坂本鉄男 イタリア便り 最近の家政婦事情

 日本でヒットしたテレビドラマ「家政婦のミタ」では日本人の万能家政婦が活躍したが、イタリアで家政婦といえば東南アジア系かアフリカ系の外国人女性と相場が決まっている。昔は、農村からたくさんの女性が通い、あるいは住み込みの家政婦として働きに来ていた。

 しかし最近は長引く不況のあおりで倒産する企業が続出、家計の助けにとパートの家政婦に進出するイタリア人女性が増えている。

 最近の社会保険局の報告によると、2008年に12万人だったイタリア人家政婦は11年には14万人に増えたそうだ。とはいえ、イタリア中の家政婦65万人の中ではまだまだ少数派だ。イタリア人家政婦は中年以上の女性が多く、時給は外国人と同じく8ユーロ(約1090円)前後で、月額8万円程度を家計に入れているという。

 わが家のマンションでも住人12家庭中、夫婦2人だけのわが家と、もう1軒を除き、全家庭が外国人家政婦を雇っている。高齢者1人暮らしの4家庭は住み込みで、あとは通いのパートだ。高齢者家庭では、家事と散歩の介添えが主な仕事で、住み込みの場合は個室と3食付きで月額700~800ユーロが相場だという。だが、若いイタリア人女性は職がなくても家政婦に見向きもしないのはなぜだろう。

坂本鉄男
(11月24日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)