坂本鉄男 イタリア便り 入れ墨入りのミス

 9月上旬に恒例のミス・イタリアの最終選が行われ、最後に残った3人の美女の1人が下腹部と背中にかなり目立つ入れ墨をしていた。

 入れ墨に対してやや偏見を持つ私は「気の毒に入れ墨がなければ彼女が1番だろうに」と思っていたら、なんのことはない。無事ウンブリア州代表の入れ墨入りの19歳の美女がミス・イタリアに選ばれた。審査委員諸氏が入れ墨に偏見を持っていないことが判明したわけだ。

 サッカーのセリエAのトップチーム「インテル」の超有名ディフェンダーのマテラッツィや、スイス出身の超有名ショーガールら入れ墨組は数多いから、入れ墨入りミス・イタリアが選ばれても全くおかしくはないわけだ。

 現在イタリア全国には300万人の入れ墨を入れた若者がおり、18歳から50歳の男女の4人に1人が入れ墨組だという。年齢層別に分類すると、18歳から24歳までは9%、25歳から29歳までは32%、30歳から39歳までは25%だそうだから、年少組ではやや減少気味だといえよう。

 これは、皮膚科専門医が「入れ墨を消すことの難しさ」を宣伝し、18歳以下の未成年者が入れ墨をするときは親の同意が必要になったことや、24歳から30歳までの女性には入れ墨を後悔している人が多いなどの報告が発表された結果ではなかろうか。

坂本鉄男
(10月3日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)