今では日本のレシピにあるようにミキサーで簡単に作れる。

 材料(大体8人前)は、バジリコの葉80グラム、おろしたパルミジャーノ・レッジャーノ大さじ山7杯、おろしたペコリーノ(やや塩味の強い羊のチーズ。本場ジェノバではサルデーニャ島産を使うが、わが家はローマ東部の山地産を使用)大さじ山3杯、松の実大さじ山1杯、ニンニク4かけら、エキストラバージン・オリーブオイル180ミリリットル、塩2つまみ。これをミキサーにかければ出来上がり。硬めにゆでたスパゲティにあえて皿に盛り、おろしたチーズを添えれば完了だ。イタリア人の客にも好評である。

坂本鉄男

(2016年7月10日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)