2019年連続文化セミナー 須賀敦子が遺したもの - 日本とイタリアのあいだで《全6回》
第5回 須賀敦子を魅了した現代イタリアの作家(2) エルサ・モランテ ~ 語りの魔術師 ~

文化 日本語

コルシア書店にて
(写真提供:河出書房新社)


身近な話題をも上質の文体に包み込む須賀敦子の魅力は、没後 20 年余りを経てなお、色あせることがありません。

存命なら今年 90 歳。ひょっこりこの世にもどってきたら、ミラノの街角で自分の足跡をたどる日本人旅行者の姿にえっ?とまん丸にした目を、やがて笑顔に包みこむことでしょう。

持ち前の知性でとらえた「別の目のイタリア」を、彼女の人となり、日本語⇔イタリア語双方の膨大な翻訳、晩年 10 年足らずで開花させた作家としての仕事を軸にさぐります。

第5回 須賀敦子を魅了した現代イタリアの作家
(2)エルサ・モランテ ~ 語りの魔術師 ~


20世紀イタリアを代表する作家のひとり、エルサ・モランテ(1912-85)。代表作『嘘と魔法』と『歴史』は世界の文学史に燦然と輝く金字塔です。

モランテにはこの二大巨編を含めた長編四作のほかにいくつか珠玉の短編があります。それらのどの作品からも読者に語りかけてくる作者の「声」をはっきりと聞きとることができます。その声は作品ごとに異なり、決してひとつではありません。モランテはそれぞれの作品を語るのにふさわしい「声」を徹底的に追求した作家でした。

また短編はもちろん、900ページを超える長編においても物語を破綻なく大団円に導く精緻な構成はまさに「語りの魔術師」と呼ぶにふさわしく、読者を物語の世界にぐいぐいと引きこんでいきます。そこで繰り返し語られているのは「親子の近親相姦的な愛」であり「成熟の葛藤」です。

本講義では、近年本国でも再評価の声高いモランテの生涯と作品を俯瞰し、須賀敦子が「語りへの熱意と才能のかたまり」と称賛した小説家の魅力に迫ります。

<講師プロフィール>

 北代 美和子(きただい みわこ)
上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻修士課程修了。翻訳家。東京外国語大学非常勤講師。日本通訳翻訳学会理事。訳書にアンジェロ・ペッレグリーニ『イタリア式料理の知恵』(晶文社) ロレンツァ・マッツェッティ『ふたりのトスカーナ』(竹書房) C・コスタンティーニ『バルテュスとの対話』(白水社)、エルサ・モランテ『アンダルシアの肩かけ』(河出書房新社)、『嘘と魔法』(河出書房新社)など。

大好評につき、より広い新会場を用意しました。日伊協会から徒歩1分のところです。

申込名 開催日 時間 会場 参加費 備考
SUGA
-5
9/14(土) 17:00

18:30
ゲーテインスティツゥート
東京2F207
セミナールーム
会員 2,000円
受講生
一般
3,000円

※こちらの連続文化セミナーは全 6 回、すべて同じ時間帯・受講料・会場で開催いたします。

申込名 回数 開催日 テーマ 講師
SUGA-1 第1回
終了
4/20(土) 序論 - 日本の須賀敦子
・須賀敦子のイタリア
白崎 容子
(元慶応義塾
大学教授)
アンドレア
フィオレッティ
(東京外国語大学
特任准教授)
SUGA-2 第2回
終了
5/18(土) 須賀さんの思い出
― その足跡をたどりながら
木村 由美子
(河出書房新社
編集者)
SUGA-3 第3回
終了
6/22(土) 須賀敦子と翻訳
- 日本とイタリアを
往還する眼差し
アンドレア・
フィオレッティ
(東京外国語大学
特任准教授)
高田 和広
(日伊協会講師)
SUGA-4 第4回
8/3(土) 須賀敦子を魅了した
現代イタリアの作家(1)
アントニオ・タブッキ
~ 境界の喪失 ~
森口いずみ
(東京外国語大学
講師)
SUGA-5 第5回
9/14(土) 須賀敦子を魅了した
現代イタリアの作家(2)
エルサ・モランテ
~ 語りの魔術師 ~
北代 美和子
(翻訳家)
SUGA-6 第6回
会場未定の為
受付保留中
10/19(土) 須賀敦子を魅了した
現代イタリアの作家(3)
ナタリア・ギンズブルグ
~「作家」須賀敦子への道を
ひらいたもの~
白崎 容子
(元慶応義塾
大学教授)

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