連続文化講座『ファシズムと芸術』 第2回 ファシズムと映画 ― チネチッタ撮影所物語


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ファシストたちがイタリアの政権を担った1922年から42年の「ファシズムの時代」を生きた芸術家たちとその作品について、様々な分野の専門家が数回にわたってわかりやすく解説します。古代ローマ、ルネッサンス、バロックの芸術でおなじみのイタリアですが、20世紀前半、特にこの困難な時代の芸術の世界ものぞいてみませんか?

第2回 ファシズムと映画 ― チネチッタ撮影所物語

 cinecitta1936年「映画は最強の武器だ。」と語ったベニート・ムッソリーニは、その数年後に、「映画とは何か?」と問われ、「私にとって、映画は二つの範疇に分けられる。観客がどのように終わるのかと自問する映画と、同じ観客がいつ終わるのかと自問する映画である。」と答えた。1922年から1943年までのファシスト政権下におけるムッソリーニの映画政策は、プロパガンダと娯楽の両面を含んだ一貫性に欠けるものだったが、1935年の映画実験センター(現在の国立映画学校)及び1937年のチネチッタ撮影所の開設は、人材育成とインフラ整備の点から、戦後のネオレアリズモに始まるイタリア映画の黄金時代を招来した大きな原動力となった。

とりわけ、22棟のスタジオを擁したヨーロッパ最大級のチネチッタ撮影所は、イタリア映画の発信地としてのみならず、1950年代から60年代には<テーヴェレ川のハリウッド>として、『ローマの休日』(1953)や『ベン・ハー』(1959)を初めとするアメリカ映画の製作拠点ともなった。近年は日本映画『テルマエ・ロマエ』(2012)の撮影にも使用されたチネチッタ撮影所の歴史を遡りながら、ファシズム政権における映画政策と作品について再考します。

<講師プロフィール>

■西村 安弘(にしむら やすひろ)

東京都出身。日本大学芸術学部映画学科卒業、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。文学修士。川崎市市民ミュージアム学芸職員(嘱託)を経て、現在東京工芸大学芸術学部映像学科教授。専門はイタリア映画史。訳書に『アントニオーニ 存在の証明』
(フィルムアート社)など。

申込名開催日時間会場参加費備考
S-SF25/24(土)16:30~18:00青山
石川記念
ルーム201
会員2,000終了
受講生3,000
一般