坂本鉄男 イタリア便り

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坂本鉄男 イタリア便り サメ食い人間

 サメは昔から人間を襲う獰猛(どうもう)な海の悪魔と考えられてきた。 神話の「大国主命と因幡(いなば)の白兎(しろうさぎ)」のサメ(山陰ではワニとも呼ばれる)はまだしも、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジョーズ」の巨大な人食いザメは人間の大敵である。 だが、現在は「人食いザメ」と言ったら逆にサメの方から抗議が出る。日本では昔からサメは下級魚に分類され、切り取って干したヒレが中華材料として利用.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 聖人への道の険しさ

 ポーランド出身の前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、死後ただちに、あらゆる方面から「すぐに聖人に」という声が上がったほど近年まれなる偉大な法王であった。だが、いくら偉い前法王でも一足飛びに聖人にはなれない。 ごく簡単に言えば、専門の機関が聖人の資格審査を始めると「神の僕(しもべ)」と呼ばれ「尊者」の宣言を受ける。続いて聖人になる前の段階の「福者」になる審査を受ける。 だが、この審査は最低1つの奇跡.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り シーザーの命日

 古代ローマ帝国の基礎を築いた英雄ユリウス・カエサル(英語名ジュリアス・シーザー)は、紀元前44年3月15日の朝、ローマ元老院で暗殺された。 元老院と言ってもフォーロ・ロマーノに現在再現されている元老院ではなく、ローマの著名な将軍兼執政官ポンペウスがローマ市民に贈った大劇場兼議事堂であった。当時、元老院の会議場としてしばしば使用されていた。 これは、現在のローマ市の中央部にあるアルジェンティーナ広.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 車はヒマ人のもの

 イタリアも不景気なはずなのに、昨年秋以来、ローマ市内の車の数は明らかに増えている。 わが家の周囲でも道路の両側は路上駐車の車でビッシリだ。月に1、2回思いだしたように警官がやってきて目に余る二重駐車の車や歩道を勝手に占領している車に反則切符をはり付けるが、このペースで追いつくはずもなく「駐車違反の罰金とは運が悪い人間だけに振り掛かる一種の災難」と思われても仕方がない。 なにしろ市民の多くがバスや.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 天気予報の的中率

 昔、天気予報の的中率が低かった時代に、遠足や運動会の前日、下駄を放り上げ自分で天気を占ったり、てるてる坊主に頼ったりした経験をお持ちの方は多いに違いない。 最近の新聞によると、英BBCが90年間続いた英国防省所属気象部との契約を打ち切るらしい。もちろん、理由は的中率の悪さ。イタリアの場合も、国営テレビの予報は空軍の気象班が担当し、軍服姿の尉官か佐官級の予報官が解説する。 さて、的中率だが、197.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 一生、すねをかじられる

 近ごろは、子供が欲しくないという若い夫婦が増えてきたといわれる。だが、イタリアの最近の裁判を眺めていると、一概に彼らの選択が間違いだとは断言できないような気がする。 最近、北イタリアのベルガモ市の裁判所が、32歳でいまだに大学に在籍して職に就いていない無職の女性が父親を相手取って起こした養育費支払い請求を正当なものと判断し、月350ユーロ(約4万3千円)の支払いとこれまでの未支払い分の一括支払い.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り 衣は僧を作らず

 衣は僧を作らず-とは、見かけだけ繕っても人間の本当の中身はできないという意味のことわざである。日本人的な発想から生まれたもののように見えて、実は、もともと欧米のことわざから出たものである。 この2月初旬のこと。ローマの4大寺院のひとつであり、バチカン市国の治外法権に守られたサン・ジョバンニ・イン・ラテラーノ寺院で、このことわざが永遠の真理であることを証明するような事件が起きた。 その日の朝、9時.... Read more
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坂本鉄男 イタリア便り お金持ちの多い国

 イタリアには、特に服飾またはその関連部門で、一代で巨額の資産を築いた人が多い。 有力紙が今年初めに伝えたところによれば、昨年の株高でこの金持ちたちの資産が、一層膨らんだという。最大の株式資産の持ち主は、個人ではなく財務省で、優良な半国営企業株の値上がりにより、一昨年比6%増の総額353億ユーロを所有するから、国民にとっては心強い話といえるかもしれない。 個人で、日本でも商標などで名前を知られてい.... Read more