坂本鉄男 イタリア便り 来月G7開催「タオルミーナ」の魅力

来たる5月26日と27日の両日、先進7カ国サミットがイタリア南部シチリア島の国際的観光地タオルミーナで開催される。

昨年、レンツィ前伊首相がシチリアのこの地を選定した理由は、イタリア政府観光局が宣伝ポスターに使ったほどの景勝地であるほか、地中海を渡りシチリアに押し寄せる難民問題にも利用できるためだ。

また、海からほぼ垂直に200メートルの山上に広がる小さな町であるため警備がしやすいことも理由の1つにある。それだけに交通の便の悪さと、限られた数の宿泊施設には各国代表団および報道関係者は頭を悩めるに違いない。

タオルミーナは紀元前約350年に古代ギリシャ植民地に、次いで古代ローマの植民地になった。町の外れの崖の上には、有名な古代ギリシャ劇場跡が残っている。ここからは、足下に紺碧(こんぺき)の地中海と遠くには2000年以上前から噴煙を上げ続けるヨーロッパ唯一の活火山エトナ山を望むことができる。

現在でもこの劇場跡では、夏季の演劇祭や映画祭が行われ、多数の観光客を集めている。

私にとっても、昔、メッシナ市のロータリークラブとローマ日本大使館の要請でこの町で一番有名なホテルで「日本経済発展の秘密」の題で講演したこともある思い出深い土地でもある。

坂本鉄男

(2017年5月21日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)