坂本鉄男 イタリア便り ミラノの中国人

 イタリア北部の商業都市ミラノでは最近、中国系住民の増加が目立っている。実際、市役所の住民登録簿に登録された名字は、驚くなかれ上位10番内に中国系の名字が3つもあることが判明した。

 1位は典型的なイタリアの名字ロッシが占め4379家族がいるが、なんと2位はHu(胡)の3694家族、8位はChen(陳)で1625家族、10位はZhou(周)で1439家族がいるという。

 これに対し、これまで典型的なミラノの名字と考えられてきたブランビッラは8位の1536家族に後退し、ミラノ住民もさすがにこの結果にはショックを受けている。

 ミラノ市在住の中国人は、公式には約2万1千人とされているが、近年、不法入国者が激増し実数は8万人を超えると推定される。

 中国人は事業(食品・衣料関係が多い)に少し成功すると故郷から親戚を呼び寄せ助け合う。この結果、ミラノのバール(軽飲食店)の20%は中国人が握っているらしい。口先では「絆」を叫んでも、実際は東北地方の震災地のがれきを受け入れようとする市町村が少ないことで日本人の同胞愛の程度は知れている。真の助け合い精神が乏しくなっている日本人も見習うべきだろう。

坂本鉄男
(5月13日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)