2018年イタリア連続文化セミナー     イタリアの古代美術
第3回 ローマ皇帝の饗宴とギリシア神話 ― ティベリウス帝とスペルロンガの洞窟彫刻 ― 

文化 日本語

古代地中海世界で栄華を誇ったイタリアには、その繁栄と交流を物語る多くの美術作品が残されています。本年度の連続文化セミナーでは、マグナ・グラエキアの美術から、ローマ美術、初期キリスト教美術まで、様々な作品から古代のイタリアを読み解いていきます。

作品に織り込まれた、歴史、文学、宗教、社会などの要素も交えながら、美術が伝える芳醇な古代世界をわかりやすくお伝えします。


第3回 ローマ皇帝の饗宴とギリシア神話 ― ティベリウス帝とスペルロンガの洞窟彫刻 ―

《ポリュフェモスの目潰し》の群像、
スペルロンガ出土


ローマとナポリの中間に位置する海岸沿いの景勝地スペルロンガには、ティベリウス帝が所有していたといわれる海浜別荘があります。

この別荘には、洞窟を利用した夏用の屋外トリクリニウム(饗宴のための空間)が設けられており、一つ目巨人ポリュフェモスや海の怪物スキュラが登場するオデュッセウスの船旅冒険譚を中心とした神話場面が、大理石の彫像群によって表現されています。

本講義では、配された彫像の様式や制作年代にまつわる美術史学的問題をはじめ、地中海の洞穴を舞台とした文学的神話地誌の三次元的空間への再現、オデュッセウス神話を追体験するローマ建国の祖アイネイアスへの当時のローマの教養人たちの共感、そしてロドス島やカプリ島で長い隠遁生活を送った皇帝ティベリウス帝の演出意図など、趣向を凝らしたスペクタクル空間がいかに創造されたのか、近年の研究動向を踏まえながら、検証していきます。

<講師プロフィール>
 瀧本 みわ(たきもと みわ)
筑波大学・日本学術振興会特別研究員PD。パリ・ソルボンヌ大学大学院博士課程修了。博士(美術史)。専門は、古代ローマ美術史。特に、北アフリカを中心とした古代末期・初期キリスト教美術。

申込名開催日時間会場参加費*備考
S-AA36/22(金)18:30
~20:00
青山石川
記念ルーム
201
会員2,000円終了
一般3,000円

その他の回は以下の日程(時間帯・受講料・会場は本セミナーに同じ)・テーマで開催いたします。
日伊協会会員の方は、第1回から第5回までの全セミナー5回分を一括ご入金の場合、通常10,000円のところ8,000円とさせていただきます。申込名は「S-AAT」でお申し込み下さい。

申込名回数開催日テーマ講師
S-AA1第1回4/20(水)ローマ以前の古代イタリア
に展開したギリシア美術
―パエストゥムを中心に―
篠塚 千惠子
(武蔵野美術大学
教授)
S-AA2第2回5/23(水)アカンサス装飾とローマ美術奈良澤 由美
(城西大学教授)
S-AA4第4回7/13(金)ピアッツァ・アルメリーナの
ヴィッラの舗床モザイク
― 図像、表現、役割に着目して―
坂田 道生
(千葉商科大学
非常勤講師)
S-AA5第5回8/3(金)古代異教美術から
初期キリスト教美術へ
― ローマのサンタ・
コスタンツァ聖堂を中心に ―
伊藤 怜
(東京造形大学
非常勤講師)

第1回から第5回までの全セミナー5回分を一括ご入金の場合、申込名は「S-AAT」でお申し込み下さい。