イタリアマンドリン通信 マンドリン修理とトリノ訪問

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<マンドリン友人をマエストラにレッスン紹介>

ミラノオケで知り合った友人で、ミラノ郊外のMonzaという町に住んでいるロシア人女性が、私のマンドリンのマエストラ*の西山さんにレッスンを受けたいと要望がありました。彼女は西山さんの住むブレーシャへは多分2時間はかかる距離でしたが、「是非にも一度レッスンを受けたい!」との熱い思いがやっと先日実現しました。

西山さんは演奏のテクニックだけではなく、クラシック音楽の基礎的な考え方や演奏表現も詳しく説明してくれ、どういう時代背景でその当時の譜面を見せながら、その時代の音楽家がいかに優秀であったか、何故そういう演奏になるのか?盛り上げ方、切り替え方など盛り沢山で、惜しみなく教えてくれます。イタリアの考え方、フランス風演奏方法、ドイツの演奏表現等。

私はそのお蔭でその譜面からなんとか自分に取り込もうと、どうしてこういうフレーズなのか?を考えたり質問することが出来るようになりました。音楽の繊細さを見つけようとすることが楽しく、分かったときの嬉しさも感じるようになりました。

こういう話をその友人に何度となく話すことにより、彼女の西山さんに対する尊敬とそのレッスンを夢見るようになったのです。私たちは何時間も、Monzaにある壮大な公園を散歩しながらこの話をしてすっかり意気投合しました。彼女は毎週は行けないにせよ、毎回2時間のレッスンを月2回希望しており、私もその成果を期待しています。同じ先生の生徒というだけでなく、2人でデュエットも可能ですし気が合うので、今後の演奏がとても楽しみです。もし、今年夏前に発表会があれば是非とも彼女と2人で弾きたいと考えています。

<マンドリンのフレット修理>

イタリアに来てから3年目となり、マンドリンを弾く(練習も含め)ことが日課の日々。やはり、マンドリンの指板が消耗しており、かねてから修理したいと思っていました。マエストラの西山さんにブレーシャで、彼女が常日頃メンテナンスや古いマンドリンの修復を依頼しているliutaio(楽器職人)のFabioさんを紹介してもらいました。

彼はまだ若いにもかからわず、楽器の修理・修復以外に、ミラノのliutaioの学校で教えているという腕の良い優秀な人材とのことでした。お会いしてとても気さくで優しく、丁寧な人柄で、お任せすることにしました。なんと1週間で全部交換してくれることになり、たまたまコンサートがない月に修理出来るのが、良いタイミングと判断しました。

後日、取りに行くと、仕上がった楽器に施された調整について細かく説明してくれ、すっかり生まれ変わった我が楽器を手にして意気揚々とその夜の練習に参加しました。すり減ったフレットによる不安定な音程が軽いタッチで定まること、音が一定に鳴ることの違いにびっくりでした。今まで、苦労して(そう感じてなかったかも)探りながらの演奏だったことに気づいたのです。

後日に、私の所感とお礼をあらためて彼に書きました。私がどう感じているのかを知りたがっていましたので、とても喜んでくれました。これで、イタリアで信頼出来るliutaioを知ることが出来、いつでも相談出来ることが可能になり、安心して演奏活動が出来ます。

<トリノ郊外観光とスローフードの町訪問>

かねてから行きたかったトリノの世界遺産の宮殿ヴェナリア宮殿(La Venaria Reale)に行って来ました。トリノの友人から楽な行き方を教えてもらい、Torino Porta Susaという停車場から市営バスで乗換なしで約40分位で着けました。宮殿ですから、広大です。まずは宮殿の中のSavoia家の歴史を辿る展示から始まり、トリノに点在する他の宮殿、住居の展示、所蔵する数々の絵画や宝石類、家具等。

最後の見せ場は、有名なガッレリアです。これが見たくて行きました。その場に立ったとき、フランスのベルサイユ宮殿の豪華さではない清らかな美しさと光の使い方、静かな趣きに感動し立ちすくんでしまいました。他の観光客も多分同じ様相で眼を瞠はるばかり。この時代にこのガッレリアでどんな光景があったのかを想像してしまいました。さぞ優雅なものだったでしょう。

外に出ると、整備された庭園が広がり、宮殿の背後にある残雪が残る山々が見渡せ、暫くその美しい景色を眺めながら歩き、宮殿を後にしました。帰りのバスに乗りそびれやっとトリノに着き、そこでもまた「バスは行ったばかり」とイタリア人女性に言われ、がっかり。更に待ち続け、冷たい風に当たり過ぎて疲れてしまいました。この時期は、何故かまた寒い季節に戻り風もありちょっと辛い日でありました。
 
明くる日は、トリノの友人から誘われたスローフードで知られた町Braを訪ねました。友人がかねてから行きたかったというレストランで昼食を取りました。日本人料理人も沢山訪れる有名なお店だそうです。

季節柄レストランには藤の花が満開で、とても綺麗でした。それぞれがフルコースの食事を堪能しました。厳選されたクオリティの高い食材の新鮮さと繊細な味付けに脱帽しました。

私はプロではありませんが、イタリア料理で、余り美味しいと思う出会いが少ないので、わざわざここまで来た甲斐がありました。コスト的にもごく普通の価格であり、このクオリティーの料理をミラノで臨んだら多分倍はするでしょう。ピエモンテ州は美食で有名です。是非また来たいと思いました。それだけの価値があるお店でした。

<4月のクラシックコンサート鑑賞>

毎月開かれるクラシックコンサートの4月は、イタリアで活躍されている日本人ソプラノ歌手の方と、ユーゴスラビアのバリトン歌手お二人のソロで主宰者であるピアニストの伴奏でのプログラムでした。いつもより満席でやはりイタリアではオペラ曲が人気があるのを感じました。

プログラム曲は、バラエティーに富んだ様々な曲目の数々で、お二人は交互に7~9曲を披露され、広くない室内での迫力ある歌声を身近に楽しむことが出来ました。今回は観客のアンコールにお二人とも答えてくださり、更に盛り上がりました。こういう機会が得られることを、いつも本当に贅沢な時間であると感じています。

今回は私も着物を着て参加しました。日本からいくつか持参しました着物のひとつで化繊のものですが、とても着やすいですし、扱いが楽でクリーニングでも問題ないです。イタリア人の友人と家族の方も、色合いとかをとても褒めてくれ、選んで良かったと思いました。

終わったあとは近くのBarで友人達とアペリティーボしながら、陽の長くなった良い季節の夕べの時間をゆったりと過ごしました。着物なので廻りから、ジロジロと観察されました。Barのウェイターの一人から「背中にしょっているのは何?」と聞かれました(笑)。

*:「マエストロ」は日本では「巨匠」だが、イタリアでは「指揮者」の意味も。女性指揮者だとマエストラ。このブログでは「先生」の意味で使われている