「イタリア マンドリン通信」
<栗料理教室><栗祭り><モデナでのコンサート>

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<栗尽くし料理教室>
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今回のイタリア料理教室は、栗料理でした。献立は①Pici all’Aglione(手打ちバスタのトマトソース) ②Rotolo di maiale con castagne(豚肉の栗入りサルシッチャ巻き)③モンブラン

①は手打ちバスタでうどんのようにコシがあり、パスタマシーンを使わず手のひらで伸ばして作ります。栗は大きいものと天津甘栗の様に小さいのと2種類あり、味も異なります。ソースはニンニクを香りづけだけでなくそのままソースとして食べるので、ワインで煮るというところが新しい発見でした。

mandorin-36-2②は、通常はウサギの肉を使うのですが、今回は豚肉でサルシッチャに栗を混ぜてローストするものでした。栗のほのかな甘みが肉を引き立てあっさりとした味でした。

③はモンブランですが、イタリア人は割とあっさりとした味に仕上げるらしく、ミルクを多めとか。日本人はフランス風のモンブランの味に慣れているせいかそれでは物足りないので、生クリーム多めでの仕上げとなるそうです。栗のペーストを作るのに、イタリア製の擦りマシーンが登場しました。これでパッサータ ディ ポモドーロ(passata di pomodoro:トマトピューレ)を作るそうで、毎回料理の必要に応じたイタリア製調理器具が登場するので興味深かったです。

<栗祭り:Cuneo(クーネオ)>

雨と風が強い日だったにも関わらず、トリノから電車で1時間位の小さな町Cuneoで開催された国際栗祭り(Fiera nazionale del Marrone 2016)に行きました。目的は良い栗を見つけることとそれを使った商品を買いたいと思ったからです。

駅からやや離れた中心地にある大きな通り沿いには、沢山のお店があり、お菓子屋さんのウィンドウには、栗尽くしのお菓子でデコレートされていて、それは賑やかで、美味しそうで栗が名物であることを物語っていました。

広場に着くと、雨で人出が少ないせいか店は半分は閉まっており、私達も寒くて凍えそうな中、まずは良い栗を探しに廻りました。幸いすぐに€5/Kという品質の良い、他と比べても一段と輝く存在の大きい栗を見つけて購入しました。他にも新鮮なオリーブオイル、栗の甘煮、ポルケッタ(子豚の丸焼き肉)、白いジャーマンソーセージなどの商品を手に入れました。

予定通りの買い物をしてほっとし、寒くなった体を温めるべく、広場近くにあるデコレーションが素晴らしい老舗洋菓子店に入り、美味しいコーヒーとモンブランを食べました。この時期限定の栗入りパネットーネを発見して、それも購入。すっかり満足して駅に向かいました。

町に着いたときに、雨と風で見えなかったこの町を見下ろす山々が、帰る頃には、この数日の寒さで真っ白い雪で覆われた美しい景色となって私達の前に広がり、車窓からもこの素晴らしい景色を見ながら、この町を後にしました。翌日には早速、日本人大好き栗ご飯を作りました。期待通りの良い栗を20個も入れ、美味しく炊けました。

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<モデナでのコンサート>

写真右がハックブレット(ハンマード ダルシマー:伊名サルタリオ)」、左がスピネット(伊名はスピネッタ)

写真右がハックブレット(ハンマード ダルシマー:伊名サルタリオ)」、左がスピネット(伊名はスピネッタ)

10月下旬の週末にイタリア在住のマンドリニスト西山さんのコンサートがモデナと近郊の町で2回ありました。今回は、日本から来られたチェンバリストとハックブレット*1奏者との珍しい日本人バロック音楽コンサートでした。前日から西山さんとモデナ入りし、日本からのお二人の演奏家とのリハーサルに立会いながら、色々お話しすることが出来、プロの演奏家ではない私にはめったにない機会なので大変な収穫でした。

今回のコンサート会場は、中心地にある個人宅のギャラリーで約80名のお客様で満席となりました。ただ、暖房がないのでドレスの演奏者は寒そうで少し気の毒でした。内1曲は日本人作曲のもので、演奏者は着物を羽織って演奏され、注目のシーンでした。リハーサルは前日だけという厳しい日程でしたので、それぞれ演奏の息を合わせるのに苦労されていました。

しかも今回はチェンバロではなく、小さいスピネットというチェンバロに似た楽器で、チェンバロより音もややデリケートで、演奏に苦慮されているようでした。普段使い慣れた自身の楽器を使えない演奏者は、現地での楽器に対応しなければならないのは、大変なことだと思います。またびっしりと各弦が細い3本で並んでおり、当日は会場照明で光ってしまって見えないのです!演奏者は感で弾くしかないと仰ってました。。。

お客様はこの三重奏をとても興味深く聴いて頂けたようで、まずは成功のうちに終了することが出来ました。特にハックブレットの演奏は多分聞いたことがない(私も)方が多い中、コンサート終了後も演奏者に質問をされていらっしゃいました。

私はミラノでもこの三重奏が実現出来たらと考え始めました。イタリアでの演奏をしたいと仰っていたお二人にとっても、更なる演奏機会が出来れば得ることも多いでしょうし、イタリア人の聴衆にとっても貴重な演奏を楽しむことが出来るはずです。小さな教会で出来たら、さぞ素敵ではないかと思いました。

*1:ハックブレット(Hackbrett:独名ハックブレット、別名ハンマードダルシマー伊名サルタリオ)写真参照下さい。