あきらめの悪いイタリア男… ストーカー被害が年に1300件 洋の東西で消えぬ男尊女卑の名残

 日本で最近「元カレ」によるストーカー事件から発展した殺人事件や、元カレや元夫の復縁を拒絶したあげくの殺人事件が急増しているが、これは一種の世界的現象かもしれない。

 イタリアでも昨年度中に、前述のような原因で約155人の女性が殺害された。今年も既に約60人の女性が殺されている。昨年は、困った女性用の駆け込み相談電話に、夫や元カレからの暴行事件8800件、ストーカー被害1300件の相談があったが、警察への届け出は全体の10%に満たなかったという。

 ローマでは5月下旬の深夜に、むごい殺人事件が起こった。ローマ大学の女子学生(22)が、それまで交際していた男(27)を捨てて別の男性と付き合い始めたところ、彼女をあきらめ切れない男が新しい相手の家から帰る途中の彼女を待ち伏せし、車にガソリンをかけて炎上させたほか、逃げる彼女も焼き殺してしまった。

 この種の原因で、洋の東西で多くの女性が殺され、暴行を受けているのは何故なのだろうか? ある社会学者は「男尊女卑の名残で、いまだに多くの男性が一度付き合った女性を自分の所有物のように考えるため」としている。

 世の中の女性は、思い切りの悪い男が非常に多いことを知るべきだ。

坂本鉄男

(2016年10月9日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)