坂本鉄男 イタリア便り 幼いイエスが受け取った3つの贈り物とは

6日はカトリック教会の「ご公現の祝日」で、イタリアでは祭日だ。イエスが初めて人間社会の代表ともいうべき「東方の3博士」の前に姿を現し、贈り物を受け取ったことを祝う日である。

 新約聖書の巻頭のマタイ福音書第2章には、星に導かれ生まれたばかりのイエスを拝みにきた3博士と贈り物の話が登場する。昔のイタリアでは、子供たちはクリスマスではなく、6日にプレゼントをもらった。良い子にはオモチャが、悪い子には黒い炭の形をした砂糖菓子が渡された。

 さて、しばしばルネサンス美術の題材になってきた、幼いイエスに礼拝する3博士の贈り物とは何か、ご存じだろうか。聖書の解説では「(王に対する)黄金」、「(神に対する)乳香」、「(はりつけにされるイエスへの)没薬(もつやく)」とある。黄金は分かるが、乳香と没薬は聞きなれない言葉だ。

 これらはともに、アラビア半島や東アフリカに自生する樹木が分泌する樹脂から採集される。乳香は昔から神殿で香としてたかれた。現在でもローマ法王の出席する儀式で、振り香炉に入れられ、煙で祭壇を清めるのに使われているという。

 没薬も香水の原料となったほか、鎮痛剤、防腐剤などに用いられ、大変高価なものだったらしい。

坂本鉄男

(2018年1月7日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)