坂本鉄男 イタリア便り

坂本鉄男 イタリア便り

坂本鉄男 イタリア便り 歴史的価値か安全か サンピエトリーノの石畳

古代、ルネサンス期、現代がごちゃ混ぜになったようなイタリアの首都ローマ。その特徴を最もよく表すのが、中心部の広場や道路に残る石畳である。 ルネサンス期にローマの街の建築と公共施設と美観に惜しげもなく資金を投入した法王シクストゥス5世(1521~90年)は、サンピエトロ広場からローマ中心部までの道路を敷石で舗装させた。この敷石の最も標準的な大きさは、12センチ×12センチ×6センチの四角いもので、普.... Read more
2019.04.25
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坂本鉄男 イタリア便り いくら亥年でも

今年のえとが「亥年」でも、イノシシが豚(とん)コレラの感染源となったり、農作物に大きな被害を与えたりすると、「害獣」として見放されても仕方がない。現在、イタリア全国には100万頭という多数の野生のイノシシが生息していると推定されている。これだけ増えると大都市の郊外には餌を求めてごみ箱をあさりに来る群れが出没し始めるし、夜道を走る車に衝突する事故も多くなってきた。; 去る1月3日の真夜中に、日本なら.... Read more
2019.03.22
坂本鉄男 イタリア便り

坂本鉄男 イタリア便り 当地を愛したドナルド・キーン先生

先月末、96歳の人生を全うされた日本文学研究者のドナルド・キーン先生は大のイタリア好きであった。一時は毎年、イタリアを訪れてわが家で食事をなさるのが慣習だった。 中でも、元上智大理事長・学長で、当時はグレゴリアン大学長だった故ヨゼフ・ピタウ大司教もお招きしたときの超知日外国人お二人による「日本食談議」は、私たち夫婦もそばで大笑いしたほどの傑作で、このコラムでも紹介したことがある。 先生の日本文学へ.... Read more
2019.03.22
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坂本鉄男 イタリア便り 誰がために鐘は鳴る

時計が1軒の家にいくつもある現在と違って、昔は洋の東西を問わず、お寺や教会の鐘の音は冠婚葬祭などの宗教的行事のみならず、時刻を知らせる役割も果たしていた。 日本の童謡「夕焼け小焼け」や、ミレーの名画「晩鐘」などは、寺や教会の鐘の音が子供や農民に遊びや仕事をやめて帰宅する時間が近づいたことを知らせていたことを示す代表的な童謡と絵画である。 ローマから東に約160キロのぺスカッセロリ村は 海抜約1千メ.... Read more
2019.02.26
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坂本鉄男 イタリア便り 「子供の名前」

生まれた子供の命名権は親権の一部であるという。このため、普通はどんな名前でも受理されるが、日本でもイタリアでも「悪魔」のような、子供の将来に不利を生じさせるような名前は受理されない。 イタリアでは、伝統的に男の子にも女の子にもカトリック教の聖人・聖女の名前をつけるのが普通であったが、最近は以前は存在しなかったような変わった名前をつけることが流行だ。 昨年5月、ミラノで命名をめぐりある出来事があった.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 地方の魅力掘り起こせ

ローマのサンタ・チェチリア管弦楽団大ホールで先月、世界最高峰のピアニスト、マルタ・アルゲリッチ女史が総監督を務める「別府アルゲリッチ音楽祭」の20周年記念公演が開催された。同女史や名チェロ奏者、ミッシャ・マイスキー氏らを迎え、2,800人収容の会場を超満員にする大成功を収めた。大分県主催の観光・物産展も開かれ地元メディアで紹介された。 大分とローマに縁があるとすれば約40年前のことを思い出す。大分.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り サラミとソーセージは別物、ところ変われば名も…

日本からイタリア旅行に来た友人が言った。「お土産にと思って、食料品店でサラミソーセージをくれと言ったが、通じなかった」 それもそのはず。イタリア語で「サラーメ」というサラミと「サルシッチャ」というソーセージは、豚肉が原料なのは基本的に同じだが、作り方も食べ方も違う「別物」だからだ。 サラミの歴史は古い。豚肉のいくつかの部位を細かくきざんで塩(サーレ)を入れて豚の腸に詰め、乾燥させて長持ちさせる。古.... Read more
2018.12.20
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坂本鉄男 イタリア便り 教会や寺院にも入場料

観光客がバチカンのサンピエトロ大聖堂にミケランジェロの傑作「ピエタ」像を見に入っても入場料はタダである。 一方、初めて日本旅行をしたイタリア人観光客は京都のお寺がどこでもかなり高い入場料(拝観料)を取るのに驚く。教会やお寺は本来は信者が礼拝に訪れる場所だから、昔はお金を取ることはなかったが、イタリアでも入場料を取るところは多くなった。 例えば、フィレンツェのサンタ・クローチェ大寺院は8ユーロ(約1.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 強風と豪雨でバイオリン用の木材消滅

去る10月末にイタリアを襲った強風と豪雨は全国に甚大な被害を及ぼしたが、特に北伊ベネト州のドロミーティ山系南部の被害はバイオリン製造者にとって致命的なものであった。 バイオリンは、1種類の木で作られるものではない。天才的バイオリン製作者、ストラディバリ(1644~1737年)をはじめ、17世紀から18世紀前半にかけて、北伊クレモナを中心に輩出されたバイオリン製作者が、優れた音響効果を生み出すために.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 難民に分断されるEU

移民問題で強硬姿勢を取るイタリアのコンテ政権のサルビーニ副首相兼内相が移民排斥に関する主張で物議を醸している。 サルビーニ氏は10月初旬、ドイツで難民申請を却下されたアフリカ移民が独政府のチャーター機で経由地となったイタリアに送還される計画が明らかとなったとき、イタリア国内の空港を閉鎖すると警告した。 コンテ政権は、6月にもアフリカ移民を乗せて地中海を漂流していた民間救助船アクエリアス号の伊南部.... Read more
2018.11.19