2019年連続文化セミナー 須賀敦子が遺したもの - 日本とイタリアのあいだで《全6回》
第6回 須賀敦子を魅了した現代イタリアの作家(3)
ナタリア・ギンズブルグ ~ 「作家」須賀敦子への道をひらいたもの ~

文化 日本語

コルシア書店にて
(写真提供:河出書房新社)


身近な話題をも上質の文体に包み込む須賀敦子の魅力は、没後 20 年余りを経てなお、色あせることがありません。

存命なら今年 90 歳。ひょっこりこの世にもどってきたら、ミラノの街角で自分の足跡をたどる日本人旅行者の姿にえっ?とまん丸にした目を、やがて笑顔に包みこむことでしょう。

持ち前の知性でとらえた「別の目のイタリア」を、彼女の人となり、日本語⇔イタリア語双方の膨大な翻訳、晩年 10 年足らずで開花させた作家としての仕事を軸にさぐります。

レオーネ・ギンズブルグと新婚の頃

ミラノ時代に夫ペッピーノから「きみ向きの本」と渡されて夢中で読んだナタリア・ギンズブルグの新刊書 Lessico famigliare。日本語に翻訳したい!との熱い想いは、 20年後に『ある家族の会話』となって実を結びます。

「この人の作品に出会わなかったら、自分は一生、ものを書かなかったかも知れない」と言わせるほどに須賀を魅了し、彼女の前に作家への道を開いたものは何だったのでしょうか。

ユダヤ系としてファシズム時代を生きたナタリア自身の家族を登場人物とするこの自伝的小説と、その直前に出版されたエッセイ集『小さな徳』では、文の流れもリズムも大きく異なります。

晩年を暮らしたローマ、カンポ・マルツィオ広場

母親となって筆をとった『小さな徳』が『ある家族の会話』とは異質の説得力で読者を惹きつけるのは、10代で小説を書き始めた頃の「男のように書きたい」想いが、感情に流れることのない文体となって息づいているからかもしれません。

ナタリアのさまざまな声の彩(あや)に耳を傾けてみたいと思います。

<講師プロフィール>

 白崎 容子(しらさき ようこ)
東京外国語大学修士課程修了。 元慶應義塾大学教授。 訳書にG.ロダーリ『二度生きたランベルト』(平凡社)、M.プラーツ『官能の庭』『ローマ百景』(ともに共訳、ありな書房)、 『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語』(共訳, 白水社 第1回須賀敦子翻訳賞受賞)、 『ウンベルト・エーコの〈いいなづけ〉』(NHK出版)、N.ギンズブルグ『小さな徳』(河出書房新社)など。

『ゲーテ・インスティテュート東京2F207セミナールーム』※第1~5回目と同様の会場です。日伊協会から徒歩1分のところです。

申込名開催日時間会場参加費備考
SUGA
-6
10/19(土)17:00

18:30
ゲーテインスティツゥート
東京2F207
セミナールーム
会員2,000円終了
受講生
一般
3,000円

※こちらの連続文化セミナーは全 6 回、すべて同じ時間帯・受講料・会場で開催いたします。

申込名回数開催日テーマ講師
SUGA-1第1回
終了
4/20(土)序論 - 日本の須賀敦子
・須賀敦子のイタリア
白崎 容子
(元慶応義塾
大学教授)
アンドレア
フィオレッティ
(東京外国語大学
特任准教授)
SUGA-2第2回
終了
5/18(土)須賀さんの思い出
― その足跡をたどりながら
木村 由美子
(河出書房新社
編集者)
SUGA-3第3回
終了
6/22(土)須賀敦子と翻訳
- 日本とイタリアを
往還する眼差し
アンドレア・
フィオレッティ
(東京外国語大学
特任准教授)
高田 和広
(日伊協会講師)
SUGA-4第4回
終了
8/3(土)須賀敦子を魅了した
現代イタリアの作家(1)
アントニオ・タブッキ
~ 境界の喪失 ~
森口いずみ
(東京外国語大学
講師)
SUGA-5第5回
終了
9/14(土)須賀敦子を魅了した
現代イタリアの作家(2)
エルサ・モランテ
~ 語りの魔術師 ~
北代 美和子
(翻訳家)
SUGA-6第6回
終了
10/19(土)須賀敦子を魅了した
現代イタリアの作家(3)
ナタリア・ギンズブルグ
~「作家」須賀敦子への道を
ひらいたもの~
白崎 容子
(元慶応義塾
大学教授)

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