坂本鉄男 イタリア便り 広がるばかり貧富の差

去る5月初旬、イタリアの社会・経済研究機関チェンシス(Censis)は、イタリアの金持ち上位10家族の総資産が、労働者50万所帯の総資産に等しいとするショッキングな統計結果を発表した。

本来なら貧富の差がないはずの共産党独裁国家ですら億万長者が生まれ、貧富の格差が開くばかりの世の中だから、それも仕方がないのかもしれない。それではイタリアのお金持ちとはどのような家族か、ご報告するとしよう。

イタリア一の金持ちは、日本でも名高いチョコレートペースト会社の持ち主フェッレーロ家(総資産266億ドル)、2位は世界的に有名な眼鏡メーカー「ルクソティカ」のデル・ベッキオ家(同203億ドル)。3位が北イタリアの著名な実業家ペッシーナ家(同109億ドル)、4位が日本でも有名なブランドのプラダ家(同106億ドル)、5位がこれまた有名ブランドのアルマーニ家(同104億ドル)、6位は当主がメディア王で話題の多い政治家のベルルスコーニ家(同92億ドル)、7位がキャンディーとチューインガムで知られるペルフェッティ兄弟(同72億ドル)と続く。

大部分がこの70年間に創業され、現在の当主は2代目か3代目が多い。甘いものとモード関係の億万長者が多いのがイタリアならではだ。

坂本鉄男

(2014年6月22日『産経新聞』外信コラム「イタリア便り」より、許可を得て転載)